第11回山種美術館賞

1991年03月

隔年で実施されている山種美術館賞の第11回受賞者が決定、大賞に坂本幸重「鮭」、優秀賞に牛尾武「晨響(銀河と流星の滝)」、小笠原元「本島の春」が、それぞれ選ばれた。同賞展は、4月6日から5月12日まで山種美術館で開催された。

アンコール遺跡保存、東京宣言採択

1991年03月

カンボジアのアンコール遺跡の保存を考える国際シンポジウム「危機に立つアンコール遺跡を救う」(朝日新聞社主催)が、2日間にわたって東京築地の朝日ホールで開催された。同会議は、アンコール遺跡の保存と修復に向け、カンボジア人の自助努力と日本を含む国際協力の拡大をよびかける「東京宣言」を、2日採択し、終了した。

平成2年度芸術選奨

1991年02月

第41回の芸術選奨文部大臣賞15名、同新人賞12名が、22日文化庁から発表された。 美術関係からは、文部大臣賞に金工家平松保城(国際展などでの装身具の諸作品)と洋画家松樹路人(「松樹路人展」などの諸作品)、文部大臣新人賞にグラフィックデザイナー松永真(「グラフィックデザインの今日」展などの諸作品)が、それぞれ選ばれた。授賞式は、3月19日東京上野の日本芸術院会館で行われた。

湾岸戦争の影響

1991年02月

1月16日に勃発した湾岸戦争の影響により、世田谷区立世田谷美術館が4月からの開催予定で準備を進めていた「フィレンツェ・ルネッサンス-芸術と修復」展は、イタリア文化財省が、安全上の理由から美術作品の国外貸出しを許可しない方針を決めたため、15日、いったん中止となった。しかし3月の早期戦争終結によって、貸出停止措置が解除されたため、7月の京都展を皮切りに、9月14日から11月4日まで世田谷美術館で開催された。 また海外でも、ロンドンのビクトリア&アルバート美術館で、3月から開催を予定していた「The Art of Death(死の芸術)」展は、中止となった。

国際シンポジウム「美術の未来」開催

1991年02月

東京・表参道のスパイラルホールで、8日から10日までの3日間、国際展の問題とこれからの美術館のあり方を討議する国際シンポジウム「美術の未来」が開催された。海外から7名、国内から14名のパネラーが参加し、初日は“国際展の実情と将来”、2日目は“変貌するミュージアム”、3日目は“情報化時代のミュージアム”について討議が行われ、国際化に向かう日本美術界の未来が論議された。

ニューオータニ美術館開館

1991年02月

9日、東京・紀尾井町のニューオータニ・ガーデンコート内に、ニューオータニ美術館(東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニ・ガーデンコート6階)が開館した。コレクションは、大谷栄一蒐集のエコール・ド・パリの作品を中心に、先代社長大谷米太郎蒐集の日本画などからなる。

美術館にハイビジョン導入

1991年02月

美術館へのハイビジョンの導入が進められているが、これまでそれに取り組んできた通産省に加え、自治省や文部省も、全国自治体の公立美術館へのハイビジョン導入に取り組む方針を決めた。今春から数年間にわたり、毎年10館ずつ、70インチのハイビジョンの機器購入に資金援助する。

東急沿線11美術館ネットワーク化

1991年02月

東京と川崎、横浜を結ぶ東急5線の沿線の美術館11館が、「東急沿線美術館連絡協議会」を結成し、相互のネットワーク化を図ることになった。参加するのは、東京都庭園美術館、東急文化村「ザ・ミュージアム」、世田谷美術館、神奈川県立博物館など11館。当面の活動は、ポスターやチラシの相互掲示や新聞等の共同広報から始める。

第34回安井賞

1991年01月

具象絵画の登竜門安井賞の第34回受賞者が、17日決定、安井賞に藤田邦統「木星で出会う」、佳作賞に小川恒雄「田園造化」が選ばれた。安井賞展は、2月28日から3月25日まで東京池袋のセゾン美術館で開催され、以後各地を巡回した。

トリック美術館開館

1991年01月

外観から展示作品までルーブル美術館をまねたトリック美術館「JAIB(ジェイヴ)美術館」(東京都江戸川区篠崎町6丁目)が、13日開館した。壁に描かれた彫刻や、外に足のとび出た絵画など、トリックに満ちた作品と会場が、下町の新名所として人気をよんでいる。

