有光芸術院院長を再選
1982年05月日本芸術院は26日、有光次郎院長の任期満了に伴う院長選挙を行い、同氏を再選、6月26日付で小川文相より発令された。有光氏は昭和54年故高橋誠一郎氏のあとを受けて院長に就任し、今回二期目となる。
日本芸術院は26日、有光次郎院長の任期満了に伴う院長選挙を行い、同氏を再選、6月26日付で小川文相より発令された。有光氏は昭和54年故高橋誠一郎氏のあとを受けて院長に就任し、今回二期目となる。
伝統文化に基づく創作活動を助長し、美術文化の育成と振興を図る目的で昭和56年4月に設立された財団法人美術文化振興協会(理事長・山田智三郎)は、日本画・洋画・彫刻・工芸・書・デザイン・写真などから毎年一乃至二分野を対象に若干名を顕彰する美術文化振興協会賞を創設、第1回は日本画部門から工藤甲人、下村良之介、下保昭、加山又造、平山郁夫の5氏を選出した。授賞式は4日行なわれ、受賞者の過去数年の作品を通観した「明日への展望・日本画の5人」展が4日から9日まで日本橋・高島屋で開催された。
しみじみとした日本の風情を描いた川合玉堂の代表作90余点を集めた展覧会が、20日から6月1日まで日本橋・高島屋で開催された。同展は玉堂美術館の20周年を記念して行なわれたもので、本画・素描・色紙・書類などが出品された。
昭和27年12月1日、京橋に前身である国立近代美術館が開館して今年で30周年を迎え、館蔵品からえりすぐった作品による開館30周年記念展が2期に分けて行なわれた。第1期は21日から7月11日まで「近代日本の美術1945年以後」、第2期は9月18日から10月31日まで「近代日本の美術1945年以前」として、また工芸館では第1期のみ「近代日本の工芸」が開催された。
近代日本画の巨匠菱田春草の代表的作品95点を集めた展覧会が、15日から6月20日まで京都市美術館で開催された。重文の「落葉」「黒き猫」をはじめ「水鏡」「王昭君」などが出品され、また「落葉」は未完成作も含め5点が揃うなど、充実した展観となった。
国が指定した重要文化財が無防備の神社や寺院から盗まれる事件が、半年余りの間に3件(7躯)も発生したため、文化庁はこのほど、盗難防止のための全国174ヶ所にのぼる“危険社寺リスト”を作成し、防犯管理体制の指導を強化することになった。
仏教美術の工芸品に焦点をしぼり、漆工・金工・染織など176件393点による「仏教工芸の美」展が、29日から5月30日まで奈良国立博物館で行なわれれた。出品作品は国宝38件76点、重文78件202点を含む質の高い展観となった。
国際交流基金は今年で10周年を迎え、創立10周年記念事業事務局を設置、広く一般の人々にも国際文化交流への参加を呼びかけるため10月を“国際文化交流推進月間”とし、また多彩な10本の企画による記念事業計画が進められた。
現代日本美術展と隔年制で開催されている日本国際美術展の第14回展は27日から5月12日まで、上野・東京都美術館で開催され、大賞に平面部門の四宮金一「ROOM(F)の静なる叫び」が選ばれた。
10万点に及ぶ浮世絵、肉筆掛軸、障?画、古書籍、現代版画からなる酒井コレクションを母体とした財団法人・日本浮世絵博物館(松本市島立2206)が28日オープンした。今後多角的な情報の収集に努め、浮世絵の研究情報センターを目指す予定という。
フラゴナールやワトーと共に18世紀フランスのロココ美術を代表する画家フランソワ・ブーシェの、全生涯にわたる油彩75点、素描46点、タピスリー3点、版画12点の計136点を集めた展覧会が24日から6月23日まで上野・東京都美術館で開催され、一昨年のフラゴナール展と共に、日本でロココ芸術を観賞できる好機となった。
10年前奈良県明日香村の高松塚古墳から出土した中国製の「海獣葡萄鏡」と同型の鏡が、久保惣コレクションからこのほど発見された。これまで同型の鏡は、日本で3枚、中国で2枚が既に確認されている。
フランスのミッテラン大統領の来日を記念し17日から6月13日まで上野・国立西洋美術館で開催された同展覧会で、クールベ、モネら写実主義から印象主義への推移を見せるフランスの画家20人、30点の作品が出品され、ミレーの「晩鐘」も日本で初めて公開された。
文化財保護審議会は2日、新たに重要無形文化財保持者(人間国宝)として7名を認定するよう小川文相に答申し、美術部門では紬縞織・絣織の宗広力三、竹工芸の飯塚小?斎、蒔絵の大場松魚が選ばれた。これで人間国宝は70人となった。 また同審議会は5日、美術工芸品関係の重要文化財として新たに55件を指定、一部を解除するよう同文相に答申した。今回国宝指定はなく、新指定には狩野探幽一門による二条城二之丸御殿障壁画や、「古今和歌集」「明月記」をはじめとする注目の冷泉家文書10件が含まれる。指定解除となったのは偽物論争のあった考古資料1件。これで美術工芸品関係の重要文化財は9191件となり、新指定の文化財は4月21日から5月9日まで東京国立博物館で特別展観された。
古い建築や町並を保存しようという運動が広がる中で、明治の名建築として知られる大阪中之島の日本銀行大阪支店旧館が、10年ごしの市民団体の保存運動を経て、外観をそのままに内部だけを改修、建物は保存されることとなり、8日完工式が行なわれた。
昭和51年7月の着工以来、6年の歳月と9億円の巨費、延べ4万人以上を動員して行なわれた桂離宮の“昭和の大修理”がこのほど全て完了、27日落成式が行なわれた。庭園とともに、代表的な数寄屋建築で知られ日本美の極致とも言われる桂離宮の創建以来初の全面解体によって、数々の注目すべき事実が明らかになるとともに、襖下張りから出た墨書から造営の歴史もほぼ確定された。
清凉寺の開祖奝然の入宋1000年を記念し絵画・書跡・彫刻・工芸・考古の作品を集めた「釈迦信仰と清凉寺」展と、法然の生誕850年を記念して法然上人絵伝48巻をはじめ法然ゆかりの知恩院の所蔵絵画を集めた「知恩院と法然上人絵伝」展が、30日から5月5日まで京都国立博物館で同時開催され、国宝・重文多数を含む総計180余点が出品された。
岡倉天心の生誕120年を記念し、天心資料や、彼に関係する作家の作品約80点を出陳した展覧会が25日から4月6日まで上野・松坂屋で開催され、以後各地を巡回した。
文化財保護審議会(小林行雄会長)は26日、建造物関係の重要文化財として、勝福寺観音堂(福島)など新たに5件9棟、そして既に重文指定を受けているものに関連する5件8棟を統合追加指定するよう小川文相に答申した。また重要伝統的建造物群保存地区(町並保存)として、江戸時代中期から大正期にかけての町家の姿をとどめる愛媛県内子町の「内子町八日市護国」を選定するよう、合わせて答申した。
シェル興産(株)が新人を発掘する目的で昭和31年に創設し、新人登竜門として貴重な役割を果たしてきた「シェル美術賞」(公募)は、同趣の美術賞展が増えて特色が失われたことや、応募層の固定化などの傾向が見られるようになったことから、昨年9月の25回展を最後に廃止されることが決まった。