第11回西洋美術振興財団賞受賞者決定

2016年07月

西洋美術の理解や研究発表などに貢献した展覧会に携わった個人・団体を顕彰する西洋美術振興財団賞の第11回目の受賞者が決定した。個人に贈られる学術賞は植松由佳・国立国際美術館主任研究員(「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」展)、野中明・長崎県美術館学芸員(「スペインの彫刻家 フリオ・ゴンサレス展」に対して)が、団体に贈られる文化振興賞はドイツで開催された「JAPANS LIEBE IMPRESSIONISMUS Von Monet bis Renoir(日本人が愛した印象派、モネからルノワールへ)」展等に所蔵美術品を貸し出し、日本の西洋美術研究、文化交流の促進に寄与した吉野石膏株式会社が受賞した。

名勝・史跡指定の答申

2016年06月

文化審議会は17日、原爆被害の悲惨さを伝える長崎原爆遺跡(長崎市)等12件を史跡に、明治から大正にかけ皇室用に整備された旧沼津御用邸苑地(静岡県沼津市)等2件を名勝に指定、天台宗の霊山とされる摩尼山(鳥取市)等3件を登録記念物にするよう馳浩文部科学相に答申した。

国宝・重要文化財(建造物)指定の答申

2016年05月

文化審議会は20日、三越日本橋本店(東京都中央区)や大津市にある天台宗総本山延暦寺の浄土院伝教大師御廟等、12件50棟の建造物を重要文化財に指定するよう馳浩文部科学相に答申した。また名古屋市緑区有松、彦根市河原町芹町地区(滋賀県)の2地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定するよう答申した。

読売あをによし賞受賞者決定

2016年05月

保存科学・修復の現場で優れた業績をあげた個人・団体を顕彰する読売あをによし賞(主催:読売新聞社、特別協力:文化財保存修復学会)の第10回目の受賞者として、本賞に掛軸や屏風の表具に用いる古代裂の製作に取り組み、多くの国宝や重要文化財の修理に貢献した廣瀬賢治(京都府)、奨励賞に紅染の媒染剤等に使う、梅の実を黒くいぶした烏梅を製造する中西喜久(奈良県)、特別賞に寺社専門の建築会社として文化財建造物の保存・修復、復元工事に携わってきた株式会社金剛組(大阪府)が決定した。

「生誕300年記念 若冲展」の開催

2016年04月

22日より東京都美術館で「生誕300年記念 若冲展」が開催された(5月24日まで)。宮内庁所蔵の「動植綵絵」を含む、伊藤若冲の初期から晩年までの代表作を一堂に集めた展示で、2000年に京都国立博物館で開催された「没後200年 若冲」展以降高まりを見せていた若冲ブームの中、31日間の会期で約44万6千人の入場者数を記録した。

熊本地震による文化財被害

2016年04月

14日以降に熊本地方を震源として相次いで発生した熊本地震により、多くの文化財が被災した。国の指定文化財の被害は134件、自治体指定のものを含めると300件を超えた。熊本城(熊本市中央区)では築城当初から残っていた国の重要文化財の東十八間櫓・北十八櫓が石垣とともに倒壊・崩落。熊本洋学校教師館ジェーンズ邸(熊本市中央区、熊本県指定重要文化財)は建物が全壊。阿蘇神社(熊本県阿蘇市)では国の重要文化財の楼門と拝殿が全壊した。

神奈川県立近代美術館鎌倉館閉館

2016年03月

神奈川県立近代美術館鎌倉館が31日閉館した。同館は1951年、鎌倉市の鶴岡八幡宮境内に開館、坂倉準三の設計によるモダニズム建築として知られていた。しかし2010年代にはその老朽化や耐震性が問題化し、また土地の所有者である鶴岡八幡宮と神奈川県との貸借契約が満了となることもあり、閉館となった。閉館に先立つ1月31日に一般公開を終了。閉館後の11月に建物が神奈川県の重要文化財に指定、12月22日には県から鶴岡八幡宮へ無償譲渡された。なお県の美術館活動は、鎌倉別館と葉山館で続けられている。

