「役行者と修験道の世界―山岳信仰の秘宝」展開催

1999年09月

「役行者」の名で知られ、修験道の開祖である役小角の1300年の御遠忌を迎えることを記念した同展が、11日から東京池袋の東武美術館で開催された。修験三本山である醍醐寺、聖護院、金峯山寺、さらに修験道の聖地である大峯山寺にのこるさまざまな遺品約350点によって構成され、かならずしも正当に評価されてこなかったとされる修験道の美術をみなおそうとする内容となった。(会期、10月17日まで。以後大阪市立美術館に巡回。)

1930年代をみなおす二つの展覧会開催

1999年09月

30年代の美術をみなおそうとする展覧会として、「危機の時代と絵画 1930-1945」展が、3日から愛知県美術館で、また「20世紀日本美術再見Ⅲ 1930年代」展が、4日から三重県立美術館(会期、11月7日)でそれぞれ開催された。前者は、第二次世界大戦に向かう時代を、「危機の時代」としてとらえ、国吉康男、靉光松本竣介など13人の画家たちの作品82点を精選して構成した。また、展覧会シリーズとしての後者は、30年代を、モダニズムと「日本的」と称される表現との両極を視野にいれて、絵画、彫刻、デザイン、工芸、写真、建築と、400点をこえる作品によって総合的に回顧をこころみたものであった。同時代をあつかいながら、対照的な構成であったが、時代の様相の深さを知るうえで貴重な機会となった。

「ラファエルコラン」展開催

1999年09月

日本の近代洋画史では、黒田清輝をはじめ多くの画家が師事したことで大きな影響をあたえたとされながら、本国フランスでは、今日まで顧みられることのなかった画家コランの回顧展が、10日から静岡県立美術館で開催された。同展は、国内、フランスからコランの作品や自身が収集した日本美術の作品など131点によって構成され、19世紀後半から20世紀初頭に制作をつづけた、このアカデミー派の画家のはじめての本格的な回顧展となった。(会期、10月24日まで。以後同展は、福岡市美術館など5美術館を巡回した。)

東京国立博物館新法隆寺宝物館開館

1999年07月

法隆寺献納物を収蔵する東京国立博物館の法隆寺宝物館が、改修工事を完了し、20日に開館した。新館(谷口吉生設計)は、地上3階、地下1階、延べ床面積4,030平方メートル、開館記念展として「生まれ変わった法隆寺宝物館」展を開催した。

第46回日本伝統工芸展入賞作品決定

1999年08月

第46回の同展(文化庁、日本工芸会等主催)は、716点の入選作から、日本工芸会総裁賞に山口松太の乾漆堆錦箱「古陵想」など13点の入賞作を選び、公表した。

三越美術館(新宿)閉館

1999年08月

三越新宿店の南館8階を展示スペースに、91年に開館した同美術館は、同店の営業不振により閉館となった。

第9回本郷新賞受賞者決定

1999年07月

同賞(札幌彫刻美術館等主催)は、97年9月に死去した彫刻家井上武吉の作品「my sky hole97-2 水面への回廊 琵琶湖」に決定された。贈呈式は、8月27日、札幌彫刻美術館で行われた。

登録文化財(建造物)

1999年07月

文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、16日、俵屋旅館(京都市)など建造物76件を登録有形文化財に登録するよう有馬朗人文相に答申した。

第1回亀倉雄策賞受賞者決定

1999年05月

97年5月に死去したグラフィックデザイナー亀倉雄策の業績をたたえ、優れたデザイナーを表彰するために創設された第1回の同賞(同賞事務局主催)の受賞者に田中一光が選ばれた。対象となったのは「サルバトーレ・フェラガモ展」のグラフィックデザインと空間デザインで、22日、贈呈式が金沢市民芸術村オープンスペース(石川県金沢市)で行われた。

第11回世界文化賞

1999年06月

文化、芸術の発展に貢献した芸術家に贈られる第11回高松宮殿下記念世界文化賞(財団法人日本美術協会主催)の受賞者が公表された。美術関係では、絵画部門でアンゼルム・キーファー(ドイツ、54)、彫刻部門でルイーズ・ブルジョワ(米国、87)、建築部門で槙文彦(70)が選ばれた。日本人の受賞は、89年の同賞創設以来、5人目となった。

