琳派展
1972年10月東京国立博物館は創立百年記念として、10月10日から12月3日まで宗達・光琳の画派の展観を行った。絵画を中心に、書跡、漆工、陶磁、染織など各分野にわたり、この流派の代表作を展示し、宗達・光琳を主軸とする近世装飾画派の全貌を明らかにしようとする催しである。
東京国立博物館は創立百年記念として、10月10日から12月3日まで宗達・光琳の画派の展観を行った。絵画を中心に、書跡、漆工、陶磁、染織など各分野にわたり、この流派の代表作を展示し、宗達・光琳を主軸とする近世装飾画派の全貌を明らかにしようとする催しである。
国立西洋美術館では12日から11月30日まで、7世紀から15・6世紀にいたる中世西欧美術を石像、工芸品、ミニアチュール、ステンド・グラスなど多くのジャンルから86点を選んで展示した。これらはフランス各地から集められた作品である。
京都国立博物館は、平清盛が厳島神社に平家一門の繁栄を祈願して奉納した装飾法華経と、厳島神社の宝物を10月7日から11月5日まで特別展として展示した。平家納経が全巻展示されるということは古美術界にとって近来の快挙といえよう。
北海道出身の彫刻家、故中原悌二郎の業跡を記念して、旭川市が設定した中原悌二郎賞の第3回受賞者に、舟越保武作ブロンズ人物像「原の城」が選ばれ、更に今回からは悌二郎賞のほかに優秀賞が新設されて、細川宗英の「道元」、湯原和夫の「門」がそれぞれ受賞した。4日授賞式が行なわれた。
文化庁では9月30日から始まる高松塚古墳の総合調査の一環として、同古墳の模写を芸術院会員前田青邨を総監修に、平山郁夫を中心とする守屋多々志、近藤千尋、月岡栄貴の5氏に委嘱した。何れも院展所属作家で、先年の法隆寺壁画模写も手がけたベテランである。
9月30日から10月10日にかけて、高松塚古墳の現地調査が行なわれた。この調査にはわが国の専門家だけではなく、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、フランスの各国からも専門家が参加し、壁画の描法や顔料の鑑別、保存科学的諸測定と保存処理などを行い、10月11日から12日にかけて土を覆って元に復した。
本年3月に設定された平木浮世絵財団は浮世絵の「平木コレクション」で知られた故平木信二の蒐集になる浮世絵版画約5
皇居周辺の北の丸公園内旧近衛師団司令部は昭和38年以来空家となっており、昭和41年に取壊しが閣議で定められていたが、明治43年に建設された典型的な洋風煉瓦建築として、また官庁建築の遺構として日本建築学会等から保存の要望があり、12月の閣議でこれを東京国立近代美術館分室として保存することが決定し、重要文化財指定の答申が文化財保護審議会から行われた。
文化庁ではアメリカ合衆国の4美術館の要請により、縄文・弥生時代から江戸時代に至る日本陶磁の名品100点を次の日程で巡回展示する。1)シアトル美術館 9月7日―10月22日、2)アトキンズ美術館(カンサス・シティー) 11月8日―12月20日、3)アジア協会アジアハウス美術館(ニューヨーク) 48年1月18―3月4日、4)ロスアンゼルス郡立美術館 48年3月27日―5月13日。
東京国立近代美術館では創立20周年を記念して近代日本の日本画・洋画・彫刻・工芸の作家150名の作品450点を精選した大展覧会「現代の眼――近代日本の美術から.」を6日から11月5日まで開催した。主なる作品は、日本画では重文に指定されている大観の「生々流転」、春草の「落葉」、栖鳳「斑猫」、玉堂「行く春」、観山「弱法師」、紫紅「熱国の巻」、ほか小林古径の「鶴と七面鳥」、徳岡神泉の「刈田」など、洋画では高橋由一の「鮭」、浅井忠の「春畝」、黒田清輝「舞妓」、青木繁「海の幸」、岸田劉生「麗子微笑」、藤島武二「黒扇」などの重文指定作や、小出楢重の「前向の裸婦」、和田三造「南風」、彫刻では荻原守衛の重文「女」など、全館を使って名作を揃えて披露されまさに近代美術の流れを集約的に展望できる意義深い催しであった。
ベルギー現代美術の代表者の一人で独自の幻想画家であるジェームズ・アンソールの油絵40点と版画、水彩デッサン104点の大規模な展覧会が神奈川県立鎌倉近代美術館で2日から10月10日まで開かれた。共催はベルギー文化省、日本美術館企画協議会、中日新聞社、東京新聞社、73年1月28日まで名古屋、佐賀、京都を巡回する。
東京新宿の伊勢丹デパートと東京美術サロンは新人洋画家に伊勢丹賞(賞金100万円)を設定し、第1回金賞に小田和典をきめた。その賞の大衆性を考慮して純粋の美術関係者以外に、選考委員は作家・神吉拓郎、評論家・坂西志保、イラストレイター・宇野亜喜良、服装デザイナー・コシノ・ジュンコを含む。受賞作は「人気作家17人による現代洋画精鋭選抜展」として19日から26日まで新宿伊勢丹で展示される。
東京国立博物館において8月10日―10月1日にわたり、ニューヨークのメトロポリタン美術館の蔵品150点が公開展示された。出品内容は、古代中近東から、エジプト、ギリシャ、ローマ、中国、西洋中世を経て、ルネサンス以降20世紀に至るヨーロッパおよびアメリカの美術で、この展観はこのあと京都市美術館でも10月5日から11月26日まで開催された。共催は読売新聞社。
明治神宮宝物殿に陳列中の明治天皇御愛用の刀剣のうち、「菊花紋茂」「備前福岡一文字吉房」銘、初代月山貞一作、菅原包則作の四振りが盗まれた。(22日朝盗難を発見)
12日夜、大雨による山くずれで京都清水寺の重要文化財釈迦堂が全壊した。同堂は江戸初期寛永10年の建立、一重寄棟造り。内部には釈迦如来像(鎌倉時代)地蔵菩薩像(江戸初期)、大黒天像(同)が安置されていた。
大観、観山と並んで天心傘下の初期院展の中心作家で、日本画の近代化に貢献した菱田春草の作品82点を集めた回顧展を山種美術館が開催した。前期、4日から30日、後期、8月1日から27日まで。
メキシコ壁画運動推進者のひとり、ダビット・アルファロ・シケイロスの初期から現在にいたるまでの70点余による回顧展が開催され、これに因んで12日、シケイロス夫妻も来日した。(主催・朝日新聞社、メキシコ国立芸術院、会期・6月15日~7月16日=東京セントラル美術館、7月22日~8月20日=兵庫県立近代美術館)
昭和46年度の大賞は、長年の創作活動による建築界への貢献に対し、村野藤吾(村野森建築事務所長)に、建築学会賞は篠崎一男(「未完の家」以後の一連の住宅)、林昌二、矢野克己(ポーラ五反田ビル)に決定。贈呈式は5月30日。
東京都公園審議会は東京都が建築家前川国男に依頼して設計した上野公園内の新しい都美術館の基本設計を認めた。敷地12
昨年のデューラー生誕500年にちなみ、ドレスデン国立美術館ほかの協力をえて国立西洋美術館、京都国立近代美術館、日本経済新聞社共催によりデューラーとドイツ・ルネッサンス展が開催された。彫刻8点、絵画(版画・素描を含む)200点、ほか工芸品、計241点。東京展=4月29日~6月16日、京都展=6月27日~7月30日。