京都の寺院で仏像盗難多発
2009年01月31日、京都市東山区の建仁寺の方丈にあった「木造十一面観音坐像」が盗まれているのを僧侶が発見し東山署に届けた。2008年9月には仁和寺で十一面観音像が、同年10月には山科区の毘沙門堂で毘沙門天像が盗まれており、京都の寺院で盗難が多発している。2008年3月にニューヨークの競売で鎌倉時代の仏師運慶の作品とされる「木造大日如来坐像」が高額で落札されたことなどが背景として指摘された。
31日、京都市東山区の建仁寺の方丈にあった「木造十一面観音坐像」が盗まれているのを僧侶が発見し東山署に届けた。2008年9月には仁和寺で十一面観音像が、同年10月には山科区の毘沙門堂で毘沙門天像が盗まれており、京都の寺院で盗難が多発している。2008年3月にニューヨークの競売で鎌倉時代の仏師運慶の作品とされる「木造大日如来坐像」が高額で落札されたことなどが背景として指摘された。
臨済宗で最大規模の宗派である妙心寺派の大本山、妙心寺にまつわる絵画、書などを展観する「妙心寺」展が20日より東京国立博物館で開催された(3月1日まで)。同寺開山として迎えられた関山慧玄禅師(無相大師)の650年遠諱を記念したもので、Ⅰ臨済禅、Ⅱ妙心寺の開創、Ⅲ妙心寺の中興、Ⅳ禅の空間Ⅰ、Ⅴ遠諱の風景、Ⅵ妙心寺と大檀越、Ⅶ近世の禅風、Ⅷ禅の空間Ⅱ、の8章による構成で、建武4(1337)年に開山してから江戸時代までの同寺の歴史を名僧の書画や肖像、塔頭の障壁画など220点が出品され、6世紀半以上におよぶ禅文化の変遷を跡付ける充実した展観となった。同展は京都国立博物館に巡回した(3月24日から5月10日)。
自治体による歴史的な町並みの整備を国が補助する「歴史まちづくり法」が2008年に施行されたのを受け、国土交通省、農林水産省と文化庁は19日、石川県金沢市、岐阜県高山市、滋賀県彦根市、山口県萩市、三重県亀山市の5市を補助対象に認めた。整備にかかる費用の三分の一から二分の一を国が補助するもので、国の重要文化財や史跡などに指定され既に国の補助を受けているものは対象から除く。
文化審議会(石沢良昭会長)は16日、京都市の三宅八幡神社に奉納された「子育て祈願絵馬」を重要有形民俗文化財に指定するよう塩谷立文部科学相に答申した。これで重要有形民俗文化財は207件になった。
平面美術の若手作家を奨励するVOCA賞の第16回目の受賞作品は三瀬夏之介の「J」に決まった。VOCA奨励賞は樫木とも子「屋上公園」「ふくろのウサギ」、竹村京「dancing N.N. at her room and at the same time in a library in Berlin」、佳作賞は今津景「COSMOPOLITAN」、桜井りえこ「あやとり」「金魚のおはか」、大原美術館賞は浅井祐介「人」「今日は今日」「植物」、府中市美術館賞は高木こずえ「ground」にそれぞれ贈られることとなった。受賞作などを展示するVOCA展2009は3月15日から3月30日まで東京都の上野の森美術館で開催された。
御物をはじめ宮内庁、京都御所に伝わる品々や寺院・社寺へ下賜された書画、工芸品、旧御所障壁画などにより宮廷文化をふりかえる「御即位二十年記念 京都御所ゆかりの至宝-甦る宮廷文化の美」展が10日から京都国立博物館で開催された(2月22日まで)。第一章「京都と天皇の遺宝」、第二章「桂宮家と桂離宮」、第三章「宮廷と仏教」、第四章「宮廷の装束」、第五章「御所の工芸」、第六章「紫宸殿の荘厳」、第七章「御所を飾った障壁画」、第八章「御所の障屏画」の構成で、平安時代から明治時代に至る130点が出品された。
芸術文化における優れた業績を顕彰する毎日芸術賞(主催:毎日新聞社)の第50回目の受賞者が発表され、美術関係では、映像Ⅱ(写真)部門で石内都(「石内都展 ひろしま Strings of Time」広島市現代美術館、写真集『ひろしま』(集英社)に対して)が、美術Ⅰ(絵画・彫刻)部門で舟越桂(「舟越桂 夏の邸宅」展(東京都庭園美術館)に対して)が受賞した。
08年度朝日賞(朝日新聞文化財団主催)の受賞者が1日に決定した。美術関係では漫画家の水木しげるが「妖怪や戦争を題材とした幅広い創作による漫画文化への貢献」により受賞した。
政府は15日、関係者連絡会議で世界遺産に国内から推薦する候補を記載する「暫定リスト」に「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」「九州・山口の近代化産業遺跡群」「宗像・沖ノ島と関連遺産群」の3件を追加すると決定した。
