日本の武器武具

1976年10月

東京国立博物館秋季特別展として、5日から11月23日まで、先史時代から江戸時代後期に至るわが国の武器・武具の変遷を追い、美を問い、歴史を回想しようとする武器武具展が開催された。

キュービスム展

1976年10月

近代美術史上で重要な位置をもつキュービスム美術の外国作家93点、日本作家41点による展覧会が、2日―11月14日、東京国立近代美術館で開催された(京都展:11月23日―12月19日)。わが国でキュービスムが大規模な展覧会として組織的に紹介されたのは初めてのことであり、多くの注目を集めた。

日本の肖像

1976年10月

京都国立博物館では秋季特別展として、肖像彫刻、肖像画をとりあげ、1日から31日まで1ケ月間開催された。奈良時代の鑑真和上像をはじめ、中世の似絵、頂相、近世の武人像、江戸後期の渡辺崋山筆の諸肖像など、わが国肖像が展望された。

第7回中原悌二郎賞

1976年09月

新制作協会会員の彫刻家吉田芳夫の第40回新制作展出品の「白恋」に授与された。そのほか、優秀賞に田中信太郎(無所属)「デスタンス・シリーズ 四つのR」、掛井五郎(新制作協会会員)「バンザイヒル」が選ばれた。授賞式は10月4日。

東郷青児美術館開館

1976年09月

東郷青児(日本芸術院会員、二科会会長)の作品、並びに同氏による蒐集品を陳列展示する美術館として、財団法人安田火災美術財団が東京・新宿の安田火災海上本社ビルの42階に東郷青児美術館を設立、9日開館された。

日本最古の木簡発掘

1976年08月

7日、奈良県明日香村の伝承板蓋宮跡発掘調査現場から大化5年(649年)に制定され、天智3年(664)まで使われた冠位19階制の官位が記入された木簡が発見され、古代史家の注目をあびた。

町なみ保存の指定始まる

1976年07月

文化庁は歴史的な由緒ある町並みを保存するため「伝統的重要建造物群保存地区」制度を新設、23日、木曽の妻籠宿など7地区を選定した。

桂離宮解体修理始まる

1976年07月

京都桂離宮は、昭和48年から修理のための基礎調査が行われていたが、「早急に修理が必要」と結論づけられ、創建以来350年ぶりに全面解体の昭和の大修理が2日より5ケ年計画で始まった。

安田靫彦展

1976年06月

現代日本画界の長老、日本美術院の安田靫彦の70余年にわたる画業のうちから、日本画74点、書6点、写生10点を選んだ回顧展が、東京国立近代美術館において、10日から7月11日まで開催された。

日本国宝展

1976年05月

京都国立博物館は読売新聞社と共催して、前回、昭和44年に開催した時出陳しなかったもの、及び昭和44年以降指定された国宝約160件(360点)を1日から6月6日まで展示した。

平安鎌倉時代の金銅仏

1976年04月

奈良国立博物館春季特別展は29日から5月30日まで、従来世人の注意をあまりひかなかった平安・鎌倉時代の金銅仏を近年の調査の成果をとり入れて、124件展示、この時代の金銅仏に対する世の認識を新にした。

日本建築学会賞

1976年04月

日本建築学会は昭和51年度日本建築学会大賞と同50年度日本建築学会賞(3部門)を決定。大賞は、東京大学名誉教授坪井勝。「平面および曲面構造に関する研究と設計に関する一連の業績」に与えられた。なお、学会賞第2部門作品には、磯崎新「群馬県立近代美術館」が選ばれた。

中華人民共和国古代青銅器展

1976年03月

日中文化交流協会創立20周年および日本経済新聞創刊百周年を記念して、商(殷)から西周、春秋戦国、秦漢にいたる各時代の青銅器114点、唐代金銀器7点、秦始皇陵東域出土武士俑・陶馬など9点、合計130点が、中華人民共和国政府と中国出土文物展覧工作委員会の好意により、東京国立博物館(3月30―5月16日)と京都国立博物館(6月15―8月8日)に於いて展観された。

新指定の文化財

1976年03月

今回、新指定された国宝は京都醍醐寺五重塔初重内部の壁画、京都府宮津市の海部家に伝わる海部氏系図の2件、重要文化財は、美術工芸品61件、(絵画13、彫刻8、工芸16、書跡18、考古6)、建造物17件(民家9、社寺その他8)。考古1件、民家1件、社寺3件が追加指定された。

重要無形文化財(人間国宝)の指定

1976年03月

文化財保護審議会(田中義男会長)は、重要無形文化財の2名を認定し、26日永井文相に答申した。そのうちの1人に工芸技術部門(唐津焼)十二代中里太郎右衛門(号、無庵)が選ばれた。

第1回吉田五十八賞

1976年03月

建築家吉田五十八の遺志による吉田五十八記念芸術振興財団(理事長高橋誠一郎)が、毎年建築、その関連美術の2部門を表彰するもので、第1回は建築部門で深谷浩一の「臨南寺本堂」に決定した。関連美術は該当作なしとなり、代わりに今回特別賞として、木工用具に対する業績で吉野鉄之助、大場正一郎、神吉義郎の3人が選ばれた。

芸術選奨決まる

1976年03月

演劇、映画、音楽、美術など10部門の芸術分野で、過去1年間に優れた業績を挙げた人たちに贈られる文部省の昭和50年度芸術選奨文部大臣賞と、同新人賞が10日決まった。文部大臣賞の美術部門は、工芸家芳武茂介、写真家東松照明で、前者は前年11月の個展での鉄器が伝統的な手仕事のよさを発揮したこと、後者は写真集「太陽の鉛筆」が沖縄、東南アジアの人の自然と生活を的確にとらえたことが授賞の対象となった。なお、新人賞は、デザイナー福田繁雄で、グラフィック・デザインに立体的発想を取り入れることに成功したことの理由による。

熊本県立美術館開館

1976年03月

熊本市の熊本城二の丸跡に熊本県立美術館(前川国男設計、小山岑雄館長)が完成、開館した。同館では熊本地方にゆかりのある美術品を収蔵する方針で、すでに細川家に伝わる永青文庫の寄託品のほか、海老原喜之助、浜田知明らの作品も収められている。また、地下に常設の装飾古墳展示室を備え、地方美術館の特色を出している。

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