吉原治良賞美術コンクール展新設
1981年03月大阪府立現代美術センターは、新しい芸術の創造と発表の機会として、今年1月吉原治良賞美術コンクール展の新設を発表したが、同展は16日から4月4日まで開催され、吉原治良賞に平井晋一「Frame Work」が選ばれた。
大阪府立現代美術センターは、新しい芸術の創造と発表の機会として、今年1月吉原治良賞美術コンクール展の新設を発表したが、同展は16日から4月4日まで開催され、吉原治良賞に平井晋一「Frame Work」が選ばれた。
ピカソの二男クロードと二女パロマが相続した作品遺産の中から、初公開の作品約100点を中心に展観した「ピカソ秘蔵のピカソ展」が、5日から4月7日まで新宿・伊勢丹で開催された。出品作品は油彩68点、版画9点、デッサン・水彩14点、彫刻3点で、同展は以後各地を巡回した。
日本芸術院(有光次郎院長)は3日、昭和55年度(第37回)の恩賜賞(小坂奇石、書道)、芸術院賞の受賞者を内定した。第1部(美術)芸術院賞受賞者は次の通り。 加倉井和夫・日本画(55年日展出品作「青苑」に対し)、楢原健三・洋画(55年日展出品作「漁港夜景」に対し)、野々村一男・彫刻(55年日展出品作「物とのはざま」に対し)、浅蔵五十吉・陶芸(55年日展出品作「佐渡の印象」飾皿連作に対し)、大江宏・建築(丸亀武道館など建築設計の業績に対し) 恩賜賞を含め、美術部門の6分野から揃って受賞者が出たのは初めて。
昭和55年度(第31回)の芸術選奨文部大臣賞12名、新人賞11名が、28日決定した。美術部門では、洋画の杉全直、彫刻の向井良吉が文部大臣賞に選ばれ、前者は「1938―1975杉全直展」により多年の抽象表現追求の軌跡を示したとして、また後者は「楽器の中から…向井良吉彫刻展」で楽器の中に人間的生命を見る独自の芸術的境地を開いたとして、今回の受賞となった。
具象洋画の新人登竜門として第24回を迎えた今回は、安井賞に有元利夫の「室内楽」が選ばれ、水出陽平「一列」が佳作賞となった。この2点を含む63作家65点の入選作品は、28日から3月17日まで池袋・西武美術館で展覧され、以後各地を巡回した。
前衛陶芸グループ「走泥社」の創立をはじめ、現代陶芸に大きな足跡を残した八木一夫の回顧展が、24日から3月29日まで京都国立近代美術館で開催された。同展は引続き東京国立近代美術館でも開催。
昭和の保存技術の粋を結集し、8年間にわたって文化庁が進めてきた高松塚古墳の壁画の修復作業が、18日ほぼ終了した。また同古墳から出土した海獣葡萄鏡が、中国・西安市にある唐代・神功2(698)年の墓から出土した鏡と同鋳型であることが確認され、高松塚古墳の築造年代に関する重要な判定資料となった。
百万点を越える版画を所蔵するアルベルティーナ美術館(ウィーン)から、デューラー、レンブラント、ゴヤ、ピカソなど、15世紀から近代までのヨーロッパ版画史における代表的作家の作品134点を厳選し陳列した展覧会が、7日から3月22日まで国立西洋美術館で開催された。
ウィーン世紀末芸術の代表的画家グスタフ・クリムトの油彩・デッサン・ポスターなど1881年から没年までの作品120余点を公開した展覧会が、29日から2月24日まで新宿・伊勢丹で開催された。クリムト展は日本では初紹介。
静岡県尾上イラウネ遺跡で22日、礫群の中に線刻のある礫1個が見つかった。奈良国立文化財研究所の調査で、1万4千年から1万6千年前の我国最古の線刻礫であることが判明し、線刻は人間が弓でシカを射ている姿を描いたものらしいことがわかった。
昭和46年以来隔年制で実施されている山種美術館賞は第6回目を迎え、15日に行われた選考委員会の結果、大賞に仲村進「西に向う牛群」、優秀賞に岡村倫行「砂に」林功「汎」がそれぞれ選ばれた。尚、同賞展は2月7日から3月29日まで山種美術館で開催された。
第22回の毎日芸術賞が1日発表され、建築部門で大高正人が受賞した。受賞の対象となったのは昭和54年の群馬県立歴史博物館。今回美術部門からの受賞はなかった。
桂離宮の中書院・古書院の解体修理が、19日完了した。
マイヨールの彫刻「ひざまづく女」が、29日午前旭川市のデパートで開催中のマイヨール展の会場から盗まれているのが判明した。
23日夕、東京国立近代美術館に展示中の梅原竜三郎(23点)ほか16作家の作品38点が、鉄パイプを持った男にズタズタに切り裂かれた。一瞬のスキをついた犯行で、絵の前に柵などを置かない展示がアダとなったが、警備体制の再検討など全国の美術館に大きな衝撃を与えた。
ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロら巨匠の数々の傑作を集めたイタリア・ルネッサンス展が、1日から12月21日まで国立西洋美術館で開かれた。絵画・彫刻・工芸等全45点、中にはボッティチェリ「ケンタウロスを制御するパラス」、ティツィアーノ「ヴィーナスとキューピッド」等海外初公開の作品も含まれた。東京展に引き続き京都国立近代美術館、愛知県文化会館美術館で開催。
浮世絵研究家の長瀬武郎は、戦前滞仏中に収集した北斎の作品約400点を含む海外流出の浮世絵600点余りを浮世絵太田美術館に寄贈した。
スペイン国王・王妃の来日を記念して、34点の小規模ながら、ベラスケス、ムリリョ、スルバランらスペイン絵画黄金期の画家の作品が、29日から12月21日まで東京国立博物館で公開された。ゴヤの作品も2点特別出品された。
1979年度文化勲章(5名)並びに文化功労者(10名)が24日の閣議で決定した。美術関係では文化勲章に日本画の小倉遊亀、建築学の丹下健三、文化功労者に日本画の山口華楊、彫塑の清水多嘉示、書道の安東聖空が選ばれた。勲章伝達式は11月3日皇居で、文化功労者の顕彰式は同4日霞ヶ関の国立教育会館で行なわれた。
日本人の美意識に深く係わる茶道の美術を、絵画・茶具・書など総計399点に及ぶ作品から通観する展覧会が、7日より11月24日まで東京国立博物館で開催された。国宝31点、重文77点を含み、質の高い作品が多数出品された。