サントリー美術館開館

2007年03月

1961年に「生活の中の美」を主要なコンセプトに東京・丸の内に開館したサントリー美術館が30日、六本木に移転してリニューアル・オープンした。隈研吾の設計により「都市の中の居間」を志向した建物で、地上6階、地下3階、展示室総面積約1000平方メートル。開館記念展は「日本を祝う」で6月3日まで開催された。

日本芸術院賞受賞者決定

2007年03月

日本芸術院(三浦朱門院長)は23日、卓越した芸術作品や芸術の進歩に貢献した人に贈る日本芸術院賞の2006年度の受賞者10人を発表した。美術関係では、日本画家の土屋礼一(日展出品作「軍鶏」に対して)、洋画家の大津英敏(独立展出品作「朝陽巴里」に対して)、彫塑家の瀬戸剛(日展出品作「エチュード」に対して)、工芸家の森野泰明(日展出品作、扁壷「大地」に対して)、恩賜賞に書家の池田桂鳳(日展出品作「三諸」に対して)が選ばれた。

第26回土門拳賞受賞者決定

2007年03月

2006年度に優れた作品を発表した中堅の写真家に贈られる土門拳賞の26回目の受賞者は中村征夫に決まった。受賞作は写真展「海中2万7000時間の旅」(東京都写真美術館)と写真集『海中2万7000時間の旅』(講談社)で、環境破壊の激しい東京湾の海中を30年間定点観測して撮影した作品の集大成となるもの。生態系に対する深い洞察に基づき、写真の記録性を重視した作風が評価された。

能登半島地震による国指定文化財被害

2007年03月

3月25日午前9時41分の石川県輪島市近海を震源地に発生した能登半島地震(マグニチュード6.9)によって重要文化財武田家住宅(富山県高岡市)の壁が剥落するなど、13件の国指定文化財に被害があった。文化庁は4月5日から文化財調査官2名を派遣して被害状況を調査し、復元方法を地元担当者と協議した。

「レオナルドダヴィンチ―天才の実像」展開催

2007年03月

ウフィツィ美術館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチ筆「受胎告知」を展示するとともに、手稿に関する近年の研究成果をパネルや映像で紹介する「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」展が20日から東京国立博物館で開催された(6月17日まで)。同館では1974年に「モナ・リザ」が展観されて以来のダ・ヴィンチ作品の展示となった。絵画制作の背景となったダ・ヴィンチのルネサンス人としての知的探求の様を手稿から分析し、天文学、物理学、解剖学、建築学など多くの分野で今日に連なる新たな知見を得ていたことを、模型や映像で多角的に検証し、会期中79万6000名にのぼる入場者数を記録した。

称名寺の大威徳明王坐像、運慶作と確認される

2007年03月

平成10年に神奈川県の称名寺子院光明院で発見された大威徳明王坐像が鎌倉時代の仏師運慶の作であることが確認された。この像は破損部分が多かったため、県立金沢文庫で調査、解体修理が進められていた。X線撮影などにより像内納入物が確認され、納入されていた文書に建保4(1216)年に鎌倉の将軍御所で養育係をつとめた「源氏大弐殿」が運慶に制作させた旨が記されており、面貌や作風などからも運慶の晩年の作と認められた。鎌倉幕府が運慶に仏像を制作させたことは記録上、確認されていたが、この像により作品の存在も明らかとなった。同作品は4月19日から金沢文庫で開催された「金沢文庫の仏像」展で初公開された。

第57回芸術選奨受賞者決定

2007年03月

文化庁は16日、芸術分野で優れた業績を上げた人に贈る2006年度芸術選奨受賞者27名を発表した。美術分野では洋画家遠藤彰子(作品「見しこと」)、彫刻家遠藤利克(作品「Trieb―振動(Rain Room)」、芸術振興分野でアートディレクター北川フラム(「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006」)、文部科学大臣新人賞に美術分野で書家土橋靖子(本名呉靖子、「夏目漱石の句」)、芸術振興分野で空間デザイナー吉岡徳仁(Tokujin Yoshioka× Lexus L-finesse)が選ばれた。贈呈式は22日、都内のホテルで行なわれた。

第32回木村伊兵衛写真賞受賞者決定

2007年03月

写真家木村伊兵衛の業績を記念し、優れた新人写真家に贈られる木村伊兵衛賞(朝日新聞社主催)の第32回目の受賞者に本城直季(写真集『small Planet』(2006年リトルモア刊)に対して)、梅佳代(写真集『うめめ』(2006年、リトルモア刊)に対して)が選ばれた。

