重要文化財の新指定

1959年10月

文化財保護委員会は16日重要文化財の新指定を行つた。絵画29件、彫刻18件、工芸品43件、書跡46件、考古11件、計147件である。

隋唐の美術展

1959年10月

11日-11月8日於京都国立博物館。京博恒例の秋の特別展覧会で、日本に古来伝わる遺品を主とし、更に近年中国各地の遺趾から出土したものなど、いろいろな遺品を美術各分野にわたつて網羅したものである。出陳作品は絵画22点、書跡35点、彫刻33点、陶彫152点、陶瓷84点、金工54点、染織53点に及んでいる。

石川県立美術館開館

1959年10月

兼六園の一角に建造中の石川県立美術館は、9月竣工、10月12日落成開館した。地下1階、地上2階、延1593平方米(482坪)鉄筋コンクリート造、総工費76,250万円で、金沢出身の谷口吉郎が設計にあたつた。所蔵品は786点、仁清の色絵雉香炉、同、色絵梅花文様平水指ほか工芸品が過半を占めている。

イタリア、プレミオリソーネ美術展で堂本尚郎入賞

1959年10月

北イタリア、リソーネ市で開催された第11回プレミオ・リソーネ美術展で、堂本尚郎が第2位特別賞(10万リラ)を受賞した。この展覧会は前衛美術に限定された国際ビエンナーレ展で、他に田渕安一(美術館賞)川端実(名誉賞)も入賞した。なお1位はイタリアのベデバであつた。

日本機械デザインセンター設立

1959年09月

かねてから設立が望まれていた機械関係のデザイン・センターが創立、29日創立総会を開いた。デザイン・センターの主な業務は、1 機械類のデザインなどの保全登録及び認定に関するもの、2 デザインに関する調査研究、3 新規デザインの考察、指導及び助成に関する業務、4 デザインに関するPR、5 デザインに関する紛争の調停、6 その他、となつている。理事長、日本機械輸出組合理事長 弘中、理事藤井左内、小池新二小池岩太郎

産業工芸試験所で米人デザイナーを招く

1959年10月

産業工芸試験所ではJ.Doblin, Dave Chapman, の2名の米人デザイナーを講師として招き、5日から約1ケ月、同試験所及び都道府県の関係職員、民間デザイナー約30人について講義と実習指導を行つた。

文部省、優秀美術品買上制度を設ける

1959年09月

美術奨励のため、文部省は今年度から、展覧会発表作品中の優秀作品を国で買取ることをきめ、9月19日買上作品の選考委員として今泉篤男河北倫明辻永富永惣一柳亮の5名を決定した。国立近代美術館が行つている作品買上と平行して、若手や新人、中堅級の画家に重点をおき展覧会出品作品が対象となつている。本年は100万円の予算で(10点位の購入を予定)あるが、来年度は200万円位に増額して、彫刻、工芸にまで及ぶ計画でいると20日発表した。

サンパウロ国際美術展で川端実が入賞

1959年09月

サンパウロで開かれた第5回国際美術展の入賞者が17日発表されたが、日本は約150点を出品、そのうち川端実が入賞した。大賞は英国の彫刻家バーバラ・ヘプウォースであつた。日本からは徳大寺公英が審査に参加した。

文化勲章選考委員きまる

1959年09月

文部省は今年度の文化勲章選考委員会委員、同文化功労者選考審査会委員に次の10名を推薦、8日の閣議で正式に決定した。 元文相 天野貞祐(哲学) 東大学長 茅誠司(物理学) 慶応義塾々長 奥井復太郎(社会学) 東大名誉教授 瀬戸象二(工学) 国立西洋美術館長 富永惣一(美術) 作家 大仏次郎(文芸) 日大医学部長 比企能達(医学) 東京教育大名誉教授 福原麟太郎(英文学) 日本芸術院会員 山口蓬春 音楽評論家 牛山充

ICSID第1回総会に小池岩太郎出席

1959年09月

ICSID(The International Council of Societies of Industrial Designers)の第1回総会が16日から18日までストックフォルムで開かれた(ICSIDは1957年創立)。カナダ、ドイツ、フランス、インド、イタリア、英、米、日その他各国のデザイン関係協会の会員が出席し、日本からはJIDA代表小池岩太郎が出席した。

