鶴林寺太子堂柱から仏画発見

1986年04月

東京国立文化財研究所美術部長柳沢孝を中心とする調査団は、3日までに、既に釈迦涅槃図など国宝級の仏教壁画が確認されている兵庫県加古川市の鶴林寺太子堂内で、壁画をとり巻く4本の柱に不動明王など3体が描かれているのを確認した。赤外線カメラ、ビデオ、エックス線を使用した電子写真装置などの機器を導入し、厚く履われたススの中から像を発見したもので、同像もまた密教美術研究に貴重な資料となる第一級の作例であることが明らかとなった。

世田谷美術館開館

1986年03月

収蔵作品約2000点、延床面積8223㎡の大型美術館、世田谷区立世田谷美術館(世田谷区砧公園1-2)が29日オープンした。ナイーフ派の作品収集を特色として国内の近現代作品の収集にも力を入れ、区立規模の美術館としては最大規模を誇る。開館記念展として「芸術と素朴展」を開催した。

人間国宝認定

1986年03月

文化財保護審議会(小林行雄会長)は28日、新たな重要無形文化財保持者(人間国宝)として5名を認定するよう、海部文相に答申した。これで人間国宝の認定者は173名(現存70名)となった。美術部門では色絵磁器の藤本能道、陶芸と鉄絵の田村耕一、衣裳人形の野口園生がそれぞれ選ばれた。鉄絵で選ばれたのははじめて。

文化財の新指定(美術工芸品、建造物)

1986年03月

文化財保護審議会(小林行雄会長)は29日、新たな重要文化財として、美術工芸品51件、建造物5件を指定するよう海部文相に答申した。美術工芸品では今回国宝の指定はなく、重要文化財として「紙本著色絵因果経」、鎌倉期の彫刻「木造千手観音立像」、江戸期の安井算哲作「天球儀」、冷泉家の古写本「伊勢物語」「文選」など、絵画9件、彫刻7件、工芸品8件、書跡・典籍9件、その他18件の計51件が指定された。これで美術工芸品関係の重要文化財は9351件(うち国宝827件)となった。 また建造物関係の重要文化財として、京都の真正極楽寺、岐阜の願興寺本堂など5件が新たに指定された。併せて重文指定済みの建築1件の宅地ほかが追加指定された。これで建造物関係の重要文化財は1993件3222棟(うち国宝207件249棟)となった。

日本人建築家、海外で相次いで受賞

1986年03月

フランス建築アカデミーの1986年度建築大賞「ゴールドメダル」に、黒川紀章が選ばれた。同章は1965年に創設され、日本人の受賞は、1973年の丹下健三以来13年ぶり2人目。黒川はさらに6月、英国王立建築家協会の名誉会員に選ばれた。 また同じく3月、イギリス王室は、1986年度の英国王室建築金賞「ロイヤル・ゴールド・メダル」を磯崎新に授与することを決定、こちらも1965年の丹下健三以来の受賞となった。

比叡山と天台の美術展

1986年03月

比叡山延暦寺の開山1200年を記念した展覧会が、18日から5月5日まで東京国立博物館、5月20日から7月6日まで京都国立博物館で開催された。全国100余りの天台宗を中心とする寺院などが所蔵する、国宝、重文多数を含む比叡山ゆかりの遺品約300件が展観され、質の高い展覧会となった。

建築学会文化賞創設

1986年02月

日本建築学会は、創立100周年を記念して文化賞を制定し、その受賞者12名を、27日発表した。町づくりや緑の保護、伝統工芸の発展などに貢献した人々に贈られるもので、美術関係からは、ニューヨーク在住の彫刻家イサム野口、建築評論家奥野健男らが選ばれた。

1回川端竜子賞決定

1986年02月

川端竜子の業績をたたえるとともに、日本画の振興を目的に和歌山市が創設した川端竜子賞の第1回受賞者が決定。大賞に森田りえ子「白日」、佳作賞に大野広子「火曜日」、来野あぢさ「Time of Day」がそれぞれ選ばれた。

毎日広告デザイン賞決定

1986年03月

昭和60年度第53回毎日広告デザイン賞が決定し、11日発表された。入選作品は、第1部(一般公募・広告主課題)21点、第2部(一般公募・発言広告の部)4点、第3部(広告主参加作品の部)36社1協会が選ばれた。第1・2部の最高賞は次の通り。 第1部 高屋博一、小笠原聖佳、横須賀洋、小林十蔵 第2部 鈴木武人、渡辺隆幸、丹羽政良

