平城宮跡第一次大極殿の完成

2010年04月

平城遷都1300年となる2010年に向けて、2001年より奈良市の平城宮跡に復原整備が進められていた第一次大極殿が完成、23日に記念式典が開催された。これまでの調査研究の成果をもとに創建当時の意匠・構造・材料等の復元を目指し、できる限り古代の伝統工法を採用することを基本方針として進められた。内部の四神および十二支の壁画は日本画家の上村淳之が担当。大極殿が復原された平城宮跡は、24日から11月7日まで平城遷都1300年祭のメイン会場となった。

重要文化財(建造物)指定の答申

2010年04月

文化審議会(会長:西原鈴子)は16日、京都市中心部の大規模な町家である杉本家住宅や、有明海の干拓地に築かれた旧玉名干拓施設(熊本県玉名市)など8件を新たに重要文化財に、桜川市真壁伝統的建造物群保存地区(茨城県桜川市)を重要伝統的建造物群保存地区に指定するよう、川端達夫文部科学相に答申した。

三菱一号館美術館開館

2010年04月

東京・丸の内に明治期の赤レンガ建築を忠実に復元した三菱一号館美術館(館長:高橋明也)が、6日開館した。1968(昭和43)年に老朽化から解体されたイギリス人建築家ジョサイア・コンドルの設計の建築を復元、延べ面積6000㎡、20の展示室からなる。ロートレックのリトグラフやポスター等、約250点のコレクションを持ち、19世紀近代美術を中心に年3~4回の企画展を開く。開館記念展はオルセー美術館との共同企画による「マネとモダン・パリ」展(7月25日まで)で、マネの芸術の全貌を当時のパリが都市として変貌していく様子と結びつけながら、代表作により展覧。続いて開館記念展の第二弾として開催された「三菱が夢見た美術館 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション」(8月24日~11月3日)では、三菱を興した岩崎家の文化・芸術との深い関わりを、同家が興した静嘉堂や東洋文庫の名品、および三菱系企業やゆかりの個人が所蔵する作品によって紹介した。

第29回土門拳受賞者決定

2010年04月

前年に優れた成果を挙げた写真家に贈られる土門拳賞の第29回受賞者が鈴木龍一郎に決定した。受賞対象は写真集『RyUlysses リュリシーズ』(平凡社)で、ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』に触発され、アイルランドのダブリンをパノラマカメラで精密に再現したことが評価された。

平成22年度文化庁予算決定

2010年03月

平成22年度予算案が24日、成立した。文化庁予算は1020億2400万円となり前年度より0.5%、4億8500万円の増額となった。Ⅰ.豊かな文化芸術の創造と人材育成、Ⅱ.我が国のかけがえのない文化財の保存・活用等、Ⅲ.我が国の優れた文化の国内外への発信、の3つを柱とし、Ⅰでは芸術家等の養成・子どもの文化体験の充実に増額が図られ、Ⅱでは近畿2府4県の国宝・重要文化財を対象として設置後30年を経過した消火設備の耐震改修を行う「緊急防災施設耐震改修事業」を新たに開始、Ⅲでは優れた舞台美術・メディア芸術等の戦略的発信に大幅な予算増額が図られた。

妹島和世、西沢立衛のプリツカー賞受賞

2010年03月

建築界のノーベル賞といわれ、優れた建築家に毎年贈られるプリツカー賞受賞者に妹島和世、西沢立衛の両名が選ばれたことを、主催団体の米ハイアット財団が28日発表した。両名は共同の設計事務所SANAA(東京)を通じ、日本や欧米で積み上げてきた実績が評価された。共同作業を通じ、力強く繊細、正確で、建築の目的に沿って利用される建築を実現したことなどが授賞理由。主な共作に熊野古道なかへち美術館(1996年)、金沢21世紀美術館(2004年)など。なお妹島和世は、8月から11月まで開催された第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを日本人建築家としては初めて、また女性としても同建築展史上初めて務めた。

高松塚壁画劣化の文化庁検討会による報告

2010年03月

高松塚古墳壁画について劣化原因を調査してきた文化庁の調査検討会(座長:永井順国・政策研究大学院大学客員教授)は24日、報告書を玉井日出夫文化庁長官に提出した。自然的要因に加え同庁の保存対策の不備や監視態勢の欠如など複数の要因を指摘、カビ発生後の対策も後手に回り、さらに被害を拡大させる負の連鎖を招いたと報告した。

重要文化財指定の答申

2010年03月

文化審議会(会長:西原鈴子)は19日、伊能忠敬の地図、文書、測量器具など関係資料2,345点(千葉県香取市蔵)と、奈良時代の開墾の状況を記した絵図「越中国射水郡鳴戸村墾田図(麻布)」(奈良国立博物館蔵)を国宝に、日本画家前田青邨が描いた「洞窟の頼朝」(大倉集古館蔵)など計38件を重要文化財に指定するよう川端達夫文部科学相に答申した。同時に美術工芸品1件、岩崎弥太郎の生家「岩崎家住宅主屋」などの建造物139件を登録有形文化財として登録するよう答申した。

日本芸術院賞受賞者決定

2010年03月

日本芸術院(院長:三浦朱門)は18日、2009年度の芸術院受賞者を発表した。第1部(美術)で山本文彦(洋画、二紀展出品作「樹想」に対して)、第2部(文芸)で粟津則雄(評論・翻訳、文学を中心にした芸術各分野における長年の活動に対して)が恩賜賞・日本芸術院賞を、第1部(美術)で武腰敏昭(工芸、日展出品作「湖畔・彩釉花器」に対して)、樽本樹邨(書、日展出品作「富陽妙庭観董雙成故宅發地得丹鼎」に対して)、北川原温(建築、中村キース・へリング美術館に対して)が日本芸術院賞を受賞した。