文化審議会(石沢良昭会長)は12日、武庫川女子大学甲子園会館(旧甲子園ホテル、兵庫県西宮市)など158件を有形登録文化財に登録するよう、塩谷文部科学相に答申した。建造物の登録はこれで7408件となった。
日本芸術院(三浦朱門院長)は28日、今年度の新会員として15名が内定したと発表した。美術関係では清水達三(日本画)、藤森兼明(洋画)、市村緑郎(彫塑)、山本真輔(彫塑)、中井貞次(工芸)、日比野光鳳(書)、谷口吉生(建築)が選ばれた。12月15日付で塩谷文部科学相により発令された。
優れた美術評論や美術史の研究に対して贈られる倫雅美術奨励賞(公益信託倫雅美術奨励基金主催)の第20回目の受賞者は、西山純子(千葉市美術館学芸員、「日本の版画1941―1950」展の企画と図録論文に対して)、貝塚健(ブリヂストン美術館主任学芸員、「岡鹿之助展」の企画と図録論文に対して)に決定した。授賞式は12月11日、都内のグランドプリンスホテル赤坂で行なわれた。
宮内庁が陵墓参考地に指定している前方後円墳「御廟山古墳」を同庁と堺市が発掘し、27日に地元住民に、29、30日には一般に公開した。宮内庁と自治体が連携しての発掘および、宮内庁管理の陵墓の一般公開は初めてである。
文化庁は27日、キトラ古墳(奈良県明日香村)の石室天井に残っていた天文図の剥ぎ取りを終了したと発表した。これで2004年8月に始まった同古墳の、現在確認されている全ての壁画の剥ぎ取りが完了した。以後、泥に覆われた部分に壁画が隠れていないかの確認、剥ぎ取った壁画の修復、保存に力を入れる方針となった。
文化審議会(石沢良昭会長)は21日、加賀藩主前田家墓所など9件を史跡に、不知火及び水島(熊本県谷八代市、宇城市)など2件を名勝に指定し、また「宇治の文化的景観」など6件を重要文化的景観に選定、近江八景・三井晩鐘など3件を登録記念物に登録するよう、塩谷文部科学相に答申した。
近代絵画の父とされるセザンヌの作品とその画風に学んだ画家の作品を対比する「セザンヌ主義―父と呼ばれる画家への礼賛」展が15日から横浜美術館で開催された(1月25日まで)。日本におけるセザンヌ受容をテーマに、日本所在のセザンヌ作品を集めた「セザンヌ展」が1999年に同館で行われたのを踏まえ、本展ではゴーギャン、モディリアニ、ピカソら西欧の画家、および安井曽太郎、小野竹喬ら日本の洋画家、日本画家による作品をセザンヌ作品と比較し、その造形について考察しようとするもので、日本におけるセザンヌ受容を国際的視点から再考する機会となった。同展は北海道立近代美術館に巡回した(09年2月7日から4月12日)。
サントリー文化財団は12日、第30回サントリー学芸賞受賞者を発表した。美術関係では、林洋子(京都造形芸術大学准教授、『藤田嗣治 作品をひらく―旅・手仕事・日本』(名古屋大学出版会)に対して)、平松剛(『磯崎新の『都庁』-戦後最大のコンペ』(文藝春秋社)に対して)が受賞した。
鎌倉時代後期以降、当時西国とされた山陰、九州地方で仏師運慶の一門が活躍したことに注目し、33点の作品によってその意味を再考する「運慶流」展が山口県立博物館で11日から開催された(12月21日まで)。戦が神仏の戦いでもあった中世の信仰のあり方を背景に、蒙古襲来や南北朝の争乱で実際の戦地となった山口・九州で運慶の後裔たちの様式が好まれた理由を探ろうとする意欲的な試みとなった。同展は、09年1月1日から2月15日まで佐賀県立美術館に巡回した。
14世紀末に創始されてから500年以上続いた朝鮮王朝の絵画を通観し、それらとかかわりを持ったと考えられる室町・江戸期の絵画を併せて展示する「朝鮮王朝の絵画と日本 宗達、大雅、若沖も学んだ隣国の美」展が2日から栃木県立美術館で開催された。第一部「朝鮮絵画の精華」、第二部「日本人のまなざし」の構成で日韓両国から集められた325点が出品され、朝鮮王朝の絵画をまとまったかたちで鑑賞でき、また、我国の絵画との交流について再考を促す貴重な機会となった。同展は静岡県立美術館、仙台市博物館、岡山県立美術館に巡回した。
政府は28日、2008年度の文化勲章受章者、文化功労者を発表した。美術関係では、澄川喜一(77、彫刻家として日本的な感性に基づく、研ぎ澄まされた抽象彫刻を発表し続け、地域の文化振興にも貢献したことに対して)、奥田小由女(71、丹念に彩色する技法と今日的で自由な発想をあわせ持ち、創造的な作品を発表し続け、工芸界の発展に貢献したことに対して)が文化功労者に選ばれた。