建造物、史跡の文化財指定
1991年11月文化財保護委員会(斉藤正会長)は22日、重要文化財建造物6件、史跡1件を新たに国の文化財として指定するよう鳩山文相に答申し、重要文化財建造物としては龍雲院(北海道松前郡)、正行寺本堂(北海道厚岸郡厚岸町)、旧笹浪家住宅(北海道檜山郡)、旧岡田家住宅(兵庫県伊丹市)、玉若酢命神社(島根県隠岐郡)、水若酢神社本殿(同)が、史跡としては村上城跡(新潟県村上市)が新たに指定されることとなった。
文化財保護委員会(斉藤正会長)は22日、重要文化財建造物6件、史跡1件を新たに国の文化財として指定するよう鳩山文相に答申し、重要文化財建造物としては龍雲院(北海道松前郡)、正行寺本堂(北海道厚岸郡厚岸町)、旧笹浪家住宅(北海道檜山郡)、旧岡田家住宅(兵庫県伊丹市)、玉若酢命神社(島根県隠岐郡)、水若酢神社本殿(同)が、史跡としては村上城跡(新潟県村上市)が新たに指定されることとなった。
日本芸術院(犬丸直院長)は18日、平成3年度の補充選挙を行ない11名を新たに会員に内定した。第一部(美術)では日本画の鈴木竹柏、洋画の国領経郎、佐竹徳が選ばれた。総会の了承を得て、12月15日に文部大臣から発令される。
優れた美術評論、美術活動に対して贈られる倫雅美術奨励賞(公益法人倫雅美術奨励基金運営委員会主催)の第3回受賞者は、美術評論・美術史研究部門=島田康寛『京都の日本画-近代の揺籃』(京都新聞社)、木下直之「日本美術の19世紀」展の企画・構成およびカタログ中の論文、創作活動部門(本年度は彫刻・立体造形対象)=城下るり子「欲望シリーズ-野へ-」(1990年5月、ギャラリーかねこあーとG1)に決定。贈呈式は12月3日に行なわれる。
昭和15年に開館した根津美術館は、50周年を記念して新館を設立。展示面積が153坪から254坪に増加し、新装オープン展第2部として、このほど修復の完了した館蔵品の国宝「那智の瀧」図を中心に、垂迹美術他約100件によって神々の地として信仰された熊野を紹介する展観を行なった(16日~12月15日)。作品の原状をそこなっていると判断される後補部分を全て除去する修理により「那智の瀧」図に新たな見解が示されることとなり、垂迹美術研究にも一石を投ずる展観となった。
昭和3年から続く目黒雅叙園の新装オープンに伴い、初代社長細川力蔵の蒐集品を展示する目黒雅叙園美術館(館長、細川敏郎目黒雅叙園社長)が13日開館。目黒雅叙園のエントランス棟2、3階に位置し、展示面積509平方メートル。近代日本画を中心とする1200点余りの所蔵品を公開、展示していく。
美術専門誌『国華』創刊100年を記念し、日本・東洋美術に関する優れた研究を対象に設立された国華賞の第3回目の受賞者は中里寿克「中尊寺金色堂と平安時代漆藝技法の研究」(至文堂、1990年)、加須屋誠「二河白道圖試論」(「美術史」127号)、藤岡穣「興福寺南圓堂四天王像と中金堂四天王像について」(「国華」1137、1138号)に決定した。
今年度のサントリー学芸賞(サントリー文化財団主催)受賞者が8日、決定。美術関係では芸術・文化部門の五味文彦「中世のことばと絵-絵巻は訴える」(中央公論社)、社会・風俗部門の川本三郎「大正幻影」(新潮社)が選ばれた。これで同賞受賞者は117名となった。
先月末設立許可を受けた「住友財団」(永井道雄会長)は、30日初の理事会を開き、学識経験者を中心とする助成選考委員会を発足させる。助成対象としては、環境、芸術・文化、基礎科学研究、国際交流の4分野が予定され、このうち初年度は内外の文化財維持・修理、アジア諸国の大学、研究機関に所属する学者の日本研究に対する助成が計画されている。
日本美術協会創立100年にあたる平成元年、58年間総裁をつとめた高松宮殿下の遺志を継いで創立された高松宮殿下記念世界文化賞(日本美術協会主催)の受賞者が29日、発表された。美術関係では絵画部門・バルチュス(仏)、彫刻部門・エドゥアルド・チリーダ(西)、建築部門・ガエ・アウレンティ(伊)が受賞した。
文化財保護委員会(斉藤正会長)は25日、文化財の保存に必要な選定保存技術に指矩で建築部材の寸法を割り出す「規矩術」及び「邦楽器原糸製造」「からむし生産・苧引き」の3分野を新たに選定するとともに、3団体を技術保存団体に認定するよう、井上文相に答申した。