人間国宝認定

1999年05月

文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、21日、11人を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するよう有馬朗人文相に答申した。工芸技術の部では、有職織物の喜多川俵二(63)、読谷山花織の与那嶺貞(90)、螺鈿の北村昭斎(61)、沈金の前史雄(58)、友禅の田島比呂子(77)、彫金の鴨下春明(83)が選ばれた。これで、現在の人間国宝は104人、これまでの延べ人数は265人となった。

「聖と隠者―山水に心を澄ます人々」展開催

1999年04月

奈良国立博物館において、27日から、同展が開催された。美術作品の題材として頻繁にとりあげられてきた隠遁者のイメージを、絵画等146点によって構成し、さまざまな側面から展観し、日本人と「聖」、「隠者」の関わりをあきらかにしようとする内容であった。

首里城など世界遺産に推薦

1999年05月

文化庁は、9日までに琉球王国の歴史と文化を伝える首里城跡(沖縄県那覇市)や中城城跡(同県中城村)など、沖縄本島の5ヶ所の城跡などを、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に推薦することを決めた。

国宝重要文化財指定

1999年04月

文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、16日、藤原為家が紀貫之の自筆原本を忠実に書き写した古写本「土佐日記」(大阪府箕面市、大阪青山学園)など4件を国宝に、黒田清輝の「湖畔」(東京国立研究所保管)など36件を重要文化財に指定するよう有馬朗人文相に答申した。また、「日本工業倶楽部会館」(東京都千代田区)など文化財建造物113件を登録有形文化財に新規登録するよう答申した。

第28回現代日本美術展大賞決定

1999年04月

23日から東京都美術館(東京上野)で開かれた同展は、155点の入選作から大賞に古川勝紀の「微風の中へ―国道254―Ⅱ」、準大賞に岡崎ゆみこの「Y・U・M’99」が選ばれた。

「東アジア/絵画の近代―油画の誕生とその展開」展開催

1999年04月

日本を含む、中国、韓国、台湾などの東アジアの近代化と西洋化の推移を検証しようとする同展が、10日から静岡県立美術館で開催された。東アジアの各地域の「油画」193点によって構成された同展は、モダニズムの受容と固有性の主張を比較できる機会となり、貴重なこころみであった。(会期、5月23日まで、以後同展は、兵庫県立近代美術館など4美術館を巡回した。)

名古屋ボストン美術館開館

1999年04月

米国ボストン美術館の姉妹館となる名古屋ボストン美術館が、愛知県名古屋市中区に完成し、16日開館式典を開催した。同美術館は、今後、ボストン美術館の所蔵作品から選んだ作品をもとに、年に2回の企画展と5年ごとの常設展示で活動をつづけることになった。開館記念展は、「モネ、ルノワールと印象派」展を開催した。

重要文化財(建造物)指定

1999年03月

文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、19日、日本橋(東京中央区)など11件の建造物を重要文化財に指定し、1件の街並みを重要伝統的建造物群保存地区に、49件の建造物を登録有形文化財に指定するよう有馬朗人文相に答申した。

「新国立美術展示施設(ナショナルギャラリー)」(仮称)の基本計画策定

1999年03月

文化庁長官の私的諮問機関「新しい美術展示施設に関する基本計画検討協力者会議」(座長・平山郁夫日本芸術院理事長)は、30日、基本計画をまとめ、林田英樹長官に提出した。基本計画によると、日展をはじめとする公募展や企画展の開催を目的とし、2000年度末に移転する東京・六本木の東大生産技術研究所などの跡地を建設場所にあて、14,000平方メートルの展示面積をもつ展示専用施設として2006年度の開館を目指す。

登録美術品、初の認定

1999年03月

文化庁は、30日、98年12月に施行された「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」(美術品公開促進法)に基づく登録工芸品5件を発表した。同法は、指定文化財や世界的な価値を持つ私蔵美術品を国に登録して、一般公開を促進することを定めた法律で、その第一号として、パリ万博(1888年)出品のために制作された「菊花文飾壺」(二代横山弥左衛門作)など5件が決定、所有者と東京国立近代美術館、高岡市美術館がそれぞれ公開のための契約を結び、両美術館で公開されることになった。

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