第4回ロダン大賞

1992年07月

隔年で実施されているロダン大賞の第4回受賞者が決定し、37ケ国252点の応募の中から大賞にドイツのイガエル・トゥマルキンの「仕事は自由をもたらすか?-ミイラとしてのアーティストの肖像」が、特別優秀賞にベルギーのフランツェン「疾走する文化」、アメリカのジム・ダイン「展望台」、鹿内信隆賞にアメリカのスティーヴン・デ・ステブラー「歩く女Ⅱ」が選ばれた。同大賞展は、17日から10月31日まで長野県の美ケ原高原美術館で開催された。

第5回MOA岡田茂吉賞

1992年07月

日本画と工芸を対象とするMOA岡田茂吉賞の第5回受賞者が決定。日本画部門の大賞に岩沢重夫、優秀賞に中野嘉之、工芸部門の大賞に漆芸の太田儔、優秀賞に陶芸の深見陶治がそれぞれ選ばれた。同賞展は25日から8月23日まで静岡県熱海市のMOA美術館で開催された。

「高島屋国際スカラーシップ基金」設立

1992年07月

若手作家や文化交流団体を支援する「タカシマヤ文化基金」をすでに設けている高島屋は、アジア地域からの留学生・研修生への奨学事業を目的に新たに「高島屋国際スカラーシップ基金」を設立、7月から事業を開始した。以後毎年1~3人の留学生を対象に各人年間300万円が支給される。初年度はシンガポールから日本への留学生を選出する。

文化財行政の再検討

1992年07月

文化財行政のあり方を中長期的視点から検討するため、文化庁はこのほど、文化財保護審議会(鈴木勲会長)の下に学識経験者15名からなる「文化財保護企画特別委員会」(加藤秀俊座長)を設置することを決めた。文化財保護法は、昭和25年の制定以後3回改正されているが、美術工芸品については制定後変化がなかったため、42年ぶりに検討が加えられることとなった。

『みづゑ』休刊

1992年06月

明治38年の創刊以来、美術ジャーナリズムをリードしてきた雑誌の一つ『みづゑ』(美術出版社)が、6月末発行の963号をもって休刊することが決まった。バブル経済崩壊後の広告収入の減少と製作費の高騰が直接の原因といい、復刊のメドは立っていないという。

「伽耶文化展」

1992年06月

紀元4世紀頃から6世紀中葉に朝鮮半島南部、洛東江流域にあった小国家群「伽耶」は、その存在は知られながら、文献資料の不足から実像を知ることが困難とされてきた。近年の発掘のめざましい成果をもとに、伽耶文化の豊かさと日本との交流を探る「伽耶文化展」が30日から東京国立博物館で開かれた(~8.9)。韓国での出土品300余点と日本との交流を示す国内出土品約40点を展示する充実した展観となった。同展は京都国立博物館(8.25~9.20)、福岡県立美術館(10.3~11.3)に巡回した。

ロシアで浮世絵コレクション確認

1992年06月

海外に所在する日本美術品の調査を進めている国際日本文化研究センターは、6月初めからのモスクワ・プーシキン美術館での調査で、同美術館に約7000点の浮世絵が所蔵されていることを確認した。同コレクションは、1890年代に日本を訪れたロシア海軍の軍医セルゲイ・キタエフの収集品を中核とし、北斎のこれまで知られなかった作品3点も含まれている。 さらに同センターによる調査で、8月14日までに、サンクトペテルブルク(旧レニングラード)のエルミタージェ美術館にも、これまで未確認の作品多数を含む約1500点の浮世絵が所蔵されていることが確認された。このコレクションは、旧ソ連国内から同美術館が購入したものといい、従来、知られていない作品約30点も含まれているという。

吉田五十八賞決定

1992年06月

建築の吉田五十八賞の第17回受賞作品は、斎藤裕の住宅「好日居」、井上武吉の「伊丹市平和モニュメント」(兵庫県伊丹市荒牧ばら公園内)に決まった。また、社寺の内外を飾る錺金物の伝統職人、磯村浩之亮が特別賞に選ばれた。

第4回世界文化賞

1992年06月

日本美術協会主催の高松宮殿下記念世界文化賞第4回受賞者5名が11日、イタリア・ローマのカンピドリオ・カピトリーノ博物館で発表された。絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像5部門のうち、美術関係では絵画部門でフランスのピエール・スーラージュ、彫刻部門でイギリスのアンソニー・カロ、建築部門でアメリカのフランク・O・ゲーリーがそれぞれ選ばれた。

東武美術館開館記念「エルミタージュ美術館展」開催

1992年06月

東京池袋駅西口に新設されたステーション・ビルの1階から3階を占める総面積2200平方メートルの大型美術館として東武美術館(山中鏆館長)が10日に開館。開館を記念して「エルミタージュ美術館展」が開かれ、17世紀オランダ・フランドル絵画を中心とする約120点が展観された。同館は年1回ずつテーマをたててエルミタージュ美術館の絵画を紹介する計画。

