「没後50年横山大観―新たなる伝説へ」展開催

2008年01月

明治中期から昭和33(1958)年に没するまで日本画界を牽引した横山大観の没後50年を記念し、その画業を回顧する大規模な展覧会が23日から国立新美術館で開催された(3月3日まで)。東京美術学校の卒業制作「村童観猿翁」から最晩年まで、「屈原」「流燈」「瀟湘八景」「生々流転」などの代表作を含む75点が展示され、明治期の朦朧体による日本画の革新から戦後に至る画業を再考する機会となった。

第15回VOCA賞受賞者決定

2008年01月

若手作家の登竜門で平面作品を対象に40歳以下の作家の奨励を目指すVOCA展2008の第15回の受賞者が決定した。VOCA 賞には横内賢太郎、奨励賞に川上幸之介と笹岡啓子、佳作賞に伊藤雅恵、藤原裕策が選ばれた。

宮内庁が陵墓調査を許可

2008年01月

宮内庁は歴代天皇や皇族を埋葬した陵墓の調査を「御霊の安寧と静謐を守るため」として許可してこなかったが、17日、奈良市の神功皇后陵(五社神ゴサシ古墳)の立ち入り調査を許可することを決め、日本考古学協会に通達した。1979年から年1回ペースで宮内庁が補修の際に行う発掘調査を学会などに見学させてきたことなどを踏まえ、昨年1月に陵墓管理に関する内規を改定し、研究テーマを問わず、申請があれば審査の上で調査を受け入れる方針としたことを受けたもの。同調査は2月22日に行われたが、発掘は許可されず、目視での確認、写真撮影を約2時間半かけて行なった。

出光美術館「王朝の恋―描かれた伊勢物語―」展開催

2008年01月

「源氏物語」以前に成立した「伊勢物語」を主題とする絵画と書63件を展示する展覧会が9日から出光美術館で開催された(2月17日まで)。国指定重要文化財「伊勢物語絵巻」(和泉市久保惣記念美術館蔵)のほか、1608(慶長13)年に版本として「嵯峨本 伊勢物語」が刊行されて以降、公家のみならず幅広い読者を得たことを背景に描かれた岩佐又兵衛、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一などによる江戸期の作品が多数出品されたほか、中村岳陵小杉放庵ら昭和期の画家の作例も含み、物語成立後、千年におよぶ絵画との関係が跡づけられる展観となった。

国立西洋美術館を世界遺産に推薦

2008年01月

政府の世界遺産条約関係省庁連絡会議は7日、フランスの建築家ル・コルビュジエの設計になる国立西洋美術館本館を世界遺産(文化遺産)に推薦することを決定した。これを受けて、フランスが同月中に日本、フランス、スイスなど7カ国にあるル・コルビュジエの23件の作品を「ル・コルビュジエの建築と都市計画」としてユネスコに推薦書を提出した。23件中、公共建築は国立西洋美術館のみである。

第49回毎日芸術賞受賞者決定

2008年01月

毎日芸術賞(毎日新聞社主催)の受賞者が1日に発表された。美術関係では生と死、身体をテーマとしてきた写真家の細江英公(74歳)が受賞した。舞踏家大野一雄を撮り続けた成果として刊行された写真集『胡蝶の夢』、「球体写真二元論 細江英公の世界」展(東京都写真美術館)が評価されたもの。授賞式は28日、都内の東京プリンスホテルで行なわれた。

第29回サントリー学芸賞受賞者決定

2007年12月

広く社会と文化を考える独創的で優れた研究、評論活動に贈られるサントリー学芸賞の第29回目の受賞者が決定した。美術関係では、河本真理『切断の時代―20世紀におけるコラージュの美学と歴史』(ブリュッケ)、三浦篤『近代芸術家の表象―マネ、ファンタン=ラトゥールと1860年代のフランス絵画』(東京大学出版会)が受賞した。 

日本学士院新会員決定

2007年12月

日本学士院(久保正彰院長)は12日の総会で9名の新会員を決定した。美術関係では西洋美術史家の青柳正規が選ばれた。

国立西洋美術館の重要文化財指定の答申

2007年12月

文化審議会(石沢良昭会長)は7日、ル・コルビュジエの設計による国立西洋美術館を重要文化財に指定するよう渡海文部科学大臣に答申した。文化庁は重要文化財指定の目安を築50年としているが、世界遺産登録を目指していることなどから異例の指定となった。また、登録有形文化財として新たに208件の建造物を答申した。これにより建造物の登録文化財は6833件となった。

芸術院新会員決定

2007年11月

日本芸術院(三浦朱門院長)は30日、5人を新たに会員とすることを決定した。美術関係では洋画家の大津英敏、陶芸家の中里逢庵が選ばれた。

第19回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2007年11月

美術評論や美術史の研究者に贈られる倫雅美術奨励賞の第19回目の受賞者に、「幻想のコレクション 芝川照吉展」(渋谷区立松涛美術館)を担当した瀬尾典昭(渋谷区立松涛美術館主任学芸員)、「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」(東京国立近代美術館)を担当した古田亮(東京芸術大学准教授)が選ばれた。いずれも展覧会内容と図録論文が評価されたもの。

