川口軌外

没年月日:1966/06/05
分野:, (洋)

洋画家の川口軌外は、6月5日午前0時5分、脳軟化症のために死去した。享年73才。本名を孫太郎。川口は、長い滞欧生活のあいだにアンドレ・ロートやフェルナン・レジェに学んで、帰国後は二科展、独立展、戦後は国画会展などに作品を発表、幻想的で構成的な作風を展開、しばしば国際展にも出品した。
年譜
明治25年(1892) 11月10日、和歌山県有田郡に生れる。
明治36年 小学校卒業、吉備実業学校に入学。
明治38年 吉備実業学校中退。
明治39年 和歌山県師範学校に入学。この頃、洋画グループに参加する。
明治44年 師範学校を中退、洋画家を志して上京、太平洋画会研究所に入所して中村不折に師事。
大正3年 日本美術院洋画部へ移り、小杉未醒に師事。
大正5年 結婚。安井曽太郎滞欧作品に感銘する。
大正8年 フランスに留学、イタリア、スペインなどを旅行する。
大正11年 帰国。10ケ月滞日。「少女とミモザの花」「トアレット」「静物」「風景1、2」を二科展に出品。
大正12年 再渡仏する。このころ、佐伯祐三、前田寛治、里見勝蔵らと交遊する。
大正15年 アカデミー・ロートに学ぶ。
昭和2年 フェルナン・レジェに師事し、作風はしだいに構成的になる。
昭和3年 フランスより15回二科展に「ボヘミヤン」「静物」を出品。
昭和4年 帰国。二科展に「車のある風景」「寺院」「坐せる女」「キャフェにて」など10点を特別出品し、二科賞を受賞する。1930年協会に加入する。
昭和5年 二科展に「月空」「静物」「ビワの実」を出品、二科会々友となる。11月、二科会を脱会して、独立美術協会創設に参画して会員となる。
昭和6年 第1回独立展に「詩思」「智」「マンドリン」「写像」など10点を出品。
昭和7年 第2回独立展に「スブニール」「地維」「白い花」など7点を出品。
昭和8年 第3回独立展に「柘榴」「牡丹花園」「月夜の雪景」「花束」を出品。
昭和9年 第4回独立展に「少女と貝殻」「蓮」「瀞峡」を出品。
昭和10年 第5回独立展に「鸚鵡と少女」「貝殻」など4点を出品。
昭和11年 第6回独立展に「白蓮」「浴女」「貝殻」を出品。
昭和12年 第7回独立展に「エスキースB」「偶感A」など4点を出品。
昭和13年 第8回独立展に「群鳥」「静物」など4点を出品。
昭和16年 第11回独立展に「漁夫A」「ダリヤ」など4点を出品。
昭和17年 第12回独立展に「花と果物」「桃」など4点を出品。
昭和18年 独立美術協会会員を辞す。
昭和20年 和歌山県の郷里に疎開し、専ら野菜、果実などの静物画を描く。
昭和22年 国画会会員にむかえられ、21回国画会展に「ビワ」「桃」など5点を出品。
昭和23年 第22回国画会に「花」「女」を出品。
昭和24年 第23回国画会に「菊と婦人」「花」を出品。
昭和25年 和歌山より上京する。第24回国展に「果物と花」「室内」を出品。
昭和26年 第25回国展に「月」「人」を出品。
昭和27年 第1回日本国際美術展に「鳥の情態」「花と裸婦」「静物」を出品。国展に「油送船」他2点を出品。
昭和28年 第2回日本国際美術展に「日傘と人」「作品」を出品。サンパウロ国際ビエンナーレ展、ニューヨーク・アブストラクト・アーチスト展に出品。27回国展に「製油所と船」「異影」「群像」を出品。
昭和29年 第28回国展に「円」「港の朝」他1点。第1回現代日本美術展に「円」「製油所の港」を出品。
昭和30年 第29回国展に「作品」A・B・C、第3回日本国際美術展に「水浴する人たち」「夏の浜にて」を出品。
昭和31年 第30回国展に「群像」「構図」、第2回現代日本美術展に「集団」「人体」を出品。
昭和32年 第31回国展に「人体」「港」、第4回日本国際美術展に「人体」を出品。
昭和33年 第32回国展に「鳥と樹」「作品」、第3回現代日本美術展に「樹間と鳥」を出品。神奈川県立近代美術館において<川口軌外脇田和展>開催される。
昭和34年 第5回日本国際美術展に「三つのポーズ」出品。
昭和35年 第4回現代日本美術展に「水浴の人たち」「作品」(水浴の人)を出品。この頃、健康を害する。
昭和36年 第6回日本国際美術展に「作品」を出品。
昭和37年 第5回現代日本美術展に「群像」「顔のある木」を出品。脳軟化症におかされ半身不随となる。
昭和38年 第7回日本国際美術展に「鳥」を出品。国画会々員を辞す。
昭和39年 第6回現代日本美術展に「森の中」「人」を出品。
昭和41年 6月5日死去。

出 典:『日本美術年鑑』昭和42年版(142-143頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「川口軌外」『日本美術年鑑』昭和42年版(142-143頁)
例)「川口軌外 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9175.html(閲覧日 2024-04-19)

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