第28回現代日本美術展大賞決定
1999年04月23日から東京都美術館(東京上野)で開かれた同展は、155点の入選作から大賞に古川勝紀の「微風の中へ―国道254―Ⅱ」、準大賞に岡崎ゆみこの「Y・U・M’99」が選ばれた。
23日から東京都美術館(東京上野)で開かれた同展は、155点の入選作から大賞に古川勝紀の「微風の中へ―国道254―Ⅱ」、準大賞に岡崎ゆみこの「Y・U・M’99」が選ばれた。
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、16日、藤原為家が紀貫之の自筆原本を忠実に書き写した古写本「土佐日記」(大阪府箕面市、大阪青山学園)など4件を国宝に、黒田清輝の「湖畔」(東京国立研究所保管)など36件を重要文化財に指定するよう有馬朗人文相に答申した。また、「日本工業倶楽部会館」(東京都千代田区)など文化財建造物113件を登録有形文化財に新規登録するよう答申した。
米国ボストン美術館の姉妹館となる名古屋ボストン美術館が、愛知県名古屋市中区に完成し、16日開館式典を開催した。同美術館は、今後、ボストン美術館の所蔵作品から選んだ作品をもとに、年に2回の企画展と5年ごとの常設展示で活動をつづけることになった。開館記念展は、「モネ、ルノワールと印象派」展を開催した。
日本を含む、中国、韓国、台湾などの東アジアの近代化と西洋化の推移を検証しようとする同展が、10日から静岡県立美術館で開催された。東アジアの各地域の「油画」193点によって構成された同展は、モダニズムの受容と固有性の主張を比較できる機会となり、貴重なこころみであった。(会期、5月23日まで、以後同展は、兵庫県立近代美術館など4美術館を巡回した。)
文化庁は、30日、98年12月に施行された「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」(美術品公開促進法)に基づく登録工芸品5件を発表した。同法は、指定文化財や世界的な価値を持つ私蔵美術品を国に登録して、一般公開を促進することを定めた法律で、その第一号として、パリ万博(1888年)出品のために制作された「菊花文飾壺」(二代横山弥左衛門作)など5件が決定、所有者と東京国立近代美術館、高岡市美術館がそれぞれ公開のための契約を結び、両美術館で公開されることになった。
文化庁長官の私的諮問機関「新しい美術展示施設に関する基本計画検討協力者会議」(座長・平山郁夫日本芸術院理事長)は、30日、基本計画をまとめ、林田英樹長官に提出した。基本計画によると、日展をはじめとする公募展や企画展の開催を目的とし、2000年度末に移転する東京・六本木の東大生産技術研究所などの跡地を建設場所にあて、14,000平方メートルの展示面積をもつ展示専用施設として2006年度の開館を目指す。
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、19日、日本橋(東京中央区)など11件の建造物を重要文化財に指定し、1件の街並みを重要伝統的建造物群保存地区に、49件の建造物を登録有形文化財に指定するよう有馬朗人文相に答申した。
日本芸術院(犬丸直院長)は、19日、芸術の各分野で顕著な功績のあった人に贈る平成10年度の日本芸術院賞受賞者を決定した。恩賜賞・日本芸術院賞の第1部(美術)受賞者には、陶芸家西本瑛泉(71)(日展出品作「玄窯縄文譜『黎明』」に対し)、日本芸術院賞には洋画の島田章三(65)(国展出品作「駅の人たち」に対し)、彫塑の山田良定(67)(日展出品作「開幕の刻」に対し)、書の日比野光鳳(70)(日展出品作「花」に対し)、建築の伊東豊雄(57)(「大樹海ドーム」設計に対し)が選ばれた。授賞式は6月7日に東京上野の日本芸術院会館で行われた。
芸術の分野で昨年一年間に優れた業績をあげた人々に贈られる芸術選奨の受賞者が、17日文化庁から発表された。美術関係では、小野具定(85)(「記憶の風景 2・26の午後」)、染色家三浦景生(82)(「染めの詩 三浦景生展」)が文部大臣賞、また庭園デザイナー枡野俊明(46)(「麹町会館の青山緑水の庭」)が新人賞を受賞した。