史跡天然記念物指定の答申

2007年11月

文化審議会(石沢良昭会長)は16日、日本の近代産業の発展と公害対策の歴史を残す足尾銅山の「通洞坑・宇津野火薬庫跡」、彦根藩主井伊家墓所など15件を史跡に、旧朝倉文夫氏庭園を名勝に、小笠原南島の沈水カルスト地形など4件を天然記念物に指定するよう、渡海紀三朗文部科学相に答申した。

第19回国華賞受賞者決定

2007年10月

日本東洋美術の優れた研究に贈られる国華賞(国華社、朝日新聞社主催)の選考委員会が8月23日に行なわれ、第19回目の受賞者は大久保純一(『広重と浮世絵版画』(東京大学出版会)に対して)に決定した。浮世絵風景画を生み出し、受容した当時の人々の意識との関わりで理解し、同時代の他の絵画領域、とりわけ四條派との関係を明らかにした点が評価された。

文化勲章受章者、文化功労者決定

2007年10月

政府は26日、今年度の文化勲章受章者5名と文化功労者15名を決定した。美術関係では、彫刻家の中村晋也が文化勲章受章者に、洋画家の奥谷博、堂本尚郎、日本画家の鈴木竹柏が文化功労者に選ばれた。

パリ日本文化会館で日本近代洋画展開催

2007年10月

1880年代にサロンの画家ラファエル・コランに師事した黒田清輝から、エコール・ド・パリで活躍した藤田嗣治まで、フランスに留学した洋画家12名の留学期および帰国後の作品約50点を展示する「黒田清輝から藤田嗣治まで~パリに学んだ洋画家たち~」展が、24日からパリ日本文化会館で開催された(08年1月26日まで)。黒田の「婦人図(厨房)」をはじめ、藤島武二安井曽太郎梅原竜三郎、佐伯祐三らの優品が出品され、フランスで日本近代洋画が紹介される稀少な機会となった。

重要文化財(建造物)の答申

2007年10月

文化審議会(石沢良昭会長)は19日、早稲田大学大隈記念講堂や岩手県遠野地方特有の曲がり屋形式の民家「千葉家住宅」(遠野市)など10件を重要文化財とするよう渡海紀三郎文部科学相に答申した。また、重要伝統的建造物群保存地区として豊岡市出石を新規に、世界遺産の石見銀山のある大田市大森銀山を追加で選定するよう答申した。これにより建造物の重要文化財は2327件(うち国宝は213件)となった。

「狩野永徳」展開催

2007年10月

遺品が少ないことからまとまった展観がなされてこなかった狩野永徳の展覧会が京都国立博物館で16日から開催された(11月18日まで)。近年、新たなに発見された作例を網羅し、「墨を極める」、「永徳と扇面画」、「為政者たちのはざまで」、「時代の息づかい―風俗画」、「桃山の華―金碧障屏画」、「壮大なる金碧大画」の章立てで71点が出品された。父の松栄、弟宗秀、長男光信らの代表作を合わせて展示し、永徳の画業を再考する貴重な機会となった。

「宋元仏画」展開催

2007年10月

大陸との交易や人の往来によって請来された宋元仏画の50件約130点を展示し、異国の仏をどのように受容したかを探る「宋元仏画」展が、13日から11月25日まで、神奈川県立歴史博物館開館40周年記念特別展として開催された。中世の鎌倉が、主に寧波からもたらされ大陸の文物や文化を受け入れる中心となっていたことへの再認識を促すとともに、南宋から元へ王朝が移り変わる中で変化する作風を国宝1件、重要文化財24件を含む優品であとづける展観となった。

「岡倉天心―芸術教育の歩み―」展開催

2007年10月

東京美術学校開校から120年を迎える東京芸術大学では、今年、様々な記念事業が行われているが、開学記念日である10月4日から11月18日まで「岡倉天心―芸術教育の歩み―」展を同大学美術館で開催した。写真や資料によって天心を概観する第一章、美術学校が収集した古美術品によって天心の日本美術への関心を探る第二章、天心在職中の東京美術学校の授業内容を紹介する第三章、古美術保存など、天心が始めた社会との連携事業に注目した第四章によって構成され、日本近代の美術教育の歴史の一端に光を当てた展観となった。

メセナ大賞受賞者決定

2007年10月

企業メセナ協議会は芸術文化の振興に貢献した企業や企業財団に贈る「メセナ アワード2007」の受賞者を発表した。メセナ大賞は東京銀座で1919年から資生堂ギャラリーを運営してきた資生堂に、また、社員や家族に文化芸術の鑑賞、参加機会を提供する活動に贈る「文化庁長官賞」はアサヒビール大山崎山荘美術館を運営するアサヒビール芸術文化財団に贈られた。大賞に次ぐ賞の美術関係の受賞者として、地域文化振興賞に北野建設(北野美術館、北野文芸座などを運営)、企画運営賞に東京オペラシティ財団が選ばれた。

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