- 本データベースは東京文化財研究所刊行の『日本美術年鑑』に掲載された彙報・年史記事を網羅したものです。
- 現在、2019年/平成31(令和元)年まで公開しています。(記事件数
5,450 件)
1953年03月 一四日よりロンドンの国立テートギャラリーで開かれた「知られざる政治囚」の課題をもつた国際彫刻コンクールに参加の招待は主催者の現代美術協会から昨年一月にとどいた。これに対し日本美術家連盟やその他各作家が知人を通じて通知をしたため申込は多数に上つたが、審査規約の変更などの事情もあり、出品申込手続や審査方法などに関して国内で意見の対立が起つた。そこで斎藤素巌、加藤顕清、本郷新、和田新等が世話人となつて一本化をはかり、審査委員を決定して、一月九日から一〇日間銀座松坂屋で国内展示会と審査会を行い、笠置季男など七人の作品が選ばれて発送された。朝日新聞社がこれを後援した。この銓衡にあくまで反対した作家二〇数名は、コンクールには参加出来なかつたが、ロンドン展と同じ時に丸善で別に発表会を開いた。
1953年02月 ワシントンで開催中の日本古美術展に政府代表文化使節として派遣される文化財保護委員会委員矢代幸雄は一七日出発、米国側と交歓をとげ五月二二日帰国した。
1953年02月 英国の陶芸家バーナード・リーチは欧米を外遊中であつた陶芸家の浜田庄司、日本民芸館長柳宗悦とともに、一七日羽田に到着した。一七年ぶりの来日で一年ほど滞在し制作する予定である。
1953年02月 朝倉摂に決定 上村松園賞の第三回は新制作協会々員、朝倉摂の「働らく人」(第一六回新制作協会展)およびその他一連の作品に決定し五日発表された。福田平八郎、小野竹喬、山口蓬春、山本丘人、上村松篁の選考委員によつて、二七年度中に公開された女流画家の日本画作品のうちから選ばれたものである。
1953年02月 昭和二七年度(第九回)の恩賜賞及び日本芸術院賞が内定し、九日日本芸術院から発表された。 恩賜賞 洋画 石川寅治 洋画界および絵画教育につくした功績に対し 日本芸術院賞 第一部-美術 日本画 児玉希望 作品「室内」(第八回日展出品)にたいし 彫刻 沢田晴広 作品「三華」(第八回日展出品)にたいし 工芸 香取正彦 作品「攀龍壺」(第八回日展出品)にたいし 書 辻本史邑 作品「白詩七律」(第八回日展出品)にたいし 建築 村野藤吾 建築界につくした功績にたいし 他部門略。 五月二五日午後二時から東京国立博物館において授賞式が行われた。
1953年01月 丸木位里、赤松俊子夫妻が広島に取材して描いた五部作の「原爆の図」が国際平和文化賞のゴールデン・メタルに入賞したと世界平和評議会からの知らせが二八日とどいた。国際平和文化賞は世界平和評議会が平和擁護に貢献した文学、絵画、映画などの文化的作品に授与するため本年度から設定した賞である。
1953年02月 西ドイツのシュトウッツガルト市で二一日から三月八日まで開かれるシュトウッツガルトのバアデンヴェルテムベルグ州実業団主催の国際工業デザイン展へ日本も参加することになつた。主催者より出品招待をうけた日本インダストリアル・デザイナー協会では費用や日時の都合上、実物ではなく写真を主として出品することに了解を得て、各デザイナーより参加を求め、そのうちから五六点を選び、五日航空便で発送した。
1953年01月 日本古美術展は前年々末係官及美術品が米国に到着して準備を重ねていたが、二五日ワシントンナショナルギャラリーで蓋をあけた。引続きニューヨーク、シャトル、シカゴ、ボストンの各都市に於て開催され、多大の反響を呼んだ。
1953年01月 阪大理学部浅田研究室ではベータートロンを利用して金属製品の内部を透視することに成功し、金銅仏の内部構造の撮影を試みた。重美「蔵王権現」の内部が鉄心が明瞭に現われたところから今後の利用が期待されている。
1953年01月 昭和二七年一月から一二月の間に公表された作品を対象とする第四回毎日美術賞は日本画、第八回日展出品の徳岡神泉「池」に決定し、一五日発表された。油絵・彫刻には該当作がなく、日本画だけに賞金一〇万円が贈られることになつた。
1953年01月 読売新聞社の主催により、一五日から二月一日まで日本橋三越に開催、新国宝の赤糸威鎧、紺糸威鎧等一〇〇余点の出品があつた。
1953年01月 唐招堤寺と朝日新聞社の共催により、一六日から二月一日まで上野松坂屋で開催、新国宝の秘仏鑑真和上像をはじめ、同寺の什宝約一〇〇点が出陳された。
1953年01月 毎年その一年間に発表された文学作品の最優秀作品を顕彰する読売文学賞の第四回(昭和二七年)が一日発表された。その中の文芸評論賞には凡そ一年間にわたつて芸術新潮誌上に連載され、完成とともに単行本として出版された小林秀雄の「ゴッホの手紙」が決定した。
1953年01月 一日から二月二二日まで神奈川県立近代美術館においてフランスのリュシアン・クートーの個展が開催された。油絵二九点、デッサン・水彩二六点、グワッシュ一四点、タピスリー一点、銅版画三〇点の展観であつた。