芸術選奨文部大臣賞受賞者決定

2010年03月

文化庁は12日、2009年度の芸術選奨文部科学大臣賞と同新人賞の受賞者を発表した。芸術選奨文部科学大臣賞美術部門では、彫刻家の長澤英俊(「長澤英俊展―オーロラの向かう所」に対して)、日本画家の山本直彰(「山本直彰展 帰還する風景」に対して)、メディア芸術部門では東京芸術大学大学院映像研究科長教授の藤幡正樹(「Simultaneous Echoes2009・a “Field-work” in Londonderry」)が受賞。同新人賞美術部門では、写真家の津田直(「果てのレラ」に対して)、評論等の部門では東京文化短期大学教授の岩切信一郎(著作『明治版画史』に対して)が受賞した。

新潟市美術館での国宝展示の不許可

2010年03月

新潟市美術館で4月から開催予定だった「奈良の古寺と仏像」展で、文化庁が9日、中宮寺の菩薩半跏像(国宝)と重要文化財14点の展示を認めない方針を決定した。同美術館では2009年7月に展示作品にカビが発生したのに続き、2010年2月にクモや昆虫が確認されたことがその理由。これを受けて同美術館の北川フラム館長が更迭され、「奈良の古寺と仏像」展は会場を変更して新潟県立近代美術館での開催となった。

第35回木村伊兵衛写真賞受賞者決定

2010年03月

写真家木村伊兵衛の業績を記念し、優れた新人写真家に贈られる木村伊兵衛写真賞(主催:朝日新聞社、朝日新聞出版)の第35回目の受賞者は8日、高木こずえ(写真集『MID』『GROUND』に対して)に決定した。

長谷川等伯展開催

2010年02月

桃山時代に活躍した絵師長谷川等伯(1539-1610)の没後400年を記念して、その画業の全貌を紹介する「没後400年 長谷川等伯」展が23日から3月22日まで東京国立博物館で開催された。能登で仏画を描いて活躍した初期から、京に上り豊臣秀吉や千利休を後ろ盾に大画面の金碧画を多数描く一方、水墨画の境地を深めた足跡を、第一章「能登の絵仏師・長谷川信春」、第二章「転機のとき-上洛、等伯の誕生」、第三章「等伯をめぐる人々-肖像画-」、第四章「桃山謳歌-金碧画-」、第五章「信仰のあかし-本法寺と等伯-」、第六章「黒の魔術師-水墨画への傾倒-」、第七章「松林図の世界」として「楓図壁貼付け(智積院)」「松林図屏風」などの国宝を含む約80点により跡づけた。同展は京都国立博物館に巡回した(4月10日-5月9日)。

尾形光琳「紅白梅図屏風」金箔使用か

2010年02月

尾形光琳の代表作とされる「紅白梅図屏風」の金地背景について、所蔵館であるMOA美術館が14日に開いた研究会で、東京理科大学の中井泉教授が金箔の使用の可能性を指摘した。同美術館の依頼により、中井教授が原子の結晶構造をエックス線回折などで測定し、金箔と同一の結晶面を検出したことに基づくもので、2004年に東京文化財研究所が科学調査をふまえて発表し、論議を呼んだ金泥説とは異なる調査結果として、注目を集めた。

第17回VOCA賞受賞者決定

2010年01月

平面美術の若手作家を奨励するVOCA賞の第17回目の受賞者は写真作品「内緒話」「ベッド」を制作した三宅砂織に決定した。VOCA奨励賞は坂本夏子と中谷ミチコ、佳作賞は清川あさみと齋藤芽生、大原美術館賞は齋藤芽生にそれぞれ贈られることとなった。受賞作等を展示するVOCA展2010は3月14日から3月30日まで東京都の上野の森美術館で開催された。

毎日芸術賞受賞者決定

2010年01月

芸術文化における優れた業績を顕彰する毎日芸術賞(主催:毎日新聞社)の第51回目の受賞者が発表され、美術関係では、建築部門で隈研吾(根津美術館の設計に対して)、美術Ⅳ部門(書道)で關正人(東京セントラル美術館での第9回扶桑印社展特別展示、刻印集の刊行に対して)が受賞した。

朝日賞受賞者決定

2010年01月

2009年度朝日賞(主催:朝日新聞文化財団)の受賞者が1日に決定した。美術関係では建築家の伊東豊雄が「現代建築における空間表現の可能性を広げた業績」により受賞した。

文化財専門審議会

1962年03月

文化財専門審議会は、新たに国宝7件、重要文化財89件、重要無形文化財1件、史跡2件の指定、史跡の指定解除1件、その他を答申、それに基く決定が30日に行なわれた。

登録有形文化財登録の答申

2009年12月

文化審議会(西原鈴子会長)は11日、現存最古のレンガ造り灯台「菅島灯台」(三重県鳥羽市)、「鶴の湯温泉本陣」(秋田県仙北市)など21都県の建造物135件を新たに登録有形文化財にするよう川端文部科学相に答申した。これで登録有形文化財は7865件となった。また、「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」(石川県金沢市)など4件を新たに重要文化的景観に選定するよう答申した。 

芸術院新会員決定

2009年11月

日本芸術院(三浦朱門院長)は27日、芸術活動に顕著な功績があったとして新たに7名を同院新会員に選出したと発表した。美術関係では日本画家の土屋礼一(63)、福田千恵(63)、洋画家の薮野健(66)が選ばれた。12月15日付で川端文部科学相により発令された。

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