第1回和島誠一賞決定
2000年07月文化財保護の分野で功績のあった個人や団体を顕彰するため、文化財保存全国協議会が創設した同賞の受賞者に、直木孝次郎(大阪市立大学名誉教授)と大分県文化財保存協議会(二宮淳一郎会長)が選ばれた。
文化財保護の分野で功績のあった個人や団体を顕彰するため、文化財保存全国協議会が創設した同賞の受賞者に、直木孝次郎(大阪市立大学名誉教授)と大分県文化財保存協議会(二宮淳一郎会長)が選ばれた。
イタリア文化会館主催の同賞は、「プリーモ・レーヴィへの旅」(朝日新聞社)の著者徐京植、「ヴェネツィアと日本―美術をめぐる交流」(ブリュッケ)の著者石井元章(大阪芸術大学助教授)に決定した。授賞式は、6月19日にイタリア大使館でおこなわれた。
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、19日、5人を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するよう中曽根弘文文相に答申した。工芸技術の部では、経錦の北村武資(64)、芭蕉布の平良敏子(79)、越前奉書の岩野市兵衛(66)が選ばれた。これで、現在の人間国宝は109人となった。
新潮文芸振興会が主催する第13回新潮四賞のうち日本芸術大賞は、5月16日の選考会によりデザイナーの三宅一生に決定した。授賞式は、6月23日に東京、虎の門のホテル・オークラでおこなわれた。
埼玉県浦和市(現さいたま市)に市立の同美術館が、浦和センチュリーシティービル内に、4月15日に開館した。美術館は、ビルの2、3階を占め、延べ床面積2,300平方メートル。コレクションは、浦和ゆかりの美術家の作品と20世紀のアーティスト・ブックを中心にしている。開館記念展として、「浦和画家とその時代―寺内万治郎・瑛九・高田誠を中心に」展が、6月18日まで開かれた。
密教伝来とともに、わが国にもたらされた図像としての明王を、その造形の諸相にわたって展観する展覧会が、4月29日から奈良国立博物館で開催された。「五大明王」、「不動明王」、「愛染明王」等及び関連資料、約120点によって構成され、仏像のなかでも、もっとも変化に富んだ造形が総覧された。(会期、6月4日まで。)
政府は、2000年春の褒章受賞者を4月29日付で発令した。美術関係の紫綬褒章受章者は、立体造形作家江口週(68)、漫画家東海林さだお(62)、美術評論家高階秀爾(68)、金工作家魚住安彦(62)。
松平定信を中心に編纂された『集古十種』に、収められた古文化財を展示し、好古の視線を検証する展覧会が、4月22日から福島県立博物館で開催された。同書に収められ、記録された多様な古物のなかから、現存する資料等約100点によって構成され、定信の情報収集の姿と、好古趣味を多角的に検証した展覧会となった。(会期、6月11日まで。)
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、17日、藤原定家自筆の「明月記」(冷泉家時雨亭文庫)、木造弘法大師坐像(教王護国寺)の2件を国宝に、黒田清輝の「智・感・情」(東京国立文化財研究所)、上村松園の「序の舞」(東京芸術大学)など45件を重要文化財に指定するよう中曽根弘文文相に答申した。また、「東京大学教養学部時計台」など95件を登録有形文化財に登録するよう答申した。
笠間焼を中心に、陶芸専門の県立美術館として茨城県笠間市の笠間芸術の森公園内に同美術館が、4月15日に開館した。建物は、地上二階、地下一階、延べ床面積6,751平方メートル。板谷波山をはじめ、人間国宝の27名の作品を展示する常設展示室と、笠間焼の歴史を紹介する展示室などを備えている。開館記念展として「人間国宝展 技と美を極める匠たち」が、6月18日まで開催された。
日本とオランダの交流400年を記念して企画された同展が、4月4日から大阪市立美術館で開催された。ヨハネス・フェルメールの「青いターバンの少女」など5点とデルフト派の作品約30点によって構成され、国内でフェルメールの作品に接することができる、またとない機会となった。(会期、7月2日まで。)
江戸時代、天明から寛政年間にかけて、独自の画境をもって活躍した画家長沢蘆雪の回顧展が、4月4日から千葉市美術館で開催された。米国のプライス・コレクションからの里帰り作品を含む、約100点によって構成され、形式にとらわれないその個性豊な芸術が回顧された。(会期、5月7日まで。以後同展は、和歌山県立博物館に巡回した。)
日本画を20世紀の日本が生んだ近代絵画として回顧しようとする展覧会が、4月4日から東京芸術大学大学美術館で開催された。同展は、東京国立近代美術館の企画協力を得て実現されたもので、菱田春草から中島千波まで、67点で構成され、近代日本画の流れをたどるとともに、同大学の東京美術学校時代からの「日本画科」の伝統をもふりかえる企画であった。(会期、5月28日まで。)
同大学が、東京、多摩センター駅前の旧東京国際美術館の建物を取得し、改修工事をすすめてきたが、同美術館は、4月1日に開館した。開館記念展としては、「ベン・シャーン―人びとへ、二十世紀から」展を開催した。(会期、6月25日まで。)
平成12年度の文化庁予算は、前年度比0.4%増の807億9,100万円とすることが決まった。三年連続のマイナスは避けられたが、「ナショナル・ギャラリー」(仮称)、「九州国立博物館」(仮称)の設置等の事業が本格化することにともなうものとなった。
故木村伊兵衛の業績を記念して朝日新聞社が、昭和50年に創設した同賞は、鈴木理策の写真集「PILES OF TIME」(光琳社出版)を中心とする写真活動に対して贈ることを決定した。授賞式は、4月13日に東京、有楽町マリオン・朝日スクエアでおこなわれた。
故亀倉雄策の業績を記念して社団法人日本グラフィックデザイナー協会が主催する同賞は、グラフィックデザイナー永井一正氏のポスター「Life」全6点に贈ることを決定した。授賞式は、4月3日に東京、銀座のリクルートGINZA8ビルでおこなわれた。
文化財保護法施行50周年を記念して、東京国立博物館平成館で、3月25日から「日本国宝展」が開催された。絵画、書籍・典籍・古文書、彫刻、工芸、考古遺物の五部門の約200点を総合的に紹介する企画であった。(会期、5月7日まで。)
日本文化藝術財団が主催する同賞は、織物美術家の竜村順に、また日本現代藝術振興賞は、宮脇愛子、川俣正に決定した。授賞式は、3月24日に東京、元赤阪の明治記念館でおこなわれた。
芸術の分野で昨年一年間に優れた業績をあげた人々に贈られる芸術選奨の受賞者が、17日文化庁から発表された。美術関係では、インテリアデザイナー内田繁(57)(個展「棚のある空間」でのデザイン)、草間弥生(70)(展覧会「草間弥生 ニューヨーク/東京」)が文部大臣賞、また青木野枝(41)(造形「untitled」)が新人賞を受賞した。評論等部門の新人賞では、美術史家の小池寿子(44)が選ばれた。