朝倉彫塑塾廃止

1986年05月

彫刻家の朝倉文夫が昭和21年経済的に恵まれない若い芸術家のために東京都台東区に設立した朝倉彫塑塾が、このほど廃止された。同塾は、朝倉が39年に死去したのちも経営が続けられたが、56年以降休止状態にあった。また同所の朝倉彫塑館も台東区に寄贈され、財団法人化されることとなった。

生誕120年記念黒田清輝展

1986年05月

黒田清輝の生誕120年を記念した大規模な展覧会が、10日から6月8日までの三重県立美術館を皮切りに、各地で行なわれた。当研究所所蔵品も多数出品され、油彩110点、パステル・水彩・デッサン53点、写生帖17冊、書簡・日記8点、参考資料7件と、生涯にわたる作品や資料が展観された。

ハーグ平和宮の西陣つづれ織り修復

1986年05月

現在「平和宮」の通称で知られるオランダ・ハーグの国際司法裁判所に73年前日本政府から寄贈された西陣つづれ織りが、修復を終え、披露が行われた。このつづれ織りは、大正2年平和宮が完成すると同時に日本政府が贈ったもので、原画は菊地芳文、制作を川島甚兵衛が行なったが、70余年の歳月を経て傷みが激しくなっていた。

明治初期の竹本焼の窯場位置確認

1986年05月

明治初期に東京都豊島区で焼かれた竹本焼の窯物の位置が、このほど確認された。元旗本の竹本隼太により創始され、ヨーロッパ風の製陶法を基礎にフランス風の竪窯を築いて制作したもので、内国勧業博覧会やパリ万博で受賞するなどしたが、竹本隼太の没後まもなく消え、忘れられた存在となっていた。

染織関係の展示施設次々にオープン

1986年04月

2000点を越える世界各地の染織品を集めた上村六郎コレクションを柱とした国際染織美術館(旭川市神居町忠和37-218)が、27日オープンした。続いて5月初めには、創業100周年の記念事業の一環として、鐘紡繊維美術館が大阪に開館。8月には、昭和59年に既に開館している川島織物文化館の文化展示施設として新館が完成、染織関係の施設の充実が注目された。

16回日本国際美術展

1986年04月

現代日本美術展と隔年で実施されている日本国際美術展の第16回展は、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。応募総数1352点の中から、214点が入選し、大賞に平面の二村卓児「NIGHT BISHOP-Ⅲ」が決定。以下、佳作賞5点、各美術館賞11名が決まり、新鋭の進出が目立った。

静岡県立美術館開館

1986年04月

総工費42億円、延床面積9238㎡の美術館、静岡県立美術館(静岡市谷田630)が、18日オープンした。国内外の山水画、風景画の収集をテーマとし、開館記念展に、ニューヨークメトロポリタン美術館からの特別出品も含めた「東西の風景画展」を開催した。また有数の中国絵画のコレクション「橋本コレクション」も同美術館に寄託された。

京都で1910年代欧米のポスター大量に確認

1986年04月

京都工芸繊維大学美術工芸資料館に昨年大阪市立美術館から移されたポスターやビラ3484枚の整理調査の結果、1914年より1921年頃までを中心とする欧米のポスター約650枚の含まれていることがわかった。ドイツの192点を最高にイギリス、アメリカ、フランス、ベルギーのものなどがあり、記録から知られている大正時代に朝日新聞創始者村山竜平や特派員らによって収集された約6000枚の資料と一致する可能性が示唆されている。

松本竣介展

1986年04月

戦前戦後にわたり、都市風景や人物像に鋭い感性を注ぎ込んだ松本竣介の回顧展が、5日から6月15日まで東京国立近代美術館で開催された。油彩49点、水彩・素描117点など、生涯にわたる作品が集められ、充実した展観となった。

鶴林寺太子堂柱から仏画発見

1986年04月

東京国立文化財研究所美術部長柳沢孝を中心とする調査団は、3日までに、既に釈迦涅槃図など国宝級の仏教壁画が確認されている兵庫県加古川市の鶴林寺太子堂内で、壁画をとり巻く4本の柱に不動明王など3体が描かれているのを確認した。赤外線カメラ、ビデオ、エックス線を使用した電子写真装置などの機器を導入し、厚く履われたススの中から像を発見したもので、同像もまた密教美術研究に貴重な資料となる第一級の作例であることが明らかとなった。