アンデス遺跡展

1959年08月

東京大学では、アンデス地帯調査団を組織し、昭和33年初夏から約半年にわたつて同地帯を、地理学、考古学の両面から調査、研究し多大な成果をあげ昨年末帰国した。この展覧会は、その際の調査によつて得た資料によるもので、ペルー政府の好意で東京大学に贈られた品である。読売新聞社主催、外務省・文部省・ペルー大使館・ボリビア領事館・東大アンデス地帯学術調査団の後援で18日から30日まで東京新宿伊勢丹百貨店で開催され、更に、来年1月迄、仙台、大阪、横浜、名古屋、福岡の各地でも展観される。

源氏物語絵巻展

1959年09月

1日-13日 於東京国立博物館 東京国立博物館、徳川美術館共催、川面義雄氏の徳川本源氏物語絵巻の木版複製完成を記念して開催されたもので、原本と複製を同一会場に陳列して、比較ができるようになつていた。原本の優秀さと、木版技術の限界が対照され、まことに興味深く鑑賞できた。

国宝美術工芸品の保存修理

1959年07月

34年度第2-4半期の保存修理物件は次の通り。金地院秋景冬景山水図2幅を修理し完了。東大寺倶舎曼荼羅図を前年度より継続して修理し完了した。厳島神社平家納経33巻の内5巻を修理し完了した。当麻寺塑造弥勒仏坐像を修理し完了した。熊野速玉神社古神宝類を前年度よりひきつづき修理し、次年度に継続する。東大寺金堂鎮壇具の修理を開始し次年度に継続する。

浅野長武ら仏政府から勲章を贈られる

1959年07月

フランス政府では、13日長年フランス文化の日本紹介と交流に功績のあつた東京国立博物館長浅野長武に、レジオン・ドヌール・オフィシエ章を、同館次長田内静三に同シュヴァリエ章を贈つた。

第5回毎日産業デザイン賞決定

1959年07月

毎日新聞社が産業デザインの向上をはかつて、昭和30年度に設定した毎日産業デザイン賞の、第5回受賞者が21日発表された。授賞式は8月27日。 工業デザイン部門 金子至、秋岡義夫、河潤之介(セコニック8ミリ撮影機、影写機ならびにセコニック製品における一連のデザイン活動) 商業デザイン部門 開高健、柳原良平、酒井睦雄、山口瞳(寿屋宣伝部、テレビコマーシャルを中心とする一連のデザイン活動) なお選考委員は、今竹七郎、大場吉三郎、金子徳次郎、重成基、竹岡リョウー、直野善一(以上大阪)今泉武治、勝見勝剣持勇、小杉二郎、豊口克平原弘山名文夫(以上東京)

下村観山代表作展

1959年07月

天心、春草、大観らと新しい日本画の創造をめざし、明治から大正へかけての日本画の発展に大きな足跡をのこした観山の、歿後30年を迎えての回顧展である。美校時代の写生図から昭和5年の絶筆まで屏風大作を含む40点近くが集められた。朝日新聞社主催、東京国立博物館・日本美術院後援で、会期は21日から8月2日迄。

フランスから芸術文芸勲章おくられる

1959年06月

フランス政府は、国立西洋美術館開館を記念して、日仏文化交流の功労者として次の5名に勲章を贈ることになり12日駐日大使館で授賞式が行われた。 同勲章コマンドール 高橋明(外務省文化参事館) オフィシエ 富永惣一(西洋美術館長) 川喜多長政(東和映画社長) シュヴァリエ 嘉門安雄(西洋美術館) 秋山光和(東京国立文化財研究所)

男体山遺物の調査

1959年07月

文化財保護委員会の斎藤忠技官ら7名の調査団により、日光連峰男体山頂で、二荒山神社奥宮周辺の遺物を発掘、山岳信仰の歴史を明らかにする学術調査が2日より10日迄行われた。発掘品として奈良時代の銅印や平安時代の銅鏡などをはじめ、錫杖・独鈷・経筒などの仏具や古銭など多数があり、巨岩が奈良時代より江戸時代まで信仰の中心となつていたことに男体山信仰の特異性が認められるにいたつた。

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