第14回VOCA賞受賞者決定

2007年03月

平面美術の若手作家を対象に40歳以下の将来性ある作家の支援を目指したVOCA展が15日から上野の森美術館で開催された(30日まで)。同展第14回目の受賞者として、最高賞のVOCA賞に山本太郎「白梅点字ブロック図屏風」が、奨励賞に池田光弘、傍嶋崇が、佳作賞に田口和奈、中岡真珠美がそれぞれ選ばれた。

国宝重要文化財(美術工芸品)指定の答申

2007年03月

文化審議会(石沢良昭会長)は16日、北海道函館市著保内野遺跡の土偶を国宝に、尾形光琳、乾山が合作した「銹絵松鶴図六角皿」など30件の美術工芸品を重要文化財に指定するよう伊吹文明文部科学相に答申した。北海道所在の文化財が国宝になるのは初めて。また、文化審議会は、登録有形文化財の建造物分野に209件、美術工芸品分野に2件を新規に登録するよう答申した。これにより建造物の登録文化財は6273件、美術工芸品では6件となる。

国立博物館など統合

2007年02月

政府は9日、独立行政法人国立博物館法の一部を改正する法案を閣議決定した。この決定により、4月1日より国立博物館と文化財研究所の2法人が統合され独立行政法人国立文化財機構が誕生した。

キトラ古墳「朱雀」剥ぎ取り決定

2007年02月

特別史跡キトラ古墳(奈良県明日香村)の壁画保存問題で、文化庁の調査委員会は7日、石室南壁の朱雀を剥ぎ取ることを正式に決定した。作業は15日に実施された。

第23回平櫛田中賞受賞者決定

2007年01月

井原市出身の木彫家平櫛田中の100歳を記念して井原市が創設し、優れた彫刻を制作した作家に隔年で贈られる平櫛田中賞の第23回目の受賞者に保田春彦が選ばれた。過去2年間に発表された作品が高く評価されたもの。

文化庁予算決定

2007年02月

文化庁の平成19年(2007)度予算は、前年よりも1.0%(10億700万円)増額の1016億5500万円となった。昨年9月に発足した安倍晋三内閣の「美しい国」創り政策のもと、「文化力による地域づくり・国づくり」を目標に、1「文化芸術立国プロジェクトの推進」、2「文化財の次世代への継承と国際協力の推進」、3「文化芸術振興のための文化拠点の充実」を3大項目に掲げている。第1の大項目の内容として「文化芸術創造プランの推進」「日本文化の魅力発見・発信プランの推進」があげられ、アニメ、映画などのメディア芸術の振興等が具体的に盛り込まれている。第2の大項目は「文化財の保存整備・活用」「文化財の国際協力の推進」を柱としており、文化遺産保護国際貢献事業のための予算が倍増されている点が注目される。第3の大項目は「新たな文化拠点の整備」として京都国立博物館平常展示館建替、国立新美術館整備推進等を、「美術館・博物館等活動の推進」として国立美術館運営、日本芸術文化振興会運営等を主な事業にあげている。

国立新美術館開館

2007年01月

国立美術館としては5館目、1977年に開館した国立国際美術館以来30年ぶりの新美術館となる国立新美術館(林田英樹館長)が21日、開館した。地下1階、地上4階、1万4000平方メートルの展示スペースを持ち、黒川紀章の設計になる。作品収集は行なわず、美術団体等への作品発表の場の提供、自主企画展や共催展を開催する方針で、展覧会事業、情報収集・提供事業、教育普及事業を通して世界に発信する美術館を目指す。開館記念展は自主企画による「20世紀美術探検―アーティストたちの三つの冒険物語」と題し、20世紀以降現代までの美術の展開と物質文明の関係を探ろうとするもので、第1部「20世紀美術における物とその表現」、第2部「20世紀美術における物と人間の生活」、第3部「マテリアル・ワールドに生きる」の3部構成で国内外の作品を展観した。「日本の表現力」展、「黒川紀章展―機械の時代から生命の時代へ」も同時開催された。

高松塚古墳の墳丘発掘再開

2007年01月

特別史跡高松塚古墳(奈良県明日香村)の解体に向け、文化庁は石室を掘り出すための墳丘発掘を一ヶ月ぶりに再開した。4月初旬に石室解体作業に入った。

第48回毎日芸術賞受賞者決定

2007年01月

第48回毎日芸術賞の受賞者が決定し、美術関係では書家の内山玲子(「内山玲子書展 はちすの露」に対して)、篠原有司男(篠原有司男展に対して)、司修(小説『ブロンズの地中海』(集英社刊)に対して)、特別賞に映画美術家の木村威夫(「紙屋悦子の青春」をはじめとする長年の優れた映画美術の功績に対して)が受賞した。授賞式は26日に都内のホテルで行なわれた。

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