美術関係者に菊池寛賞

1973年11月

第21回菊池寛が美術評論家土方定一に与えられた。鎌倉近代美術館長としての卓抜な企画力による業績に対するもので、美術関係者の同賞受賞は初めてのことである。

三井寺秘仏特別開扉

1973年11月

三井寺(園城寺)に伝わる国宝「不動明王画像(黄不動)」同「新羅明神像座像」同「五部心観」など32件が8日から20日まで横浜高島屋で公開された。

香雪美術館開館

1973年11月

朝日新聞の創始者故村山竜平のコレクションからの寄贈品(重文15点を含む)を中心とした香雪美術館が開館し6日から12月2日まで「開館記念名品展」が開かれた。

高松塚古墳の入室調査と保存対策

1973年10月

11日から18日まで文化庁、高松塚古墳保存対策調査会による保存対策調査及び保存施設工事の事前調査が行われた。また14日には壁画修復部会が奈良国立博物館で開かれ、壁画は現状のまま保存し、修復にはアクリル樹脂を使用し剥落を防止するという方針を決定した。

浄土教絵画展

1973年10月

京都国立博物館では秋の特別展として10日から11月11日まで浄土教絵画の展観を行った。なお敦煌出土の遺品(ギメ美術館所蔵)も同時に特別公開された。

名作浮世絵展

1973年10月

プロシア文化財国立美術館のベルリン東洋美術館が所蔵する浮世絵版画224点が公開された。東京展=10月18日~23日・池袋東武百貨店、宇都宮展=10月25日~30日・東武宇都宮百貨店

ルソー作『熱帯』

1973年10月

昨年末ニューヨーク、メトロポリタン美術館から売りに出されていたルソーの傑作『熱帯』が日動画廊を通じて商社の三井物産が購入していたことが明らかとなった。同作品はいずれ国立西洋美術館に寄託され一般に公開される。

特別展「日本の染織」

1973年10月

飛鳥奈良時代以降、各時代にわたる日本の染織の特別展観が16日から11月25日まで東京国立博物館で開かれた。同展には米国にある日本近世染織の「故野村正治郎コレクション」も特別出品された。なお、このコレクションはこのほど文化庁による買上げが決定した。

中原悌二郎賞

1973年10月

第4回中原悌二郎賞は高橋清の作品「人No.13」、優秀賞は篠田守男「テンションとコンプレッション」、一色邦彦「ひびき」にそれぞれ与えられた。

「モナリザ」の日本公開決まる

1973年09月

訪仏中の田中首相とポンピドー大統領は28日会談し、ルーヴル美術館所蔵、レオナルド・ダ・ヴィンチ作「モナ・リザ」の日本における公開を正式に決定した。

アメリカの日本作家展

1973年09月

海外で活躍する日本作家展シリーズとしてアメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジルで活躍している日系作家を含む34作家の作品によって開催された。京都国立近代美術館26日-11月4日。

広田松繁氏コレクション寄贈記念展

1973年09月

本年1月、東京国立博物館に広田松繁より寄贈された中国陶磁を中心とするコレクションから300余点が選ばれ、同館東洋館特別陳列室で公開された。

盗難美術品特別手配

1973年09月

警察庁は14日、ICPO(国際刑事警察機構)から特別手配のあった盗難美術品12点(ロートレック作「マルセル」、端光山清水寺蔵「十一面観世音菩薩像」を含む)について国内における徹底的捜査を指示した。

虎塚古墳彩色壁画発見

1973年09月

8月中旬から発掘調査が進められていた茨城県虎塚古墳で12日彩色壁画が発見された。この壁画は玄室壁画に白土下地・赤色顔料で幾何学文様、武具、船などを描いたもので、ほぼ完全な状態で発見された。

長野市が野外彫刻賞

1973年09月

都市景観の中へ彫刻をとりいれていく試みが、各地方都市で盛んだが、長野市がこのほど野外彫刻賞を設置した。選考委員会(委員長土方定一)を設けて、前年度の優秀作品から選んで同市が買い上げていこうというもの。当面35点ぐらいを予定。第1回受賞者は柳原義達「道標(はと)」・土谷武「石と鉄」・矢崎虎夫「雲水」。

「国立国際美術館」

1973年09月

大阪・千里丘陵の万国博会場跡地に残る万国博美術館が「国立国際美術館」(仮称)として〝復活〝することが6日、本決まりとなった。「万博美術館利用問題調査会」(主査・河北倫明京都国立近代美術館長)の報告に基づいて文化庁が正式に決めたもので、同庁は50年度開館をめざし、来年度に予算化して要求、具体的な設立準備に取りかかる。

八角円堂の遺構発掘

1973年08月

六勝時研究会、鳥羽離宮跡調査研究所の手で進められている醍醐寺子院跡発掘調査により、現場から平安末期の八角円堂基壇、礎石が発見された。同堂は史料に記されていながら存在が確められなかった八角堂と考えられ、重源の関与も考えられる重要な遺構である。

難波宮跡平城宮跡の買上げ

1973年08月

文化庁は24日大阪市難波宮跡の民有地、奈良市平城京跡の未買収地域を大阪市、奈良県に地方債を発行させて先行取得し買収することを決定した。地価の急騰により年度毎の予算で買収するこれまでの方式では保存地買収が困難となったため、新らたな方式がとられることになったもの。

東京芸術大学の海外調査団

1973年07月

文部省の助成金による調査団として、「東京芸大イタリア初期ルネッサンス壁画・建築調査団」(団長・摩寿意善郎美術学部長、隊員・平山郁夫助教授以下6名の模写班を含む13名)が3日日本を出発した。8月末まで2か月にわたりアッシジのサンフランチェスコ寺院壁画・建築の調査、研究を行なう。

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