第28回平櫛田中賞受賞者決定

2017年03月

日本の彫刻界の振興と平櫛田中の業績の後世への継承を期して設けられた平櫛田中賞(主催:岡山県井原市)の第28回目の受賞者は安藤榮作に決定したことが28日に発表された。現代におけるスケールあふれる木彫表現の追求、ヒューマニズムの造形表現の深化が評価された。

全国寺社での液体による被害

2017年04月

沖縄の首里城跡や、金峯山寺本堂(国宝)、下鴨神社舞殿(重要文化財)、増上寺三解脱門(重要文化財)等、奈良・京都・東京の社寺で油のような液体がかけられる被害が報告された。これを受けて文化庁は3日、都道府県教育委員会に文化財の防犯徹底を求めた。同様の被害は2年前の2015年にも報告されている。

地方創生相の学芸員批判

2017年04月

山本幸三地方創生担当相が16日に滋賀県大津市のホテルで開かれた地方創生に関するセミナーで、博物館で働く学芸員が観光振興に理解がないと指摘し、「一番のがんは文化学芸員、一掃しなければ駄目」と発言した。同発言は大英博物館が大改造にあたり反対した学芸員を全員解雇した等の事実誤認に基づくもので、文化財保護の現場等から批判が殺到、翌17日に謝罪の上、発言撤回を表明した。

棟方志功版画作品の紛失

2017年04月

神奈川県が1974年に県民ホールの緞帳作成用の原画として購入し、公益財団法人神奈川芸術文化財団に無償貸付していた棟方志功の版画「宇宙讃(神奈雅和の柵)」が、2014年4月にカラーコピーにすり替えられていることが判明し、同県は2017年4月17日にこれを公表した。

国宝・重要文化財(建造物)指定の答申

2017年05月

文化審議会は19日、戦前の木造モダニズム建築の代表作とされる聴竹居(京都府大山崎町)や四国八十八ヵ所霊場札所の白峯寺(香川県坂出市)等、10件の建造物を重要文化財に指定するよう松野博一文部科学相に答申した。また養蚕の発展とともに成立した木造3階建て農家が残る兵庫県養父市の大屋町大杉地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定することも答申した。

「北斎 大波の彼方へ」展の開催

2017年05月

25日より英国ロンドンの大英博物館で「北斎 大波の彼方へ(Hokusai:beyond the Great Wave)」展が開催された(8月13日まで)。浮世絵師葛飾北斎の60歳から没する90歳に至るまでの30年間の作品に焦点を当て、英国初公開となる祭屋台天井絵「濤図」(北斎館蔵)等、肉筆画を含む約160点を展示した。同展は国際共同プロジェクトとして日本にも巡回、大阪のあべのハルカス美術館で「北斎 富士を超えて」展として開催された(10月6日~11月19日)。

第40回中原悌二郎賞受賞者決定

2017年05月

日本の彫刻界の発展に貢献する目的で創設された中原悌二郎賞(主催:北海道旭川市・同市教育委員会)の選考が27日に行なわれ、第40回目の受賞作が青木野枝の「原形質/2015」に決定した。

読売あをによし賞受賞者決定

2017年05月

保存科学・修復の現場で優れた業績をあげた個人・団体を顕彰する読売あをによし賞(主催:読売新聞社、特別協力:文化財保存修復学会)の第11回目の受賞者として、本賞に襖や屏風の下地や外枠を厳選した材料や独自の技法で製作し、国宝や重要文化財の修復を支えてきた黒田俊介(京都府)、奨励賞に内戦で失われかけていたカンボジアの伝統的絹織物の復興に取り組む森本喜久男(カンボジア)、特別賞に再現力や耐久性に優れたコロタイプ印刷で正倉院文書等、文化財の複製を手がけてきた株式会社便利堂(京都府)が決定した。

仏教芸術学会の設立

2017年06月

仏教をはじめとするアジアの宗教に関わる絵画、彫刻、工芸、建築等の諸芸術および考古学に関する研究発表の場を提供し、その研究の発展に寄与することを目的とした仏教芸術学会が設立され、10日に東京大学(本郷キャンパス)で設立の会が開催された。設立の背景には、1948年に創刊した研究誌『佛教藝術』(毎日新聞出版)が2017年1月に第350号をもって休刊となり、論文を発表する機会が失われ、研究の停滞が危惧されていたことがあった。

名勝・史跡指定の答申

2017年06月

文化審議会は16日、国内最大級の縄文時代の集落跡である加曽利貝塚(千葉市)を特別史跡に、類例のないピラミッド状の方墳であることが確認された都塚古墳(奈良県明日香村)等11件を史跡に、草津温泉の源泉地「湯畑」(群馬県草津町)等6件を名勝に指定、沖縄で大正時代から戦時中まで運行されていた軽便鉄道の駅舎跡「沖縄県鉄道与那原駅跡」(沖縄県与那原町)等5件を登録記念物に登録、阿蘇山一帯に広がる草原や農村等7ヶ所の景観を「阿蘇の文化的景観」(熊本県阿蘇市等)として重要文化的景観に選定するよう松野博一文部科学相に答申した。特別史跡の新規指定は17年ぶりとなった。