文化庁による在外日本文化財修復

1992年06月

昨年から文化庁が取り組んで来た在外日本美術品修復事業の成果として、アメリカ・フリーア美術館所蔵「紙本著色斎宮女御図」等6点が、日本での修復を終え、9日、東京国立文化財研究所で報道関係者に公開された。

文化財の新指定

1992年05月

文化財保護審議会(鈴木勲会長)は15日、美術工芸品関係の重要文化財として、京都府相楽郡山城町の椿井大塚山古墳の出土品等28件を新たに指定するよう鳩山文相に答申した。これによって美術工芸品の重要文化財は9647件(うち国宝829件)となった。また、同審議会は29日、新規8件、追加2件の建造物を重要文化財に、6件を史跡に指定するよう文相に答申。これによって建造物の重要文化財は2815件3432棟となった。

マルコポーロ賞決定

1992年05月

日本語で出版されたイタリア文化に関する著作を顕彰するマルコ・ポーロ賞の第15回目の受賞者は、佐々木英也監修、森田義之責任編集による『NHK フィレンツェ・ルネサンス 全六巻』(日本放送出版協会)に決まった。

愛知産業大学開校

1992年04月

産業デザインと建築デザインを専門とする愛知産業大学が開校(安藤万寿夫学長)。愛知技術短大、東海産業短大等を経営する愛知水野学園が母体となり、造型学部内に産業デザイン科、建築学科の2学科をおく単科大学として発足し、実践的な知識の修得を重視していく方針である。

明治村賞決定

1992年04月

明治時代を対象とする学術・芸術への功績を顕彰する明治村賞の第18回目の受賞者は、関野克(「明治建築の調査研究と保存にかかわる先駆的・指導的貢献」に対して)に決定した。

豊科近代美術館、奈良市写真美術館開館

1992年04月

ロダンに学び、肖像、裸婦を得意とした彫刻家高田博厚の作品を常設する長野県豊科町立の豊科近代美術館(務台丈彦館長)が18日開館。鉄筋コンクリート2階建、延床面積3062平方メートルの1階常設展示場に高田作品を常設。2階は企画展等に用いられる。彫刻の他、高田によるデッサン、油彩画、資料等も収集していく方針。また、14日、写真家入江泰吉の全作品約8万点を収めた奈良市写真美術館が開館。地上1階地下1階、延床面積2300平方メートルの同館は西日本で初めての写真美術館となり、管理運営は入江泰吉記念写真美術財団(井岡重信理事長)があたる。

静嘉堂文庫美術館開館

1992年04月

昭和63年4月から閉館していた静嘉堂文庫展示館が12日、静嘉堂文庫美術館(米山寅太郎館長)として開館。鉄筋コンクリート地上1階地下2階建、延床面積1242平方メートルの新館は、旧展示館に比べ床面積で約3倍の広さ。開館展は「中国陶磁展」で、岩崎弥太郎、小弥太コレクションのうち名品65点が展示された。

「日本の抽象絵画-1910~1945」展

1992年04月

日本の抽象絵画をその発生から戦前まで跡づける「日本の抽象絵画-1910~1945」展が4日から東京の板橋区立美術館で開催された(~5.10)。同展は美術館学芸員の共同研究、および日本の抽象絵画の悉皆調査をもとに、明治末期から戦前までの約180点の作品で構成され、展覧会企画のあり方としても注目された。板橋区立美術館の後、共同研究にかかわった主要な館、岡山県立美術館(5.15~6.21)、姫路市立美術館(7.11~8.9)、京都府京都文化博物館(8.22~9.13)、北海道立函館美術館(9.26~10.25)、秋田市立千秋美術館(10.30~11.29)でも展観された。

広重の版木53枚、アメリカで発見

1992年03月

アメリカのアリゾナ州スコッツデイルにある建築家ライトを記念したフランク・ロイド・ライト文書館でいままで不明であった版木53枚が広重のものと確認された。版木は、広重の「江戸名所張交図絵」のもとで、これまで同作品は存在だけが知られていた。1913年に来日したライトは日本美術品も収集しており、その時に収集されたものと思われる。1986年にボストン美術館で確認された北斎の版木に次ぐ、大量の浮世絵版木の確認となった。

日本芸術院賞、恩賜賞決定

1992年03月

日本芸術院(犬丸直院長)は23日、平成3年度(第48回)日本芸術院賞受賞者11名、うち恩賜賞受賞者1名を決定した。美術関係では、恩賜賞に書家成瀬映山(第23回日展出品作「杜甫詩」に対して)、芸術院賞に日本画の山岸純(第23回日展出品作「樹歌」に対して)、洋画の平松譲(第23回日展出品作「TOKYO」に対して)、彫塑の柴田鋼造(第23回日展出品作「香雲」に対して)、工芸の永井鉄太郎(第23回日展出品作「うつわ・その六」に対して)、建築の黒川紀章(平成3年完成の「奈良市写真美術館」に対して)が選ばれた。授賞式は6月1日、東京・上野の日本芸術院会館で行なわれる。

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