新文化庁長官就任
1986年09月民間文化人として昨年4月第7代文化庁長官に就任した三浦朱門長官の退任が8月26日の閣議で了承され、9月1日付で大崎仁が新長官に就任した。
民間文化人として昨年4月第7代文化庁長官に就任した三浦朱門長官の退任が8月26日の閣議で了承され、9月1日付で大崎仁が新長官に就任した。
ロマン主義風景画の巨匠ジョセフ・M・W・ターナーの展覧会が、16日から10月5日まで、上野の国立西洋美術館で開催された。多数のターナー作品を所蔵するロンドンのテートギャラリーのほか、同じくロンドンのナショナルギャラリー、アメリカの美術館などから、油彩51点、水彩約60点が出陳され、充実した展観となった。
茨城県石岡市の鹿の子遺跡から、日本最古の漆紙文書が出土した。検田関係帳簿と思われ、「天平十四年」(741)の年記があった。
文化庁の「民間芸術活動の振興に関する検討会議」は28日、これからの芸術活動には思いきった民間活力の導入が必要だとする報告をまとめ、三浦朱門文化庁長官に提出した。具体的方策として民間企業などによる支援体制の整備や、国と民間の資金による文化振興普及のための基金の設立、支援側への顕彰制度の創設や減税措置の検討なども、必要事項として提言された。
幕末から明治初期にかけて記録写真を残した横山松三郎の写真原板多数とカメラが、大阪で発見された。原板は、荒廃し取り壊し直前の江戸城の一部や、明治4年ウィーン万博に出品するため撮影した神社仏閣、正倉院古器物、生活風俗などで、日本写真史上の貴重な発見となった。
財団法人明治村が明治時代をテーマにした学術や芸術に功績のあった人に贈る明治村賞の第12回に、9日河北倫明が選出された。近現代日本美術の史的研究と評論がその受賞理由。
洋画家岡本唐貴により昭和56年東京都美術館に寄贈された美術資料が、岡本文庫と名付けられ一般公開されることとなった。同文庫は戦前の前衛美術やプロレタリア美術、ロシア美術などに関する貴重な図書を含み、公開が待たれていた。
1980年創設以来、具象彫刻の振興を目的に第3回まで開催された高村光太郎大賞展にかわり、より国際的な規模でのコンクールとして新たに開設したロダン大賞展の第1回展が、25日より10月31日まで美ケ原高原美術館で開催された。第1回の大賞には中垣克久「山上のソロ」が決定。特別優秀賞に杉山惣二「男と女『壁』」、藤原吉志子「羊の旅-この世にはまだ知らないことがいっぱいある」、山崎猛「沐浴」、マイケル・サンドル(イギリス)「鼓笛手」が選ばれた。
第11回の吉田五十八賞が決定、建築の部で林雅子「ギャラリーを持つ家(東京国分寺市)、雪囲いのある家(富山県)」が受賞した。今回、建築関連美術の部の受賞作品は該当作なしとされた。
彫刻家の朝倉文夫が昭和21年経済的に恵まれない若い芸術家のために東京都台東区に設立した朝倉彫塑塾が、このほど廃止された。同塾は、朝倉が39年に死去したのちも経営が続けられたが、56年以降休止状態にあった。また同所の朝倉彫塑館も台東区に寄贈され、財団法人化されることとなった。
現在「平和宮」の通称で知られるオランダ・ハーグの国際司法裁判所に73年前日本政府から寄贈された西陣つづれ織りが、修復を終え、披露が行われた。このつづれ織りは、大正2年平和宮が完成すると同時に日本政府が贈ったもので、原画は菊地芳文、制作を川島甚兵衛が行なったが、70余年の歳月を経て傷みが激しくなっていた。
黒田清輝の生誕120年を記念した大規模な展覧会が、10日から6月8日までの三重県立美術館を皮切りに、各地で行なわれた。当研究所所蔵品も多数出品され、油彩110点、パステル・水彩・デッサン53点、写生帖17冊、書簡・日記8点、参考資料7件と、生涯にわたる作品や資料が展観された。
現代日本美術展と隔年で実施されている日本国際美術展の第16回展は、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。応募総数1352点の中から、214点が入選し、大賞に平面の二村卓児「NIGHT BISHOP-Ⅲ」が決定。以下、佳作賞5点、各美術館賞11名が決まり、新鋭の進出が目立った。
2000点を越える世界各地の染織品を集めた上村六郎コレクションを柱とした国際染織美術館(旭川市神居町忠和37-218)が、27日オープンした。続いて5月初めには、創業100周年の記念事業の一環として、鐘紡繊維美術館が大阪に開館。8月には、昭和59年に既に開館している川島織物文化館の文化展示施設として新館が完成、染織関係の施設の充実が注目された。
明治初期に東京都豊島区で焼かれた竹本焼の窯物の位置が、このほど確認された。元旗本の竹本隼太により創始され、ヨーロッパ風の製陶法を基礎にフランス風の竪窯を築いて制作したもので、内国勧業博覧会やパリ万博で受賞するなどしたが、竹本隼太の没後まもなく消え、忘れられた存在となっていた。
京都工芸繊維大学美術工芸資料館に昨年大阪市立美術館から移されたポスターやビラ3484枚の整理調査の結果、1914年より1921年頃までを中心とする欧米のポスター約650枚の含まれていることがわかった。ドイツの192点を最高にイギリス、アメリカ、フランス、ベルギーのものなどがあり、記録から知られている大正時代に朝日新聞創始者村山竜平や特派員らによって収集された約6000枚の資料と一致する可能性が示唆されている。
総工費42億円、延床面積9238㎡の美術館、静岡県立美術館(静岡市谷田630)が、18日オープンした。国内外の山水画、風景画の収集をテーマとし、開館記念展に、ニューヨークメトロポリタン美術館からの特別出品も含めた「東西の風景画展」を開催した。また有数の中国絵画のコレクション「橋本コレクション」も同美術館に寄託された。
戦前戦後にわたり、都市風景や人物像に鋭い感性を注ぎ込んだ松本竣介の回顧展が、5日から6月15日まで東京国立近代美術館で開催された。油彩49点、水彩・素描117点など、生涯にわたる作品が集められ、充実した展観となった。
新宿西口の高層ビル群の一角に建設される都庁の新庁舎の設計は、指名設計のコンペの結果、丹下健三案が採用されることが、7日決まった。
この春をもって国公立美術館に新館長が相次いで就任した。京都国立近代美術館の館長には、17年間在職した河北倫明にかわって前国立国際美術館館長の小倉忠夫、国立国際美術館新館長に文化庁より三木多聞、東京国立近代美術館館長には安達健二にかわって前文化庁長官の犬丸直がそれぞれ就任した。