平成28年度文化庁予算決定

2016年03月

平成28年度国家予算案が29日、成立した。文化庁予算は1039億6500万円となり前年度より0.2%、1億7200万円の増額となった。Ⅰ.豊かな文化芸術の創造と人材育成、Ⅱ.かけがえのない文化財の保存、活用及び継承等、Ⅲ.我が国の多彩な文化芸術の発信と国際文化交流の推進、Ⅳ.文化発信を支える基盤の整備・充実の4つを柱とし、主な増額項目として、Ⅰで「文化芸術立国実現に向けた文化プログラムの推進」に8億2100万円、Ⅱで「文化財総合活用戦略プランの強化」に12億5900万円が計上された。

第35回土門拳賞受賞者決定

2016年03月

前年に優れた成果を挙げた写真家に贈られる土門拳賞(主催:毎日新聞社)の第35回受賞者が、山内道雄に決定した。受賞対象は写真集『DHAKA2』。

日本芸術院賞受賞者決定

2016年03月

日本芸術院(院長:黒井千次)は23日、2015年度の芸術院賞受賞者を発表した。第1部(美術)では後藤純男(日本画、再興院展出品「大和の雪」に対して)が恩賜賞・日本芸術院賞を、同部門で山田朝彦(彫塑、改組新日展出品作「朝の響き」に対して)、春山文典(工芸、改組新日展出品作「宙の河」に対して)が日本芸術院賞を受賞した。

文化庁、京都へ全面移転方針決定

2016年03月

地方創生を掲げる安倍晋三内閣の「まち・ひと・しごと創生本部」は22日、国の関係機関の地方移転に係る基本方針を決定し、文化庁の数年以内の京都府全面移転および東京国立近代美術館工芸館の石川県移転を検討することが発表された。これを受けて4月26日に文化庁移転協議会が設置。また東京国立近代美術館工芸館の移転については、8月31日にその基本方針として、石川県金沢市本多の森公園内に整備、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催期間を目途に開館することが発表された。

第41回木村伊兵衛写真賞受賞者決定

2016年03月

写真家木村伊兵衛の業績を記念し、優れた新人写真家に贈られる木村伊兵衛写真賞(主催:朝日新聞社、朝日新聞出版)の第41回目の受賞者が16日に発表され、新井卓に決定した。受賞対象は写真集『MONUMENTS』。

国宝・重要文化財指定の答申

2016年03月

文化審議会は11日、浮世絵の祖と称される岩佐勝以(又兵衛)による「紙本金地著色洛中洛外図」(東京国立博物館)や鎌倉時代の肖像彫刻である「木造叡尊坐像 像内納入品」(奈良・西大寺)、「黒韋威胴丸」(奈良・春日大社)、鎌倉時代の仏教史を伝える「称名寺聖教金沢文庫文書」(神奈川・金沢文庫)の4件を国宝に、日本画家福田平八郎の作品「漣」(大阪市所有)等、46件の美術工芸品を重要文化財に指定するよう馳浩文部科学相に答申した。あわせて長野県軽井沢町に唯一残る国産第一号の本格的な工業化住宅「山崎家及び臼井家別荘(セキスイハウスA型)」等199件の建造物を登録有形文化財にするよう答申した。

鎌倉大仏の保存修復

2016年03月

神奈川県鎌倉市の高徳院にある銅造阿弥陀如来坐像(鎌倉大仏、国宝)の文化財修理国庫補助事業による保存修復が、1月13日から3月10日にかけて行なわれ、その調査と作業管理の主な部分を東京文化財研究所が担当した。1959年から61年にかけての昭和の大修理以来の大規模な作業となり、足場を組んでのクリーニングでは、下方からの洗浄作業では届かなかった頭部に付着する埃や鳥の糞等を取り除いた。また蛍光X線分析装置やX線回折分析装置による尊像の非破壊分析、昭和の大修理で採用された免震装置の調査等を行なった。