第32回毎日芸術賞

1991年01月

平成2年度の第32回毎日芸術賞受賞者5名が決定、美術関係では洋画の三尾公三(「幻想空間の女」展)が選ばれた。

作家奨励賞新設

1991年01月

日本芸術院会員、人間国宝で昭和63年に歿した鋳金作家香取正彦を記念し、昨年設立された香取正彦賞の第1回が決定、金工作家大角幸枝の銀打出盛器「波涛」(第37回日本伝統工芸展)が受賞した。 また同じく昨年設立された公益信託タカシマヤ文化基金による第1回新鋭作家奨励賞には、日本画家大野俊明、彫刻家舟越桂、ファイバー・アート作家小林正和が、それぞれ選ばれた。

アメリカ絵画200年展

1991年01月

14世紀から現代にいたる美術の世界的コレクションとして知られるスイス・ルガノのティッセン・ボルネミッサ・コレクションから、アメリカ絵画を紹介する展覧会が、5日から2月11日までの兵庫県立近代美術館を皮切りに、全国4ケ所で開催された。トーマス・コール、ポロック、ステラら、アメリカ絵画の歴史をたどる53作家の作品66点が展示された。

フランクロイドライト回顧展

1991年01月

建築家フランク・ロイド・ライトの活動を、現代と日本への影響を一つの視点に据えて捉えようとする展覧会が、2日から2月18日まで東京池袋のセゾン美術館で開催された。建築ドローイング、リトグラフ、図面、模型を中心に、家具や照明器具など約200点が展示された。

朝日賞決定

1991年01月

平成2年度の朝日賞5件5名が1日発表され、美術関係者では、プリンストン大学名誉教授島田修二郎(東洋美術史研究における世界的貢献)が選ばれた。

学士院新会員決定

1990年12月

日本学士院(脇村義太郎院長)は12日、総会を開き会員補充選挙を行ない、新たに9人を会員として選出した。美術関係では中国絵画史研究の鈴木敬、寺院建築史研究の福山敏男が選ばれた。今回の補充により会員は第一部(人文科学)が64名、第二部(自然科学)が74名となった。 

竜安寺旧蔵の襖絵の所在確認される

1990年12月

明治初期から行方不明となっていた京都・竜安寺の襖絵8面が米国ニューヨークのメトロポリタン美術館に昨年春、寄贈されていたことが明らかになった。縦180センチ、横190センチの4枚の襖の表裏に描かれた絵のうち4枚は「列子御風」、他の4枚は「琴棋書画」をあらわし、西源院本堂の中の間と西の間の仕切りとして使われていたとみられる。17世紀初頭、狩野孝信の工房によって描かれたと考えられ、桃山時代の金碧障壁画の優品として注目される。

香取正彦賞設立

1990年12月

昭和63年に死去した金工家香取正彦の業績を記念し、金工界の発展に寄与することを目的に、同賞運営委員会によって運営される香取正彦賞が設けられた。同賞は日本の展覧会に出品された金工作品で、「工芸として用の伝統に立脚し、技術と造形における創造性を追求した作品」の中から特に優れた業績を示した作品、あるいは将来性を認められた作品に対して贈られる。

第7回東京セントラル美術館日本画大賞受賞者決定

1990年12月

油絵大賞展と交互に隔年で行なわれる東京セントラル美術館日本画大賞展が11日より行なわれ、招待作品18点に一般公募搬入点数284作家353点中の入選作70点を加えた88点の中から受賞者の選考が行なわれた。その結果、大賞は宮元政治「風景1」、優秀賞は稲員頼子「想」、清水正志「宵月」、佳作賞は里見嘉一「流砂」、田口昌宏「声」、松木秋佳「春めく」、松倉茂比古「過ぎる。」、松本高明「青いトマト」、吉村誠司「刻」に贈られることとなった。

第12回サントリー学芸賞受賞者決定

1990年12月

新進の評論家・研究者による優れた著作活動を対象とするサントリー学芸賞の第12回目の受賞者が決定し、4日、贈呈式が行われた。芸術・文学部門では、北沢憲昭『眼の神殿-「美術」受容史ノート』(美術出版社)、鈴木博之『東京の地霊』(文藝春秋)を中心とする活動が選ばれた。

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