第4回朝倉文夫賞決定
1991年08月過去2年間のすぐれた彫刻活動に対して贈られる朝倉文夫賞(東京都台東区芸術・歴史協会主催)の選考委員会が21日、台東区役所で行なわれ、篠田守男「TC5908-X」が受賞作に選ばれた。
過去2年間のすぐれた彫刻活動に対して贈られる朝倉文夫賞(東京都台東区芸術・歴史協会主催)の選考委員会が21日、台東区役所で行なわれ、篠田守男「TC5908-X」が受賞作に選ばれた。
10日午前中国を訪問した海部首相は、同日夕、李鵬首相との会談で、中国の文化遺跡の保存に資金・技術面で協力する「シルクロード・プロジェクト」の実施や、外国人の青年指導者層を日本の地方自治体に招く国際交流事業「JETプロジェクト」の対象に中国を加える等、日中文化交流の強化を表明した。
首相の諮問機関・政治税制調査会は、活発化するメセナ活動への減税措置について、具体的に検討する方針であることを明らかにした。
石川県鹿島郡能登町に、石川県能登島ガラス美術館が、29日開館した。ガラス専門の美術館としては公立で初めての美術館となった。
文部省所管の大学共同利用機関である国際日本文化研究センター(梅原猛所長)は、長谷工コーポレーションの寄附により本年4月から平成8年3月までの5年間、在外日本美術品の所在を確認し、資料の収集、整理、蓄積を行ない活用に供することとし、「海外日本美術情報(長谷工)寄附研究部門を設立した。
湾岸戦争の影響で開催を延期されていた「フィレンツェ・ルネサンス 芸術と修復展」が、京都国立近代美術館(16~9.1)を皮切りに、世田谷美術館(9.14~11.4)、名古屋市美術館(11.23~12.23)で開かれた。イタリア・ルネサンスの発祥地フィレンツェのウフィッツィ美術館、ピッティ美術館などからフレスコ画、テンペラ画、彫刻、金銀細工などを含む約80点が出品され、ボッティチェルリ、ミケランジェロ等ルネサンスの巨匠の作品が展示される充実した展観となった。伝統あるイタリアの修復技術もあわせて公開され、文化財保存のあり方にも一石を投じた。
野外彫刻を対象に贈られる本郷新賞(財団法人札幌彫刻美術館主催)の第5回受賞者は、簑田哲日児「Commencement and Pease」に決定。受賞記念展は9月12日から10月13日まで札幌彫刻美術館で開かれる。
抽象彫刻を対象とする国際コンクール展であるヘンリー・ムーア大賞展(彫刻の森美術館主催)の審査が8日に行なわれ、各賞の受賞者が決定した。招待部門4作品と、コンクール部門への応募作740点の中から選ばれた入選作21点の計25点のうち、ヘンリー・ムーア大賞はオランダのマルゴット・ザンストラ「幻の宮殿」、優秀賞はピーター・ローガン(英)「平和のためのパイプ」、岡本勝利「単体から」、河原良行「風のスイング」、ハリトーン・アカラパット(タイ)「彫刻家の墓」、ゲオルギ・チャプカノフ(ブルガリア)「×+」が受賞することになった。
チンギス・ハーン陵墓の探索(ゴルバン・ゴル計画)を続ける日本・モンゴル学術調査団は、6日までに、オノン川流域の岩面に、タタールと明の永楽帝が戦った「オノン河畔の戦い」(1410年)を実証する墨書を発見した。同14日までには、同川流域で181基の匈奴時代(紀元前3~2世紀)の墳墓群を発見。さらに11月には、ウランバートルの東方400キロ、ヘンティー県バヤンホタク・ソムで、12世紀末、チンギス・ハーンの応援でタタールを討伐した金軍の戦勝記念の碑文が、発見された。いずれも「元朝秘史」を裏づける貴重な発見となった。
