第75回日本学士院賞決定
1985年03月日本学士院(有沢広巳院長)は、12日の総会で、9件10人に対し昭和60年度の日本学士院賞を贈ることを決定。美術関係から日本学士院賞に鈴木敬(『中国絵画史』)、林巳奈夫(『殷周時代青銅器の研究』)が選出された。授賞式は6月10日東京上野の日本学士院会館で行なわれた。
日本学士院(有沢広巳院長)は、12日の総会で、9件10人に対し昭和60年度の日本学士院賞を贈ることを決定。美術関係から日本学士院賞に鈴木敬(『中国絵画史』)、林巳奈夫(『殷周時代青銅器の研究』)が選出された。授賞式は6月10日東京上野の日本学士院会館で行なわれた。
松前藩家老職をつとめながらアイヌの姿を描いた異色の画家蛎崎波響の代表作「夷酋列像」の原本かと思われる作品11点が、フランスのブザンソン博物館で発見された。これまで行方不明の作品だったが、調査の結果真筆とされた。
日本画の育成と新人発掘を目的に昭和46年以来隔年制で実施されてきた山種美術館賞の第8回受賞者が、11日の選考会で決定し発表された。大賞に岩沢重夫「古都追想」、優秀賞に滝沢具幸「地」、米谷清和「暮れてゆく街」がそれぞれ選ばれた。同賞展は30日から5月19日まで東京兜町の山種美術館で開催された。
イギリスのウィンザー城王室図書館に所蔵されるレオナルド・ダ・ビンチの素描600余点の中から、自然の研究シリーズ50点を出陳した展覧会が、9日から5月12日まで、東京池袋の西武美術館で開催された。大洪水の図をはじめとする風景素描、樹木・草花・水のスケッチなど貴重な作品が展示され、好機を提供した。
昨年1年間に芸術各分野で優れた業績をあげた人々に贈られる59年度芸術選奨文部大臣賞と新人賞が、27日文化庁の選考委員会で決定。美術部門では文部大臣賞に日本画家下保昭(「水墨黄山」シリーズ)、洋画家須田寿(「家族」)、新人賞にイラストレーター杉浦範茂(児童のための各種出版物におけるイラスト)、建築評論家鈴木博之(『建築の七つの力』)がそれぞれ選ばれた。
具象洋画の新人登竜門として回を重ねてきた安井賞の第28回受賞者が15日正式決定し発表された。入選作72点の中から大賞に櫃田伸也「風景断片」、佳作賞に玉川信一「二人の風景」が選ばれた。安井賞展は16日より3月3日までの池袋・西武美術館を皮切りに全国を巡回した。
松永文相は12日閣議後の記者会見で、鈴木勲現文化庁長官の後任として、第7代長官に作家三浦朱門を起用することを明らかにした。文化人の起用は初代の今日出海以来13年ぶりとなり、新長官は4月1日就任した。
大正15年松岡映丘とその門下生山口蓬春、小村雪岱ら27名が、漱石の作品「草枕」を題材に描いた絵巻が発見された。3巻本の絵巻に28図と詞書きが書かれており、近代文学の作品を題材に、新興大和絵会のメンバーがその隆盛期に制作した作品として注目された。
伝統工芸として古くより発展した竹の編組の美を、明治から、造形的近代化が進行する現代までの約130点を出品した展覧会が、5日から3月24日まで東京竹橋の東京国立近代美術館工芸館で開催された。
昭和生まれの作家を対象とした具象絵画・彫刻の新人登竜門として昭和41年日動画廊主催で発足した昭和会賞の第20回受賞者が、31日に行なわれた選考委員会で決定。昭和会賞に玉川信一「昏い日」(絵画)、林武賞に池田カオル「都会を離れて『空』」(彫刻)、優秀賞に桜田晴義「無言賦」(絵画)、和田雄之助「情念」(彫刻)がそれぞれ受賞した。
昨年ロンドンのテートギャラリーで大規模な展覧会が開催されるなど、近年関心の高まっているラファエル前派と周辺の美術を扱った「ラファエル前派とその時代展」が、26日より2月24日まで東京新宿・伊勢丹美術館で開催された。ロセッティやミレー、ハントら同派主要作家の作品と同時代のビクトリア朝絵画とを合わせた70余点が展観された。
’84毎日デザイン賞が25日発表され、「現代彫刻と融合した一連の商業空間」の創出を理由に、杉本貴志が受賞した。建築に付随する空間デザインの受賞は、昨年の葉祥栄に続くもの。
謎の多い好太王碑をめぐる公開シンポジウム「四、五世紀の東アジアと日本-好太王碑を中心に」が11、12日の2日間、東京有楽町の読売ホールで行なわれた。約600人の参加者を集め、日中両国の講師による研究報告は、白熱した論議をよんだ。
天下分け目の戦いといわれた関ケ原合戦で東軍の総大将であった徳川家康の本陣に張られた陣幕が、群馬県前橋市の妙安寺に保存されていることが、4日明らかとなった。家康の陣幕が発見されたのは初めてで、全長11メートルの絹地に辻ケ花染で徳川の家紋が染めぬかれている。
本研究所美術部第二研究室長三輪英夫は、久米桂一郎に関する著作と論文により第5回ジャポネズリー研究学会賞を受賞した。
昭和59年度の朝日賞受賞者6件(5名、1団体)が1日発表され、美術関係では、「多年の実験的制作活動による現代美術への貢献」により、斎藤義重が受賞した。
第26回毎日芸術賞(昭和59年度)の受賞者5名が1日発表された。美術関係では、鈴木治「鈴木治泥象展」(59年6~7月、東京・新宿伊勢丹)、田中忠雄「田中忠雄展」(59年9月、北海道立近代美術館ほか)が受賞した。
奈良・正倉院の宝物「鳥毛立女?風」が、絵の具の剥落どめのため、ほぼ1世紀ぶりの本格的な修理が行なわれることが決まった。宮内庁は60年春より3年計画で修理に着手した。
スペイン文学者会田由を記念して設立された会田由翻訳賞の59年度受賞者に神吉敬三が選ばれた。ドルス著「バロック論」、サンチェス・カントン著「ゴヤ論」などの翻訳が評価されたもの。
日本芸術院(有光次郎院長)は、20日、59年度会員補充選挙を行ない、新会員7名を内定した。美術関係では、日本画の加藤東一、浜田観、洋画の伊藤清永、西山真一、九谷焼の浅蔵五十吉が選ばれ、12月5日付で文相から発令された。