結城素明展

1985年10月

明治から昭和の3代に活躍し、長らく東京美術学校教授をつとめながら、遺作展以来まとまった展覧会のなかった結城素明の展覧会が、26日から11月24日まで東京兜町の山種美術館で開催された。「結城素明-その人と芸術-展」と題された本展には、美校卒業制作から晩年に至る代表作60余点が出陳された。

日本の陶磁展

1985年10月

縄文時代から江戸までの国宝、重文多数を含む「日本の陶磁展」が、15日から11月24日まで東京上野の東京国立博物館で開催された。出品総数約360点の大規模で質の高い展観となった。

源氏物語絵巻展、紫式部日記絵巻展

1985年10月

今年開館50周年を迎えた徳川美術館、25周年を迎えた五島美術館で、王朝美術の優品を集めた展覧会がそれぞれ開催された。徳川美術館では、同館に3巻、五島美術館に1巻分蔵されている源氏物語絵巻を一堂に集めて公開する「源氏物語絵巻展」を12日から11月4日まで開催。また五島美術館では、現存する紫式部日記絵巻を中心に、平安貴族の調度品約30点を展観した「紫式部日記絵巻-王朝の美展」を、26日から11月24日まで開催。いずれも名品を通観できる絶好の機会となった。

写実の系譜1-洋風表現の導入-展

1985年10月

江戸中期から明治にかけて写実的傾向の画風を展開した画家、幕末明治の洋画家などの作品約200点を集めた展覧会が、12日から11月24日まで東京竹橋の東京国立近代美術館で開催された。今回は写実の系譜シリーズの第1回で、東京展のあと大阪でも開催された。

ゴッホ展

1985年10月

ゴッホの油彩・素描それぞれ50点計100点の代表的作品を集めた展覧会が、12日から12月8日まで東京上野の国立西洋美術館で開催された。大規模なゴッホの展覧会としては10年ぶり。

第11回現代日本彫刻展

1985年10月

自然や都市と彫刻の出会いを求め、前身を宇部市野外彫刻展として知られる現代日本彫刻展第11回は、1日から11月10日まで宇部市野外彫刻美術館で開催。大賞(宇部市賞)に田中米吉「無題No95 1985」が選ばれた。

第2回本郷新賞、第16回中原悌二郎賞決定

1985年10月

北海道に関係の深い2つの彫刻賞がこのほど決定。第2回本郷新賞は、名古屋市が名城公園彫刻の庭に設置した環境造形Q「水の広場」が受賞。第16回中原悌二郎賞には、鈴木実「家族の肖像Ⅱ」が選ばれた。

横浜そごう美術館開館

1985年09月

横浜駅東口に日本一の規模で30日開店した横浜そごう6Fに、財団法人そごう美術館(横浜市西区高島2-18-1)が同じく30日開館した。百貨店の美術館としては初の財団法人で、ルノアールの彫刻等を既に所蔵しているほか、今後内外美術品蒐集を行なう予定という。

桂離宮第二の昭和大修理へ

1985年09月

昭和51年より57年まで行なわれ完了した前回の修理に続き、茶室の松琴亭、笑意軒など8棟が全面解体修理されることとなった。工期は6年、総工費4億円をかけて行なわれる。

前方後円墳の祖型発見

1985年09月

和歌山県教育委員会は13日、和歌山市太田で、3世紀末の前方後円墳と思われる古墳を発見したと報じた。墳丘部が後世に削り取られているため確定はできないとしながらも、前方後円墳である可能性は極めて高く、学界で論争の激しい前方後円墳成立問題に重要な史料となることが予想される。

大和文華館、美術研究センター建設へ

1985年09月

昭和35年の開館から25周年を迎えた大和文華館は、記念事業の一環として、美術研究センターの建設を計画。これまで蓄積された美術資料のコンピューター処理による保存整理と活用を目的とし、5年計画でソフトの開発とネットワークづくりなどに取り組む。建物は年内中に完成した。

再興院展、二科展、70周年記念展を開催

1985年09月

大正3年に開設された再興院展、二科展が今年70周年を迎え、共に8日より25日まで東京都美術館で第70回展を開催。また日本美術院は10日から23日まで日本橋三越で「再興院展七十年の歩み展」を開催、歴代同人の作品が展観された。

第5回ヘンリームア大賞決定

1985年09月

彫刻の森美術館が開館10周年を記念して昭和54年に創設し、以後、具象彫刻を対象とした高村光太郎大賞と交互に隔年で実施しているヘンリー・ムア大賞の第5回受賞者が決定。大賞は該当作なし、特別優秀賞に鈴木久雄「風化儀式VI(相関体)」、太田益美「無題」、デビッド・E・ブラック「ウインドポイント」、ウンベルト・マストロヤンニ「ヒロシマ」がそれぞれ受賞。同賞展は1日より10月31日まで長野県・美ケ原高原美術館で開催された。

敦煌保存、本格始動へ

1985年08月

昨年の国連総会で日中外相により正式な合意が為された、日中協力による敦煌美術の保存修復計画について、文化庁は61年度予算に敦煌文化財保存修復研究協力費として2000万円を計上。我国の専門家による敦煌壁画保存策定委員会の設置や、両国の専門家・研究者の派遣や招請など、事業遂行に本格的に動き出すこととなった。

サントリー地域文化賞

1985年08月

サントリー文化財団によるサントリー地域文化賞優秀賞に、岡山市の夢二郷土美術館が決定した。

石井鶴三美術館開館

1985年07月

彫刻家石井鶴三の彫刻、デッサン、絵画、写真資料を展示する美術館が、ゆかりの地長野県上田市に21日開館した。現展示室は旧市立図書館を改修したもので、近く独立した美術館を建設の予定。

第10回吉田五十八賞決定

1985年07月

建築家吉田五十八の業績を記念し、建築の部と建築関連美術の部からなる同賞の、建築関連美術の部受賞者に、彫刻家清水九兵衛が選ばれた。受賞対象は大正海上火災本社中庭の彫刻「朱竜」。

モディリアーニ、初の本格的回顧展

1985年07月

エコール・ド・パリの中心的画家として活躍したアメディオ・モディリアーニの初の本格的な回顧展が、19日から9月29日まで東京竹橋の東京国立近代美術館で開催された。初期から晩年にいたる代表作から油彩約70点、水彩・素描約60点、彫刻3点の計130余点が出品され、充実した展観となった。

裸婦大賞展(日本画)創設

1985年07月

現代日本画における裸婦表現の美に焦点をあてたユニークなコンクール展がこのほど創設された。その第1回は大賞に中島千波「形態*85-6-Nu」、優秀賞に亀山玲子「DOLL」、前本利彦「渚」、佳作賞に鳥山玲「Pandra」、内田あぐり「終生」が決定。展覧会は銀座・東京セントラル美術館(16日~28日)ほかで行なわれた。

石切剣箭神社宝物、大和政権史に新資料

1985年07月

東大阪市の石切劔箭神社に伝わる宝物58点を調査していた奈良国立文化財研究所は、16日、これらの宝物が4世紀古墳時代前期の古墳から出土した一括副葬品であったことを発表。殊に中国製と見られる単鳳環頭大刀柄頭は、奈良県天理市、群馬県高崎市で出土した二口と同鋳のものであることが確認され、卑弥呼が魏王から下賜された「五尺刀二口」との関連が注目されるとともに、邪馬台国問題や初期大和政権の勢力を検討する上での新資料として注目された。

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