芸術選奨決定

1956年03月

演劇、映画、音楽、文学、美術などの部門で、去年優れた業跡を挙げた者を表彰する第六回芸術選奨文部大臣賞の受賞者が三日文部省から発表された。なお今年から今までの「芸能選奨」の名称が「芸術選奨」と改められた。美術部門受賞者次の通り。 美術(第一) 鳥海青児 永年にわたり日本の自然、風土の色感を基礎とした油絵画法の確立に努力して、わが国油絵界に独自の領域を開拓し、特に昨年は「家並み」「顔をかくす女」等において格段の進境を示した功績に対し。 同(第二) 木村伊兵衛 多年芸術としての写真の領域開拓に貢献し、特に昨年は海外旅行に取材した作品展をこころみ、日本独特の鋭敏で抒情ある作風を示して、国際的にわが国の写真芸術の地位を高めた功績に対し。

上村松園賞決定

1956年02月

上村松園賞は昨年該当者がなかつたため、今年あらためて第五回受賞者を選考し、新制作協会々員広田多津に決定した。第一九回新制作協会展出品作「大原の女」および今日までの業績に対し授与されたものである。なお本賞は、五名の受賞者が決定し、本年で完了する。

東京都文化財指定

1956年02月

東京都教育委員会では二三日、三○年度分の都文化財を指定した。重宝の部門では多摩川流域の蔵王信仰分布を物語る蔵王権現三体など七件が選ばれ、旧跡には喜多川歌麿の墓が加えられた。

第四回「新日本工業デザイン」入賞決定

1956年02月

産業興隆と輸出振興を目的として、毎日新聞社が募集した第四回「新日本工業デザイン」の入賞が決定し、次の通り発表された。 特選一席安川電機全閉カゴ形3相誘導電動機、柴田献一他六名。特選二席東洋高圧ユーライトM製・幼児便器、野口瑠璃他一名。特選三席ナシヨナル携帯用プラスチック・ラジオ、曽根靖史。

出雲文化総合調査報告会

1956年02月

前年二次にわたり出雲文化の総合調査を行つた地方史研究所では、一八日毎日新聞社講堂に於て中間報告会を開催した。考古学の方面では国分寺の伽藍配置、国衙の位置や条里制の推定にほぼ成功し、美術史部門では平安から鎌倉期にかけての仏像神像が多数発見され、後世まで古色を残していること、また地方色がみられることなどの報告が行われた。

恩賜賞日本芸術院賞決定

1956年02月

昭和三○年度(第一二回)恩賜賞並びに芸術院賞が決定し、七日発表された。なほ五月三○日日本学士院に於いて、天皇陛下臨席の下に授賞式が行われた。 恩賜賞 竜村平蔵 染色工芸に与えた攻績に対し。 日本芸術院賞 第一部 美術、工芸 日本画 東山魁夷 第一一回日展「光昏」に対し。 山口華楊 第一一回日展「仔馬」に対し。 洋画 鬼頭鍋三郎 第一一回日展「アトリエにて」に対し。 工芸 清水六兵衛 第一一回日展「玄窯叢花瓶」に対し。 三井義夫 第一一回日展「彫金象篏花器」に対し。

日本画府結成

1956年02月

さきに新興美術院を脱退した児玉三鈴を中心に、上条静光他八名を同人として、新日本画団体「日本画府」が結成された。第一回公募展を六月銀座松屋で開催した。

「江戸美術」完成

1956年01月

東京国立博物館で三○年度作品として製作中であつた美術映画「江戸美術」は二五日完成した。

毎日美術賞

1956年01月

昭和三〇年度第七回「毎日美術賞」の授賞が決定し、一五日次の通り発表された。 脇田和 第三回日本国際美術展出品「あらそい」その他一連の作品 福田豊四郎 第一九回新制作協会展出品「滝」その他一連の作品 功労賞 故安井曽太郎 長年にわたつて日本洋画壕の発展につくした業績。 (以上各賞状並に副賞一○万円)

鳳凰堂創建当時の正面扉を発見

1956年01月

解体修理継続中の鳳凰堂の工事場で、一三日昔焼失したと伝えられていた正面扉二枚が発見された。高一五尺三寸、幅五尺四寸、南側扉裏面上部に「上品上生」の文字が判読され、北側扉には顔料や漆ものこつて居り、又古く切りとつた上品上生の色紙型(現存)部分とも合うので、天喜元年(一○五三)創建当時の正面扉と断定されたものである。

白鳳時代の窯跡の調査

1956年01月

兵庫県文化財調査委員田崎香逸らは、同県加西町の白鳳時代互窯跡の発掘調査が一応終つたので、九日その結果を一般に公開した。二米の煙道をもつ六・九米の小型な登り窯で、白鳳時代の出土品のある窯址の上に天平時代に新らしい窯をつくつたものである。

万国著作権条約批准

1955年12月

終戦後日米間の著作権関係を暫定的に決めていた協定が、明三一年四月二八日までで失効するので、久しく出版、音楽等の関係者間で懸案となつていた著作権問題も、アメリカの加盟している万国著作権を批准することが望ましい意見が強く、急速に実現することになつた。なお同条約により保護の対象となるのは、視覚に認めうるものに限られ、出版は第一発行の際(C)の記号を附するだけで自動的に著作権が保護される。 

芸術院会館の建設計画

1955年12月

多年懸案の日本芸術院会館建設計画は、会員の間に積極的動きが起り、具体案もまとまつたので、高橋芸術院長らを中心に会館建設計画に着手した。なお総額四千万円で、国庫補助二千万円を予定し、残りを会員の年金天引、その他の方法によりきよ金する。

フランス国立博物館長らに叙勲

1955年12月

多年日仏文化交流に貢献したフランス国立博物館長ジョルジュ・サール・エーフェル氏ら四名に天皇陛下からそれぞれつぎの勲章が贈られる旨二一日発表した。 フランス国立博物館長ジョルジュ・サール・エーフェル―勲三等旭日章、フランス国立近代美術博物館々長ベルナール・ドリヴァル―勲四等瑞宝章、パリ市立チェルヌスキー博物館々長ヴァディム・エリセエフ―勲五等旭日章、同博物館次長マドレーヌ・ロザリー・ダヴイッド―勲五等瑞宝章

金桜神社全焼

1955年12月

甲府市御岳の金桜神社は一八日未明出火全焼した。鎌倉末期に建立された中宮本殿と吉野時代の東宮本殿は共に重要文化財に指定されていた。

薬師寺本尊移座

1955年12月

奈良薬師寺金堂の薬師如来像が台座修理の為一六日仮台座へ移された。来春本格的な修理にかかり三二年春完成の予定で、その間種々の調査を行う。

観心寺如意輪の手盗難

1955年12月

観心寺では一〇日、秘仏如意輪観音の六臂のうち、右の数珠をもつた手首と左の蓮華をもつた手首及台座の蓮弁一枚が盗難にあい、捜査中であつたが、三〇日犯人の自供により焚火跡から黒こげとなつて発見された。

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