芸術選奨文部大臣賞受賞者決定
1993年02月平成4年度(第43回)芸術選奨文部大臣賞、同新人賞の受賞者が26日、文化庁によって発表された。美術関係では文部大臣賞にグラフィックデザイナー勝井三雄(ポスター「アイムヒア」の作風に対して)、美術史家森洋子(著作「ブリューゲルの諺の世界」に対して)、新人賞に内藤広(三重県鳥羽市の海の博物館に対して)、木下長宏(著作「思想史としてのゴッホ-複製受容と想像力」に対して)が選ばれた。
平成4年度(第43回)芸術選奨文部大臣賞、同新人賞の受賞者が26日、文化庁によって発表された。美術関係では文部大臣賞にグラフィックデザイナー勝井三雄(ポスター「アイムヒア」の作風に対して)、美術史家森洋子(著作「ブリューゲルの諺の世界」に対して)、新人賞に内藤広(三重県鳥羽市の海の博物館に対して)、木下長宏(著作「思想史としてのゴッホ-複製受容と想像力」に対して)が選ばれた。
米国ニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)所蔵品の中から絵画52点、彫刻8点を展観するMoMA展が、東京・上野の上野の森美術館で6日から開かれた。同館館蔵品がまとまって海外に展示されるのは今回が初めて。ゴッホの「星月夜」、アンリ・ルソーの「眠るジプシー女」等が出品され、当初の予定を1週間延長して5月16日まで展示。60万人を越す入場者があった。
4日午後1時45分ころ奈良県橿原市久米町の橿原神宮(山田正宮司)境内の神楽殿から出火し、木造平屋建て264平方メートルを全焼した。神楽殿は京都御所にあった神嘉殿を1889年に移築したもので江戸中期の貴重な建築物として国の重要文化財に指定されていた。同殿は檜皮ぶきで、同殿の西約15メートルにある焼却炉の火の粉による失火と見られる。
文化財保護審議会は22日、新たに建造物9件20棟を重要文化財に指定するよう森山文相に答申した。神社建築では櫛引八幡宮本殿、旧拝殿など5棟(青森県八戸市)、諏訪社本殿など2棟(長野県泰阜村)、若宮神社本殿(滋賀県安曇川町)、一宮神社本殿(徳島市)、寺院建築では上国寺本堂(北海道上ノ国町)、観音寺本堂、鐘楼など3棟(滋賀県山東町)、民家建築で既に指定されている2件に付属する住宅として、旧目黒家住宅新座敷(新潟県守門町)、黒田家住宅米蔵など2棟(静岡県小笠町)が指定対象とされ、これで国の建造物関係の重要文化財は2913件3452棟、うち国宝は207件249棟となった。
具象絵画の登竜門とされる安井賞の第36回受賞者が12日の選考委員会で決定され、応募総数241作家384点の中から安井賞に平岡靖弘「陸に上がった船(3)」、佳作賞に鴫剛「ENOSIMA higashi hama」が選ばれた。第36回安井賞展(主催・財団法人安井曽太郎記念会、毎日新聞社、セゾン美術館)は、2月26日から3月28日まで東京、池袋のセゾン美術館で開かれ、その後静岡県浜松市、兵庫県尼崎市、福島県いわき市、広島県尾道市、島根県松江市、長野県松本市、北海道帯広市を巡回した。
第34回毎日芸術賞受賞者が1日発表された。美術関係では洋画家の猪熊弦一郎(「祝90祭猪熊弦一郎」、1993.10.22~11.3ギャラリー・ミキモト、に対して)、書家の金子聴松(「金子聴松書展」に対して)が選ばれた。
わが国の文化・社会の発展、向上に多大な貢献をした個人または団体に贈られる朝日賞受賞者が1日に発表された。美術関係では建築家槙文彦(長年にわたる都市デザインと現代建築への貢献)、日本史学者で明治美術研究会会長の大久保利謙(日本近代史学の確立と基礎資料の収集・保存に貢献)が選ばれた。同賞は1929年に朝日新聞社が創設し運営に当たってきたが、1992年5月の朝日新聞文化財団設立に伴い、同財団に移管された。これで同賞の1回以来の受賞者は341人と24団体となった。
洋画家小磯良平を記念し洋画壇の発展をめざして今年新設された公募展「小磯良平大賞展」第1回が、17日から’93年1月31日まで神戸市の小磯記念美術館で開催された。689人1051点の応募の中から、大賞に久保輝秋「遊(カンケリ-Ⅱ)」が選ばれ、このほか佳作5点、入選47点が選出され展示された。