国立美術館に新館長就任

1986年04月

この春をもって国公立美術館に新館長が相次いで就任した。京都国立近代美術館の館長には、17年間在職した河北倫明にかわって前国立国際美術館館長の小倉忠夫、国立国際美術館新館長に文化庁より三木多聞、東京国立近代美術館館長には安達健二にかわって前文化庁長官の犬丸直がそれぞれ就任した。

文化財の新指定(美術工芸品、建造物)

1986年03月

文化財保護審議会(小林行雄会長)は29日、新たな重要文化財として、美術工芸品51件、建造物5件を指定するよう海部文相に答申した。美術工芸品では今回国宝の指定はなく、重要文化財として「紙本著色絵因果経」、鎌倉期の彫刻「木造千手観音立像」、江戸期の安井算哲作「天球儀」、冷泉家の古写本「伊勢物語」「文選」など、絵画9件、彫刻7件、工芸品8件、書跡・典籍9件、その他18件の計51件が指定された。これで美術工芸品関係の重要文化財は9351件(うち国宝827件)となった。 また建造物関係の重要文化財として、京都の真正極楽寺、岐阜の願興寺本堂など5件が新たに指定された。併せて重文指定済みの建築1件の宅地ほかが追加指定された。これで建造物関係の重要文化財は1993件3222棟(うち国宝207件249棟)となった。

人間国宝認定

1986年03月

文化財保護審議会(小林行雄会長)は28日、新たな重要無形文化財保持者(人間国宝)として5名を認定するよう、海部文相に答申した。これで人間国宝の認定者は173名(現存70名)となった。美術部門では色絵磁器の藤本能道、陶芸と鉄絵の田村耕一、衣裳人形の野口園生がそれぞれ選ばれた。鉄絵で選ばれたのははじめて。

世田谷美術館開館

1986年03月

収蔵作品約2000点、延床面積8223㎡の大型美術館、世田谷区立世田谷美術館(世田谷区砧公園1-2)が29日オープンした。ナイーフ派の作品収集を特色として国内の近現代作品の収集にも力を入れ、区立規模の美術館としては最大規模を誇る。開館記念展として「芸術と素朴展」を開催した。

比叡山と天台の美術展

1986年03月

比叡山延暦寺の開山1200年を記念した展覧会が、18日から5月5日まで東京国立博物館、5月20日から7月6日まで京都国立博物館で開催された。全国100余りの天台宗を中心とする寺院などが所蔵する、国宝、重文多数を含む比叡山ゆかりの遺品約300件が展観され、質の高い展覧会となった。

日本人建築家、海外で相次いで受賞

1986年03月

フランス建築アカデミーの1986年度建築大賞「ゴールドメダル」に、黒川紀章が選ばれた。同章は1965年に創設され、日本人の受賞は、1973年の丹下健三以来13年ぶり2人目。黒川はさらに6月、英国王立建築家協会の名誉会員に選ばれた。 また同じく3月、イギリス王室は、1986年度の英国王室建築金賞「ロイヤル・ゴールド・メダル」を磯崎新に授与することを決定、こちらも1965年の丹下健三以来の受賞となった。

毎日広告デザイン賞決定

1986年03月

昭和60年度第53回毎日広告デザイン賞が決定し、11日発表された。入選作品は、第1部(一般公募・広告主課題)21点、第2部(一般公募・発言広告の部)4点、第3部(広告主参加作品の部)36社1協会が選ばれた。第1・2部の最高賞は次の通り。 第1部 高屋博一、小笠原聖佳、横須賀洋、小林十蔵 第2部 鈴木武人、渡辺隆幸、丹羽政良

1回川端竜子賞決定

1986年02月

川端竜子の業績をたたえるとともに、日本画の振興を目的に和歌山市が創設した川端竜子賞の第1回受賞者が決定。大賞に森田りえ子「白日」、佳作賞に大野広子「火曜日」、来野あぢさ「Time of Day」がそれぞれ選ばれた。

建築学会文化賞創設

1986年02月

日本建築学会は、創立100周年を記念して文化賞を制定し、その受賞者12名を、27日発表した。町づくりや緑の保護、伝統工芸の発展などに貢献した人々に贈られるもので、美術関係からは、ニューヨーク在住の彫刻家イサム野口、建築評論家奥野健男らが選ばれた。

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