現存の洋画家脇田和の作品を展示する脇田美術館(長野県北佐久郡軽井沢町)が2日、放浪の詩人画家佐藤渓の遺作を所蔵する佐藤渓美術館を拡張、改築した由布院美術館(大分県由布院町)が21日にオープン。前者は脇田和の別荘の敷地内に建てられ鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積1100平方メートルで、脇田自身が基本設計に当たった。後者は地域環境、自然との共生をめざす象設計集団の設計になるユニークな建物で、染色工房、野外劇場などを備え、美術展示だけでなく幅広い活動をめざしていく。 また、11月23日には現存の洋画家猪熊弦一郎の画業を讃え、その芸術を永く伝承することを柱に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(地上3階地下1階、延床面積7840平方メートル)が開館し、開館記念展として「猪熊弦一郎展」を行なうこととなった。
蒐集家福島繁太郎の足跡を追い、彼の紹介したエコール・ド・パリの作品と彼の支援を受けた日本の作家の作品を展示する「戦後洋画と福島繁太郎展」(28~8.4 山口県立美術館)と、第1部「戦前-伝統と近代」(7.13~8.11)、第2部「戦争と美術」(8.15~9.16)、第3部「戦後美術-その再生と展開」(9.21~10.20)で構成される「昭和の絵画」展(宮城県立美術館)がそれぞれ開かれ、日本近代の後半部60余年にわたる昭和の絵画史を検証する充実した展観となった。
イタリア文化に関する前年度刊行の単行本を対象とするマルコ・ポーロ賞(イタリア文化会館主催)の第14回受賞者に青柳正規『古代都市ローマ』(中央公論美術出版)が選ばれ、21日、東京九段のイタリア文化会館で贈呈式が行われた。
1910~20年代の日本画変革の様子を、再興日本美術院、国画創作協会を中心に、東西両画壇の比較的視点から捉える展覧会が、14日から7月7日まで栃木県立美術館で行なわれた。大正期日本画の見直しの気運が高まる中での好企画となった。
日本美術への有効な視点として注目されている「かざり」をテーマに「荘厳-神仏の世界のかざり」「祭祀-祭礼、儀式のかざり」「装身-人間を装うかざり」「調度-身のまわりのかざり」の4部構成で、平安時代から江戸時代後期にかけての絵画、工芸約120点を展示する「日本をかざる」展が、サントリー美術館で11日から7月21日まで同館開館30周年記念展第2弾として行なわれた。
吉田五十八記念芸術振興財団の主催する建築賞、吉田五十八賞の第16回受賞者は、建築の部=出江寛「東京竹葉亭」(大阪ロイヤルホテル内)、特別賞=山田脩二「伝統的な素材『瓦』の新しい使い方による、一連の創作活動に対して」、吉田桂二「『飛騨の匠文化館』他一連の修景計画に対して」、に決定した。建築関連美術の部は該当作がなく今年の授賞は行われない。表彰式は7月4日、東京丸の内の東京会館で行われる。
グレコ、ムリリョ、ベラスケス、リベラなど、スペイン絵画の黄金時代を代表する作家の作品85点を展観する「スペイン絵画展」が、5日から7月7日までの北海道立近代美術館を皮切りに、全国4ケ所で開催された。作品は、バレンシア州にある聖ピオ5世美術館のコレクションになるもの。
1日までの宮内庁正倉院事務所の調査で、鳥毛立女?風第5扇の裏打ち紙から、正倉院の宝物記録と内容の一致する墨書が確認された。従来から同?風は日本で描かれたことが定説となっているが、今回の墨書発見で、あらためてそれが確認された。
ライデン国立民族学博物館とともにシーボルト・コレクションを所蔵することで知られるライデン大学図書館で、シーボルトが収集した江戸城本丸の絵図が確認された。享保元年の江戸城改築後の絵図で、昨年10月に発見され、確認の調査が続けられていた。
企業による美術文化活動支援が盛んとなる中、ワコールアートセンターが、現代若手アーティストの発掘と育成を目的に創設した「JAPAN ART SCHOLARSHIP」第1回のグランプリが決定。国内外の302名286点の応募の中から、赤坂知也「記憶の形をした3つの小曲」がグランプリに選ばれた。
正規の学芸員のほかに、特定の企画・調査のため一定期間人材を招聘するゲスト・キュレーター(客員学芸員)の制度を、横浜美術館(河北倫明館長)が採用することになった。日本で制度として導入するのはこれが初めてとなるが、同館のゲスト・キュレーターには、2年契約でアメリカ人女性が招聘された。