岩手県平泉町の柳之御所遺跡を検討してきた平泉遺跡群発掘調査指導委員会(委員長・藤島亥治郎東大名誉教授)は、14日、同遺跡を奥州藤原氏の政庁兼居館「平泉館」跡と結論づけることを発表した。平泉館は吾妻鏡にも記され、10トンものかわらけが出土した同遺跡との比定検討が行なわれてきたが、この日初めて同一とする結論にいたった。
井上靖記念文化財団は、故井上靖を記念し日本文化の向上に資するため、文学・美術・歴史等の分野で優れた業績をあげた人物や団体を顕彰する「井上靖文化賞」を創設した。故人の遺志による財団設立に基づくもので、来年から実施され、選考委員会(大江健三郎、大岡信、司馬遼太郎、樋口隆康、平山郁夫)の選出により受賞者には賞金100万円が贈られる。
日本学士院(脇村義太郎院長)は14日、会員補充選挙を行ない、新会員9名を選出した。美術関係では美術院理事長、前京都国立博物館長の林屋辰三郎が選ばれた。
優れた芸術評論に贈られる吉田秀和賞第2回受賞者が決定、持田季未子『絵画の思考』が選ばれた。
国内の芸術文化活動を助成する「芸術文化振興基金」の平成4年度の助成対象活動が決定。1404件の応募の中から810件が採択され、21億9890万円の交付が決まった。このうち美術(「美術の創造普及活動」)には、26件4570万円があてられる。
鳥取県淀江町の上淀廃寺跡から、南塔・北塔に次ぐ第3塔の心礎が確認され、三塔並列式を意図したらしいことがわかった。また「癸未年」の刻銘のある丸瓦が出土し、癸未は683年と考えられ同寺の創建が683年である可能性が高まった。
1991年に着工した郡山市立美術館(福島県郡山市安原町字大谷地130-2)が、21日開館した。フランス絵画が収集の中心となるケースが多い日本にあって、同館はイギリス絵画を中心に収集。21日から’93年1月17日まで開催された開館記念展も「英国風景画展」として開催された。
日本芸術院(犬丸直院長)は20日、今年度の会員補充選挙を行ない、新たに5氏を会員とすることを内定、美術関係からは、日本画家関主税が選ばれた。日本芸術院の定員は120人だが、これで会員数は114人となった。この内定は、総会の承認を経て、12月15日付で文部大臣から発令された。
文化財保護審議会(鈴木勲会長)は20日、国の重要文化財として新たに美術工芸品15件、史跡6件、名勝1件を指定するよう鳩山文相に答申した。美術工芸品には京都市正伝寺の狩野山楽筆方丈障壁画、伊豆・修禅寺にある鎌倉期の木造大日如来坐像、史跡に熊本藩主細川家墓所などが含まれ、名勝に山梨県塩山市の向嶽寺庭園が選ばれた。
群馬県利根郡月夜野町の矢瀬遺跡から、13日までに、住居址・配石墓群、水場、祭祀場などを備えた縄文時代の村がほぼ完全に出土した。村を構成する主要な遺構が完全な形でそろって出土したのは縄文期のものでは初めて。また祭祀場には、これまで日本海側の環日本海文化圏に限られていた巨木列柱が確認され、考古学のみならず宗教学的にも関心を集める発見となった。
優れた美術評論や美術史研究、創作活動に贈られる、河北倫明夫妻の基金による倫雅美術奨励賞の第4回受賞者が決定。美術評論・美術史研究部門で岡泰正著『めがね絵新考-浮世絵師たちがのぞいた西洋』(筑摩書房)、大熊敏之・浜本聡「日本のリアリズム1992S-50S」展の企画構成、創作部門で服部峻昇・宮崎光二(最近の工芸創作活動に対して)が受賞した。授賞式は12月2日赤坂プリンスホテルで行なわれた。
美術館、芸術劇場、文化情報センターを含む複合芸術文化施設として、愛知県が昭和58年から準備を進め平成元年建設に着手した愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1-13-2)が、30日開館した。延床面積109602㎡、地上12階、地下5階の総工費705億円をかけた同センターの中で、8階から12階までを占める美術館は、企画展を行なう愛知県美術館と団体展などの貸会場となる愛知県美術館ギャラリーからなり、総展示面積約6000㎡は国内の公立美術館で最大級。収蔵品は現在約3000点。開館記念展として「フォーヴィスムと日本近代洋画」(30日~12月20日)が開催された。