25日、今年度の文化勲章受章者と文化功労者が公表された。美術関係ではアジア考古学者江上波夫、鋳金家蓮田修五郎、洋画家福沢一郎が文化勲章受章者に、日本画家秋野不矩、建築家蘆原義信、洋画家伊藤清永、グラフイック・デザイナー亀倉雄策、美術評論家河北倫明が文化功労者に選ばれ、これで文化勲章受章者は256(現存者61)名、文化功労者は456(同139)名となった。
多様な変化を見せた16世紀の日本美術を絵画・工芸に焦点をあてて展観する“Triumph of Japanese Style”展が、アメリカ・クリーヴランド美術館で20日から12月1日まで開かれた(主催・文化庁、クリーヴランド美術館)。国宝、重文を含む75件の日本からの出品に在米日本美術品を加えた大規模な展観となった。
宇部市ほかが主催する現代日本彫刻展は、今年度、同市市制施行70周年と野外彫刻30周年を記念して「宇部讃歌」をテーマに宇部市野外彫刻美術館で1日から行なわれ、招待作家10名、コンクール入選作家15名の計25名の中から各賞が選ばれた。大賞は土屋公男「底流」、宇部市制施行70周年・野外彫刻30周年記念賞は真板雅文「大地の饗宴」が受賞した。
郷里の作家中原悌二郎の業績を顕彰して現代彫刻を対象に贈られる中原悌二郎賞(北海道旭川市主催)の第22回受賞者は井上武吉「マイ・スカイホール91」、優秀賞は橋本裕臣「丘の上のかたち」が受賞することに決まった。贈呈式は10月4日、旭川市のニュー北海ホテルで行われる。
アムステルダムの国立ゴッホ美術館(ロナルド・デ・ルー館長)の新館建設にあたり、その工事費の全額3750万オランダ・ギルダー(約26億円)を安田火災海上保険が寄付することとなった。新館には「ゴッホと日本」コーナー(仮称)を設け、ゴッホ所蔵の浮世絵を展示し、その作品に見られる日本美術の関係を解説したりする予定。
世界的に著名なルーブル美術館の30万点におよぶ収蔵品の中から、肖像画に焦点をあてて古代から19世紀までを総覧する「ルーブル美術館特別展-肖像画の表現」が18日から12月1日まで国立西洋美術館で開かれた。人間を描くことを重視してきた長い歴史を持つ西洋絵画の肖像表現の流れを示す充実した展観となった。同じ時期、東京国立博物館では「日本の肖像画」展が開かれ、国宝、重要文化財を数多く含む14点の精選作品で日本の肖像画の粋を展観。この後10月4日から大和文華館で「特別展 日本の肖像画」(11月10日まで)、10月9日から佐賀県立美術館で「近世の肖像画展」(11月4日まで)が開かれ、日本の肖像画に焦点をあてた展観があいついだ。
1873年の開設から長い歴史を持つ国際美術史学会(CIHA)の東洋での初めての会議が18日から3日間、東京・上野の奏楽堂と東京国立博物館を会場として行なわれた。同学会は4年毎に大会を、その間の毎年1回、特定の主題に基づく会議を行なっており、東京会議(会議実行委員会代表高階秀爾)は後者にあたり「美術史における日本と西洋」がテーマ。「直接交流と影響」「芸術の時間=空間表現」「概念と方法」の3セクションから構成され、国内外の研究者の発表、交流を通じて国際的地平を開く場となった。
国宝、重文を含む40件を日本から出品して日本の鎌倉時代の彫刻を展観する“Kamakura-The Renaissance of Japanese Sculpture 1185-1333”展(主催・文化庁、国際交流基金、大英博物館)が、17日より11月24日まで大英博物館で開かれた。今秋、英国では日本文化を紹介する様々な催しが行なわれており、本展もその一環をなす。
海外所在の日本美術品が注目されている中で明治期に来日したアメリカ人アーネスト・フェノロサの収集品を蔵するボストン美術館の東洋部創立100年を記念して、フェノロサ・コレクションの中から屏風絵23件35点を選出した展観が14日より10月27日まで奈良県立美術館で行なわれた。伝尾形光琳「松島図」などを含む出品作の約半数は日本初公開のもので、収集者の特色ある視点をうかがわせる興味深い展観となった。同展は東京・日本橋高島屋(11.1~19)、広島県立美術館(92.2.18~3.22)を巡回した。
文化庁はわが国の近代化の足跡を示す文化遺産の調査を行ない、その保護の範囲を探り、保存方法を検討する作業を5年がかりで行なうことを決め、5日までに提出する来年度予算の概算要求に織りこんだことが明らかになった。国産機関車第1号、「琵琶湖疎水」「富岡製糸場跡」などが現段階で調査対象の候補に上げられている。