昭和60年度日本芸術院賞決定

1986年02月

日本芸術院(有光次郎院長)は25日、60年度(第42回)の日本芸術院賞9名を内定。第一部美術では、恩賜賞に彫塑の高橋剛(60年日展出品作「稽古場の踊り子」に対し)、芸術院賞に日本画の関主税(60年日展出品作「野」に対し)、洋画の広瀬功(60年日展出品作「高原の秋」に対し)、工芸の折原久左ヱ門(60年日展出品作「祀跡(しせき)」に対し)が選ばれた。3月4日までに正式決定された。

昭和60年度芸術選奨決定

1986年02月

芸術の各分野で優れた業績をあげた人々に贈られる60年度(第36回)の芸術選奨文部大臣賞13人と同新人賞10人が26日、文化庁より発表された。美術関係では、日本画の荘司福(60年院展「刻」)が文部大臣賞、建築家安藤忠雄が新人賞をそれぞれ受賞した。授賞式は、3月25日東京虎ノ門の国立教育会館で行なわれた。

光琳屋敷復元

1986年01月

尾形光琳が晩年を過ごした京都二条新町の屋敷が、このほどMOA美術館に復元され、新春より公開されることになった。小西家に伝わる光琳自筆の平面図2図や茶室の起こし絵図、大工の仕様書や見積書などから復元設計されたもので、光琳のデザイン構想が濃厚に反映されていることが明らかとなった。

フランスでのCGコンペでグランプリ受賞

1986年02月

フランスの国立視聴覚研究所が、6日モンテカルロで行なった“ニューイメージ”に関する国際フォーラムのコンピューター・グラフィックス(CG)のコマーシャル部門で、日本のCGプロダクションJCGLの出品したデモ用作品が、グランプリを受賞した。

29回安井賞決定

1986年01月

具象洋画の新人登竜門安井賞(昭和32年創設)の第29回受賞者選考会が23日行なわれ、25日発表された。入選作70点の中から、安井賞に遠藤彰子「遠い日」、佳作賞に福島瑞穂「タナトス」が選ばれ、女性が独占。同賞は2月28日の会議で正式決定され、安井賞展は、3月の東京展(池袋西武)を皮切りに各地を巡回した。

21回昭和会賞決定

1986年01月

昭和生まれの作家を対象に、具象絵画・彫刻の新人登竜門として知られる昭和会賞の第21回受賞者が、31日決定した。出品者の生年の上限を昭和16年以降とし、297作家の応募の中から、昭和会賞に、絵画の石垣定哉(「黄麦のフェンテトドウス」ほか2点)、林武賞に彫刻の野崎窮、優秀賞に彫刻の前田忠一、絵画の茅野吉孝が、それぞれ選ばれた。

「戦後日本画の一断面」展

1986年01月

創造美術やパンリアル美術協会など、戦後の日本画壇に重要な役割を担った運動をふりかえる展覧会が、7日から2月9日まで山口県立美術館で開催された。21作家約70点による展観は、戦後日本画の革新運動の先鋭的な一断面を浮き彫りにした好企画となった。

毎日デザイン賞決定

1986年01月

1985年度の毎日デザイン賞が決定、発表された。今回は5名のデザイナーによる集団受賞となった。受賞のタイトルは「“交感スルデザイン”に集まった五人のデザイナーの活動と小池一子」で、その五名は次の通り。安藤忠雄(建築家)、川久保玲(ファッション)、杉本貴志(空間デザイン)、黒川雅之(建築・プロダクトデザイン)、喜多俊之(工業デザイン)。

27回毎日芸術賞決定

1986年01月

毎日芸術賞の第27回(1985年度)の受賞者が1日発表された。美術関係者では、日本画家秋野不矩(’85年秋野不矩自選展)、建築家内井昭蔵(世田谷区立世田谷美術館、修養団捧誠会御霊所の設計)、グラフィックデザイナー福田繁雄(「科学万博-つくば’85の『こども広場』の環境デザイン」などのすぐれたデザイン活動)が選ばれた。

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