奈良朝国宝展

1954年07月

毎日新聞社の主催により、平城宮跡発掘調査記念として、二一日から八月八日まで日本橋三越で開催された。初めて寺門を出た薬師寺聖観音以下東大寺の誕生仏、法隆寺夢違観音、興福寺十大弟子、八部衆等諸仏像や工芸品、古文書類、平城宮跡発掘遺物など、奈良の十二古社寺出陳の国宝、重文其他、一三〇点余が出陳された。

欧米商業美術展開催

1954年07月

商業デザインの国際的水準を示す欧米商業美術展が東京都、共同通信社共催で二一日から日本橋三越で開かれた。本年はその三回目で、欧米の一流作家の作品が集められ、最も新しい傾向を伝えて、我国の作家、或は印刷技術者には特に意義のある貴重な展覧会であつた。

谷口吉郎設計の鴎外記念碑完成

1954年07月

文壇一部有志の間で計画されていた、森鴎外の記念碑は、このほど、東京工業大学教授谷口吉郎の設計指導によつて落成し、九日の三三回忌に除幕式を行うことになつた。建立地は文京区千駄木町の観潮楼跡で、碑文は鴎外の詩「沙羅の木」の詩、筆は永井荷風。

黒田清輝遺作展開催

1954年07月

今年は黒田清輝の没後満三〇年に当るので、国立近代美術館では、東京国立文化財研究所と共催で、八日から記念の遺作展を開いた。同研究所蔵の作品を中心に、各地から集めた一五〇点に及ぶ作品並びに資料は、故人の全貌を伝える稀にみる展観であつた。

黒門、博物館に移建

1954年07月

旧因州池田屋敷表門(黒門)が、高松宮邸内から東京国立博物館正門西方に移建を完了した。重要文化財で江戸末期の作、東大の赤門と共に現存の大名屋敷の門として双璧である。その完成を祝つて八日開門式が行われた。

国宝などの移動制限

1954年07月

文化財保護委員会では第一九国会で成立した文化財保護法の改正を機に、国宝重要文化財の公開制限を行うことになり、指定品目を正式決定して五日関係方面に通達した。それによると第一類、現在地よりの移動を制限するもの、国宝三六件、重文三三件、第二類、第一類に准ずるもの、国宝二一件、重文九件、第三類やむをえない場合に限り条件付で出品を許可するもの、国宝一二三件、重文二四件が指定されている。

重要文化財建造物指定

1954年06月

文化財保護委員会では二六日、重要文化財建造物醍醐寺清滝宮本殿など三二件の新指定を発表した。

国立国会図書館設計図入選者決定

1954年06月

国立国会図書館では千代田区永田町議事堂側に建設する新図書館の設計図を募集していたが、応募作品一二〇余点の中から、内田祥三等の審査によつて左記の者が入選受賞と決つた。 一等(賞金百万円) 前川国男設計事務所の田中誠、大高正人他 二等(〃六〇万円) 都市建築事務所 吉川清作他四名合作

第一〇回日展審査員、出品依嘱者等決定

1954年06月

日展運営会では、第一〇回日展審査員、日本画一五名、洋画二六名、彫塑一五名、工芸二一名、書一五名、計九二名の他、出品依嘱者、無鑑査者四一九名を決定、一九日発表した。

日本山林美術協会結成

1954年06月

山林の自然美を究め、山林愛護の思想を涵養しようという目的で、鶴田吾郎富田温一郎、安達真太郎等一一名の画家と小原工芸会の有志によつて結成された。展覧会は毎年「緑の週間」を期して開催の予定。

「グロピウスとバウハウス」展開催

1954年06月

グロピウスの来日を機として、その業績を紹介する展覧会が国立近代美術館で六月一二日から開かれた。建築写真、模型、バウハウスの試作、習作品等が資料的に陳列された。

奈良博物館に殺虫室

1954年05月

奈良国立博物館に奥行七尺五寸、間口一〇尺、高八尺五寸の殺虫室ができた。三方をコンクリートで囲み、一方に鉄扉をつけ、隣にモーター二台を備えた機械室がある。古美術品を入れて密閉し、殺虫用ガスを吹込むもの、阪大奥島教授の指導による。

日本漆芸会創立

1954年05月

昭和二三年に結成した漆芸大同会は、この程日本漆芸会と改称、漆芸の振興と発展を目指し、再発足した。会長高野松山以下諸役員も決定、事務所を音丸耕堂方に置いた。

藤田美術館開館

1954年05月

藤田香雪翁の遺した古美術の大蒐集が、財団法人に寄附され、藤田美術館として発足することとなり二二日開館式をあげた。美術館は大阪市都島区網島町の戦禍を免れた倉庫を中心に建てられ、蔵品三〇点を選び、五日間を限つて開館記念の特別展を行つた。

グロピウス来日

1954年05月

アメリカの建築家でバウハウス運動の創始者として知られているワルター・グロピウスは、国際文化振興会の斡旋で、一九日羽田に来着した。約三ケ月滞在、その間、作品模型、写真による展覧会、或は講演会等を開くことになつた。

第一回現代日本美術展開催

1954年05月

昨年の国際美術展につづく、毎日新聞社主催の現代美術展で、国際美術展を隔年毎の開催ときめたので、本年は海外作家の出品なく、現代日本美術展として一九日から開かれた。

恩賜賞授賞

1954年05月

日本学士院では一二日昭和二九年度の恩賜賞及日本学士院賞の授賞式を行つた。本年度の恩賜賞は京都大学教授文学博士田村実造及同講師小林行雄共著「慶陵」に対して与えられた。

室町美術展

1954年05月

朝日新聞社の主催により八日から二三日まで日本橋白木屋に於て開催、禅宗を背景とした水墨画、肖像画の他、絵巻、障壁画、書蹟、工芸品、刀剣武具等一〇〇点余が展示された。

有田に陶磁器美術館開館

1954年05月

佐賀県有田に町立陶磁器美術館が出来て、三日開館式を挙げた。古陶磁約一〇〇点の他現代の名作その他資料を展示し、併せて調査研究も行う。

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