芸術選奨文部科学大臣賞受賞者決定

2016年03月

文化庁は9日、2015年度の芸術選奨文部科学大臣賞と同新人賞の受賞者を発表した。芸術選奨文部科学大臣賞美術部門では陶芸家の林恭助(「林恭助展」に対して)、アーティストの村上隆(「村上隆の五百羅漢図展」に対して)、芸術振興の部門ではアーティストの日比野克彦(「六本木アートナイト2015」に対して)、評論等の部門では亀井若菜(『語り出す絵巻―『粉河寺縁起絵巻』『信貴山縁起絵巻』『掃墨物語絵巻』論』に対して)、メディア芸術部門では多摩美術大学教授の久保田晃弘(「ARTSATプロジェクト」に対して)が受賞。同新人賞の美術部門ではファッションデザイナーの皆川明(「1∞ミナカケル」に対して)、評論等の部門では山本聡美(『九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史』に対して)、メディア芸術部門では漫画家のヤマザキマリ(「スティーブ・ジョブズ」ほかに対して)が受賞した。

毎日芸術賞受賞者決定

2016年01月

芸術文化における優れた業績を顕彰する毎日芸術賞(主催:毎日新聞社)の第57回目の受賞者が1日に発表され、美術Ⅰ部門(絵画・彫刻・工芸・グラフィック)で現代美術家の菅木志雄(静岡・ヴァンジ彫刻庭園美術館「菅木志雄」展、および東京都現代美術館「菅木志雄 置かれた潜在性」展に対して)が受賞した。

VOCA賞受賞者決定

2015年12月

平面美術の若手作家を奨励するVOCA賞の受賞者は「crossfades♯3」を制作した久門剛史に23日決定した。VOCA奨励賞は鈴木のぞみ「OtherDays,OtherEyes」と谷原菜摘子「穢土」、佳作賞は大山エンリコイサム「FFIGURATI♯117」と佐竹真紀「肖像記」、大原美術館賞は尾﨑森平「ceremony」がそれぞれ選ばれた。受賞作等を展示するVOCA展2016は2016年3月12日から3月30日まで東京都の上野の森美術館で開催された。 (English)

第27回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2015年12月

優れた美術評論や美術史の研究を顕彰する倫雅美術奨励賞(主催:公益信託倫雅美術奨励基金)の第27回目の受賞者が発表され、美術史研究部門は「赤瀬川原平の芸術原論展―1960年代から現在まで」の企画およびカタログ中の論文を担当した水沼啓和(千葉市美術館主任学芸員)、岩尾徳信(大分市美術館専門員)、松岡剛(広島市現代美術館学芸員)が共同受賞、美術評論部門は「スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり」展の企画等を手がけた江尻潔(足利市立美術館学芸員)が選ばれた。 (English)

法隆寺金堂壁画保存活用委員会の設置

2015年12月

文化庁と朝日新聞社の協力のもと、学識者による法隆寺金堂壁画保存活用委員会(委員長:有賀祥隆)が設置され、5日に初会合が開かれた。1949年に火災で焼損した法隆寺(奈良県斑鳩町)の金堂壁画について、最新の科学調査で恒久的な保存方法や、一般公開を含めた活用の可能性を検討する。金堂の火災から70年となる2019年にも調査の中間報告をまとめる予定。 (English)

日本イコモス賞2015・日本イコモス奨励賞2015受賞者決定

2015年12月

建造物、伝統的建造物群、文化的景観、遺跡である記念物と歴史風土の保存、保全、活用の振興を図る日本イコモス賞2015、および若手研究者の育成と研究の奨励を目的とした日本イコモス奨励賞2015の受賞者が12日に発表された。日本イコモス賞2015には、金沢市の歴史的環境保全施策を推進して顕著な成果を挙げ、歴史文化都市金沢の評価を不動にした山出保(金沢市元市長)、日本イコモス奨励賞2015には著書『群像としての丹下研究室』および編著『丹下健三とKENZOTANGE』で現代建築・都市計画史研究を進めた豊川斎赫(小山工業高等専門学校准教授)、フランスの文化遺産保護に関する一連の研究を行なった鳥海基樹(首都大学東京准教授)が選ばれた。 (English)

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