日本学士院(藤田良雄院長)は、12日総会を開き、学術の分野で優れた業績をあげた9件10人に平成11年度の同院賞を贈ることを決め、公表した。美術関係では、佐々木丞平(京都大学大学院教授)、佐々木正子(日本画家)による共同研究「円山応挙研究」に対して贈られた。
宍道湖畔に建設がすすめられていた島根県立美術館が、6日、島根県松江市に開館した。絵画、版画、工芸、写真、彫刻の5展示室をもち、ほかにアートライブラリー、ミュージアムショップなどの施設を有している。開館記念展には、「水の物語 ヨーロッパ絵画にみる神話と象徴」展を開催した。
アジアの近代、現代美術を専門に収集展示する施設として世界で最初となる同美術館が、6日、福岡市博多区に開館した。複合商業ビル博多リバレインの7、8階を施設として利用し、延べ床面積は9,785平方メートル、開館記念展としてアジアの21ヶ国、地域の作家が参加した「第1回福岡アジア美術トリエンナーレ1999」を開催した。
平成11年度の文化庁予算は、前年度比1.7%減の805億400万円とすることが決まった。長期にわたる経済情勢の悪化のため、2年連続、前年比マイナスとなった。
日仏の国宝級交換展示により同作品が、東京国立博物館で26日より、特別展観(文化庁等主催)の一般公開がはじまった。これは、「日本におけるフランス年」の一貫として開催されたもので、日本では初公開となった。
西武美術館として75年9月開館の同美術館(東京池袋)は、「アルヴァー・アールト」展を最後に22日に閉館した。開館記念展「日本現代美術の展望」以来、25年間に260の企画展を開催して、入場者が900万人にのぼった同美術館は、つねに先駆的で、多彩な展覧会を企画して活動してきたが、運営母胎のリストラにより閉館となった。今後、同美術館のスタッフの一部は、「セゾン・アート・プログラム」として、独自の会場をもたずに、現代美術を中心に活動をつづけることになった。
平面美術の分野で国際的に通用する若手作家を支援するVOCA展(同展実行委員会、財団法人日本美術協会、上野の森美術館主催)の最高賞であるVOCA賞は、やなぎみわ「案内嬢の部屋B4」に決定した。奨励賞には、石川順恵、高柳恵里、堂本右美、平町公が選ばれた。
17日、大分市美術館が開館した。延べ床面積9,036平方メートル、地上2階建て、常設展示室4室、企画展示室2室などの施設をもつ。これまで近世絵画から現代美術まで約1,000点を収集、開館記念展には「田能村竹田と上方文化―絵画に見る」展を開催した。
優れた芸術活動をした個人・団体を顕彰する1998年度の第40回毎日芸術賞は、6氏(内1氏が、このほど千田是也の遺族からの寄託により新設された千田是也賞)に贈られることになった。美術関係では、彫刻家村岡三郎(「村岡三郎展」の成果に対し)、陶芸家楽吉左衛門(「樂茶碗の四〇〇年 伝統と創造展」の成果に対して)に贈られ、贈呈式が29日、東京会館で行われた。
文化庁は、コンピューターグラフィックス(CG)やアニメなど新しい分野の芸術作品を対象に昨年度創設された「メディア芸術祭」の受賞作品を決定した。アニメーション部門、マンガ部門、デジタルアート・インタラクティブ部門、デジタルアート・ノンインタラクティブ部門の4部門からなり、マンガ部門大賞に「坂本竜馬」(黒鉄ヒロシ)をはじめ、大賞、優秀賞が決定した。授賞式は、2月26日、新国立劇場小劇場で行われた。
わが国の文化・社会の発展に多大な貢献をした個人・団体に贈られる朝日賞受賞者を選ぶ財団法人朝日新聞文化財団と朝日新聞社の選考委員会(委員長・松下宗之同財団理事長、同社社長)は、1998年度の受賞者5氏を決定した。美術関係では美術史家山根有三が、「『山根有三著作集』完結にいたる日本美術史、とくに中世、近世絵画史における功績」によって、そして陶芸家鈴木治が、「『走泥社』を長年運営し陶芸界に新しい領域を開いた功績」によって、それぞれ受賞。贈呈式は21日、東京日比谷の帝国ホテルで行われた。これで第1回以来の同賞受賞者は377人、25団体となった。