文化芸術基本法の可決・成立

2017年06月

16日、参議院本会議において「文化芸術振興基本法の一部を改正する法律」(文化芸術基本法)が全会一致で可決・成立し、23日に公布・施行された。この改正は、文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業等幅広い関連分野の施策を法律の範囲に取り込み、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用しようとしたもの。

文化庁メディア芸術祭、受賞作品決定

2017年03月

文化庁は16日、国内外の優れた映像作品などを表彰する第20回文化庁メディア芸術祭の受賞作品を発表した。アート部門はドイツのラルフ・ベッカーによるメディアインスタレーション「Interface Ⅰ」、エンターテインメント部門は総監督・庵野秀明、監督・樋口真嗣の映像作品「シン・ゴジラ」、アニメーション部門は監督・新海誠の劇場アニメーション「君の名は。」、マンガ部門は石塚真一の「BLUE GIANT」がそれぞれ大賞を受賞した。

第42回木村伊兵衛写真賞受賞者決定

2017年03月

写真家木村伊兵衛の業績を記念し、優れた新人写真家に贈られる木村伊兵衛写真賞(主催:朝日新聞社、朝日新聞出版)の第42回目の受賞者が17日に発表され、原美樹子に決定した。受賞対象は写真集『Change』。

日本芸術院賞受賞者決定

2017年03月

日本芸術院(院長:黒井千次)は22日、2016年度の芸術院賞受賞者を発表した。第1部(美術)では高木聖雨(書、改組新第3回日展出品作「協戮」に対して)が恩賜賞・日本芸術院賞を、同部門で西田俊英(日本画、再興第100回院展出品作「森の住人」に対して)、根岸右司(洋画、改組新第3回日展出品作「古潭風声」に対して)が日本芸術院賞を受賞した。

毎日芸術賞受賞者決定

2017年01月

芸術文化における優れた業績を顕彰する毎日芸術賞(主催:毎日新聞社)の第58回目の受賞者が1日に発表され、美術1部門(絵画・彫刻・工芸・グラフィック)で現代美術家の河口龍夫(埼玉県・川口市立アートギャラリー・アトリアでの個展「河口龍夫―時間の位置」に対して)が受賞した。

対馬で盗難の仏像、韓国地裁による判決

2017年01月

長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ、韓国に持ち込まれた同県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」について、元の所有権を主張する韓国中部・瑞山(ソサン)市の浮石(プソク)寺が韓国政府に像を日本に返還せず、同寺に引き渡すよう求めた訴訟の判決で、大田(テジョン)地方裁判所は26日、同寺の請求を認めた。14世紀に日本の倭寇に略奪された像だとする浮石寺の主張を受け入れたもので、同寺が本来の所有者である証拠は乏しいとの見解を示していた韓国政府側は即日控訴した。

芸術選奨文部科学大臣賞受賞者決定

2017年03月

文化庁は8日、2016年度の芸術選奨文部科学大臣賞と同新人賞の受賞者を発表した。芸術選奨文部科学大臣賞美術部門ではアーティストの鴻池朋子(鴻池朋子展「根源的暴力 Vol.2」に対して)、鍛金造形家の橋本真之(「果実の中の木もれ陽」公開制作に対して)、評論等の部門では美術評論家の山梨俊夫(『風景画考 世界への交感と侵犯』に対して)、メディア芸術部門では漫画家の秋本治(「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に対して)が受賞。同新人賞の美術部門では建築家の田根剛(「エストニア国立博物館」に対して)、芸術振興の部門ではチームラボ代表の猪子寿之(「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング―Infinity」に対して)、メディア芸術部門では美術家の毛利悠子(個展「Pleated Image」に対して)が受賞した。

「ミュシャ展」の開催

2017年03月

8日より国立新美術館で「ミュシャ展」が開催された(6月5日まで)。アール・ヌーヴォーを代表する芸術家アルフォンス・ミュシャの作品による展観で、なかでも祖国チェコで制作した巨大絵画連作「スラヴ叙事詩」全20点を同国国外で初めて展示、これまで紹介される機会の少なかったミュシャの愛国的な側面に迫った。

国宝・重要文化財指定の答申

2017年03月

文化審議会は10日、「銅造釈迦如来倚像」(東京・深大寺)、「木造維摩居士坐像」(奈良・法華寺)、「木造大日如来坐像・木造不動降三世明王坐像」(大阪・天野山金剛寺)、「法華経(久能寺経)」(個人蔵)、「宋版一切経」(京都・醍醐寺)、「平城宮跡出土木簡」(奈良文化財研究所保管)、「奈良県東大寺山古墳出土品」(東京国立博物館保管)の7件を国宝に、江戸時代後期の京焼の陶工、奥田頴川の代表作「三彩兕觥形香炉」(京都・建仁寺)等、37件の美術工芸品を重要文化財に指定するよう松野博一文部科学相に答申した。あわせて国内最大の塔高(33m)を誇る「尻屋埼灯台」(青森県東通村)等226件の建造物を登録有形文化財にするよう答申した。

日本学士院賞受賞者決定

2017年03月

日本学士院(塩野宏院長)は13日、学術の分野で優れた業績をあげた研究者10人に2017年度の日本学士院賞を贈ることを決めた。美術関係では、城西大学准教授の奈良沢由美がフランス南部の南ガリア地方における5~12世紀のキリスト教祭壇の詳細な調査と体系化により受賞した。

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