小場恒吉

没年月日:1958/05/29
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元東京芸術大学図案科教授小場恒吉は、5月29日老衰のため、東京都中野区の自宅で逝去した。享年80歳。明治11年1月25日秋田市に生れた。郷里の中学に学び、同地の狩野派の画家につき指導をうけたのち上京、明治31年東京美術学校図案科に入学した。かたわら荒木寛畝に日本画を、岡本椿所について篆刻を学んだ。明治36年東京美術学校を卒業し、一時郷里の秋田工業学校に勤務したが、同41年東京美術学校雇、図案課助手となり、大正元年同校助教授となつた。この年から朝鮮古墳壁画模写、或は学術研究のため朝鮮に出張、大正5年には美校を辞し、朝鮮博物館事務を嘱託、また総督府学務局古墳調査課に勤務、朝鮮美術審査委員会委員などを兼務していた。大正14年6月、東京美術学校講師となり、工芸史授業を担任、同年更に美術学校から研究のため朝鮮に赴いた。昭和8年朝鮮総督府宝物古墳名勝天然記念物保存会委員を嘱託、年々渡鮮し古墳調査の傍ら高勾麗壁画の模写に従事した。昭和21年東京美術学校教授、24年には東京芸術大学及び同大学東京美術学校教授に任ぜられ27年3月まで教授として在任した。また昭和27年から29年まで同大学評議会評議員をつとめていた。紋様史の研究を専門とし、日本、中国及び朝鮮の古墳古建築の装飾から、絵画彫刻の絵紋様、又は一般古美術工芸品に現われた形態、若しくは紋様などを対象とするもので、実測にもとづく綿密な調査研究は美術界に寄与するところ大きく、研究の一部をなす「日本紋様の研究」は昭和25年に芸術院恩賜賞を受賞した。著書「朝鮮古蹟調査報告」「慶州南山の仏蹟」「楽浪王光墓」等。

出 典:『日本美術年鑑』昭和34年版(150頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

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例)「小場恒吉」『日本美術年鑑』昭和34年版(150頁)
例)「小場恒吉 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/8939.html(閲覧日 2024-12-05)

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