日本漆芸会創立
1954年05月昭和二三年に結成した漆芸大同会は、この程日本漆芸会と改称、漆芸の振興と発展を目指し、再発足した。会長高野松山以下諸役員も決定、事務所を音丸耕堂方に置いた。
昭和二三年に結成した漆芸大同会は、この程日本漆芸会と改称、漆芸の振興と発展を目指し、再発足した。会長高野松山以下諸役員も決定、事務所を音丸耕堂方に置いた。
奈良国立博物館に奥行七尺五寸、間口一〇尺、高八尺五寸の殺虫室ができた。三方をコンクリートで囲み、一方に鉄扉をつけ、隣にモーター二台を備えた機械室がある。古美術品を入れて密閉し、殺虫用ガスを吹込むもの、阪大奥島教授の指導による。
藤田香雪翁の遺した古美術の大蒐集が、財団法人に寄附され、藤田美術館として発足することとなり二二日開館式をあげた。美術館は大阪市都島区網島町の戦禍を免れた倉庫を中心に建てられ、蔵品三〇点を選び、五日間を限つて開館記念の特別展を行つた。
昨年の国際美術展につづく、毎日新聞社主催の現代美術展で、国際美術展を隔年毎の開催ときめたので、本年は海外作家の出品なく、現代日本美術展として一九日から開かれた。
アメリカの建築家でバウハウス運動の創始者として知られているワルター・グロピウスは、国際文化振興会の斡旋で、一九日羽田に来着した。約三ケ月滞在、その間、作品模型、写真による展覧会、或は講演会等を開くことになつた。
朝日新聞社の主催により八日から二三日まで日本橋白木屋に於て開催、禅宗を背景とした水墨画、肖像画の他、絵巻、障壁画、書蹟、工芸品、刀剣武具等一〇〇点余が展示された。
日本学士院では一二日昭和二九年度の恩賜賞及日本学士院賞の授賞式を行つた。本年度の恩賜賞は京都大学教授文学博士田村実造及同講師小林行雄共著「慶陵」に対して与えられた。
宮内庁では、同庁三階にある儀式室「表西ノ間」を横山大観、川合玉堂、安田靭彦の新作で飾ることになつた。作品は横五尺以上の大作で、富士を題材とした大観の作品は既に完成し、靭彦は「木花咲耶姫」、玉堂は山水を題材に制作の予定。
佐賀県有田に町立陶磁器美術館が出来て、三日開館式を挙げた。古陶磁約一〇〇点の他現代の名作その他資料を展示し、併せて調査研究も行う。
東京国立博物館では同館並びに朝日新聞社主催のもとに四月一六日からゴヤのエッチング展を催した。作品はすべて、スペイン政府の提供によるもので、エッチング一一七点を展観した。
武力紛争時における文化財保護条約に関する国際会議はユネスコ及びオランダ政府の共催により二一日から五月一二日までハーグの平和宮で開催され、代表顧問として京都国立博物館長神田喜一郎、文化財保護委員会事務局次長岡田孝平が出席した。参加四八ケ国の熱心な討議の結果、人類の貴重な遺産を戦禍から護る国際条約がはじめて実を結んだ。
国画会では新に会員として里見勝蔵(元独立美術協会々員)小泉清(元新樹会々員)を推薦した。両氏は国画会第二八回展から出品する。
京都国立博物館では春の特別展として一〇日から五月末日まで中国古陶展を開催した。中国歴代の名陶約一七〇点を時代別に体系づけて、中国陶瓷史を一望におさめうるように展示したものである。
三月国宝に指定された際全巻東京に持参されたのを機に、東京国立博物館では一三日から二五日まで巌島神社蔵平家納経の特別展観を行つた。全巻揃つて展示したのは昭和十五年四月の奈良博物館以来であつた。
東京国立博物館では五月パリのチエルヌスキ東洋美術館で開かれるルネ・グルッセ追悼展に動物戯画断簡、北野天神縁起残欠、単庵智伝筆芦鷺図の三点を出品することになつた。尚浅野同館長は家蔵の雪舟筆彷李唐牧牛図を出品する。また七月オランダでロツテルダム市主催のもとに開催されるエラスムス展覧会には栃木県竜江院蔵のエラスムス像が出品され、三ケ月間公開される。
奈良国立博物館では春季特別展として四月から五月一八日まで平安初期展を開催した。奈良文化が平安遷都を契機としていかに変化し発展したかを明らかにしようとしたもので特に彫刻の陳列には苦心のあとがみられ、反響も大きかつた。
奈良東大寺の執金剛神の右手第三指第四指は明治三二年の国宝指定の時既に行方不明になつていたが、最近東京の某氏から寺に返還された。調査の結果長さ、幅とも適合し土質も本像と同質と確認されたので、一九日の文化財専門審議会で現状変更を決定、復旧することになつた。
ニューヨーク近代美術館中庭に工事中の、吉村順三設計の書院造建築は略々完成に近づいたが、その内部を飾る襖絵その他も、東山魁夷の手で、この程出来上つた。壁貼付、杉戸、襖の三種に亘つて制作、装飾金具は芸術大学助教授内藤四郎の手になつた。
文化財保護委員会では一九日、国宝第六次、六二件、重要文化財第五次、一二三件、史迹名勝天然記念物一八件、無形文化財一〇件の新指定を発表した。新国宝には園城寺黄不動、厳島神社平家納経等がある。
アメリカ・アブストラクト美術家協会と日本アブストラクト・アートクラブ合同の日米抽象美術展が三月七日、ニューヨークのリバーサイド・ミュージアムで開かれた。アメリカ側五〇名五〇余点、日本側九名三〇余点を陳列、日本側出品者は山口長男、山口正城、村井正誠、川口軌外、恩地孝四郎、西田信一、末松正樹、植木茂、長谷川三郎であつた。