金閣寺復元

1955年10月

去二五年七月炎上した鹿苑寺金閣は再建成つて五年ぶりに秀麗な姿をみせ、一〇日盛大に落慶供養を行つた。総檜造で一階は白木のまま、二・三層は内外とも金箔押し、屋上には金色燦然たる鳳凰がはばたくという創建当初の形に復元したものである。

ヴェニスの日本館建設に決定

1955年10月

ヴェニスのビエンナーレに日本館を建設する問題は、イタリヤからその敷地の用意してある旨通知をうけて以来三年越しになり、資金難のため行きづまつていたが、このほど漸く話がまとまり、二六日、設計者も早大教授吉阪隆正に決定した。

平泉文化遺跡発掘

1955年10月

東大教授藤島亥治郎を団長とする奥州藤原文化遺跡調査団の第三回学術発掘調査は毛越寺境内の大泉池を中心に五日から二一日間行われた。

日墨文化協定批准書交換

1955年10月

昨年一〇月調印された日本とメキシコとの文化協定は、五日批准書が交換され、同時に発効した。

文化勲章並びに文化功労年金受領者決定

1955年10月

昭和三〇年度、第一四回文化勲章ならびに文化功労年金受領者一〇名が決定二五日発表された。美術関係では、文化勲章受領者に、日本画家前田青邨、文化功労年金受領者に洋画家山下新太郎が選ばれ、文化財専門審議会第一分科会会長和辻哲郎も文化勲章をうけた。一一月三日「文化の日」に授賞式が行われた。

松本城復元完成

1955年10月

松本城の修理工事が五年ぶりに完成、一日落成式典が行われた。天守二階の窓が五間連続のものとなり、渡櫓・乾小天主一、二階の西、北側にあつたガラス窓、月見櫓の縁の勾欄を復元し、乾小天主四階の西、北の窓を華頭窓に復元したことが、以前に比較して変つた点である。

トゥッチ博士来日

1955年10月

イタリア中亜極東学院長、ローマ大学教授ジュゼッペ・トゥッチ博士が、さきに調印された日・伊文化協定にもとづき両国文化交流を促進するため四日来日した。又滞日中は各地で専門の東洋文化についての講演を行つた。

雑誌みづえ創刊五〇周年記念展

1955年10月

美術出版社発行の雑誌「みづゑ」が明治三八年創刊されてから五〇周年を迎え、その記念に一日から同社主催で「日本洋画名作展」が日本橋高島屋に開催された。

欧州各地で「日本書道展」開催

1955年09月

最近の欧米に於ける日本書道に対する関心にこたえ、オランダ、アムステルダムを皮切りに欧洲各地に「日本書道展」を開催した。一一団体八九作家の作品一一五点がえらばれ、発送前八月二〇日から九月四日まで国立近代美術館で、欧洲出品記念展が行われた。

文化勲章選考委員決る

1955年09月

昭和三〇年度文化勲章ならびに文化功労者選考委員一〇名を二三日閣議で決定した。 委員左の通り 国立近代美術館次長今泉篤男、慶応大学々長潮田江次、芸術大学音楽学部長加藤成之、東大教授茅誠司、大妻女子大学長河原春作、芸術院会員久保田万太郎、東京都立大学長柴田雄次、文化財保護委員会委員長高橋誠一郎、早大文学部長谷崎精二、東京慈恵医大学長寺田正中

文部省人事異動

1955年09月

文部省では六日寺中社会教育局長のパリ駐在文化使節転出を初め大幅の人事異動を発令した。

メキシコ美術展開く

1955年09月

日墨文化協定成立を記念して、メキシコ芸術院、東京国立博物館、読売新聞社主催で「メキシコ美術展」が一一日から一〇月二〇日まで東京国立博物館で開催され千三百余点の作品が陳列された。

平和祈念像除幕式

1955年08月

かねて四年有半を費して長崎に建設中の平和祈念像が原爆一〇周年記念日の九日を前に八日爆心地浦上平和公園で、各関係者参集の上除幕式が挙行された。この像は一三尺の台座に座る三丈二尺のブロンズ男像で、制作は北村西望による。

「日本工芸会」発足

1955年08月

無形文化財に選定された京都在住の作家によつて結成された日本工人社が発端となり、この組織を全国的に拡大しようと、さきに同社を解散し、新らたに社団法人組織として結実したものである。工芸家の統一組織としては初めてのもので、会員五九名。

サンパウロ国際建築展に早大入賞

1955年08月

ブラジル、サンパウロの国際建築展に出品した早稲田大学建築科学生の作品「三千人の勤労者の家族が一ケ月間、休暇で過せるような水辺にある休養施設」(課題作)は一等賞を獲得した。

美術映画「広重」文部省選定になる

1955年08月

東京都教育委員会企画、北欧映画製作の美術映画「広重」(四巻)は、英語版も製作され、最近欧米でも公開されているが、今度文部省選定、優秀映画鑑賞会推薦となつた。

第一回毎日産業デザイン賞

1955年07月

我国産業デザインの向上を目的として、「毎日賞」の中に新しく今年度から設定されたもので、年度内に於ける商工業デザインを通じて最も優秀と認められる作家および団体の顕著な業績に対し、毎年授賞される。今年度(昭和三〇年度)の受賞者は左の通りで二三日受賞式を行つた。 特別賞―国井喜太郎(工業デザイン部門)、山名文夫(商業デザイン部門) 作品賞―小杉二郎(工業デザイン部門「松田三輪トラック、蛇の目ミシンその他」)、早川良雄(商業デザイン部門、「年間を通じての一連の作品」)

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