国際交流基金創立10周年記念企画

1982年10月

今年創立10周年を迎えた国際交流基金は、記念企画として、前衛アート「現代美術からの啓示Ⅰ、Ⅱ」、「セネガル現代美術展」(27日―11月7日)などを行なった。「現代美術からの啓示Ⅰ、Ⅱ」では、ダン・グラハム(米)、ブルース・マクレーン(英)、ダニエル・ビュラン(仏)、ジュリオ・パオリーニ(伊)を招き、彼らの活動を紹介(1―4日、15―18日、ラフォーレ原宿)。今回の企画では、アジア、アフリカ文化の紹介に力が注がれているのが注目される。

三重県立美術館オープン

1982年09月

10年越しの計画が成って、この25日、三重県津市に三重県立美術館が開館した。広い敷地を生かしたゆったりしたギャラリーと多様な機能を満たす構成、県費に岡田文化財団の寄贈を加えた豊富な作品購入費を特色とし、建物、内容ともに充実した本格的大型美術館となることが期待される。作品収集は、県ゆかりの作家作品、近代日本洋画を軸としている。開館記念展は「サンパウロ美術館展」(10月24日まで)。

「鹿島美術財団」新設

1982年09月

故鹿島守之助氏の夫人で、鹿島建設の前名誉会長であった鹿島卯女は本年三月逝去したが、美術愛好家であった故人の遺志を継いで、遺産のうち約36億円が新設される美術振興財団に寄付され「鹿島美術財団」が設立されることとなった。美術の調査研究、美術の国際交流、美術図書の出版を主な活動とし鹿島建設副会長の鹿島昭一が会長に就任する。

ペルシャ秘宝展

1982年08月

東京・日本橋の三越本店で24日から30日まで開かれた「古代ペルシャ秘宝展」に出品された47点の大部分が贋作であることが多数の研究者から指摘され、その後問題は展覧会にとどまらず多方面に波及、社会的にも大きな関心を集めた。

レンブラント展

1982年09月

量、質ともにその充実を誇るエルミタージュ美術館レンブラント・コレクションからの作品を中心に、油彩画11点、素描、版画102点を合わせた展観が、ブリヂストン美術館開館30周年を記念して同館で開催された(11日―11月3日)。「フローラを装うサスキア」等の油彩画もさることながら、100点にのぼるエッチングは、多様で洗練された画技を裏付けるものであった。同展は11月6日-21日、会場を愛知県美術館に移して展観された。

楠公、西郷像鋳造の書類発見

1982年09月

楠木正成像(明治30年)、西郷隆盛像(明治31年)の鋳造に関する当時の見積書や日当計算書などの書類の一部が、このほど荒川区の老鋳物技師宅から発見された。当時鋳造の主任は高村光雲であったが、この鋳物師の亡父は鋳造の現場指揮をしていたという。

村山槐多のすべて展

1982年08月

鋭い感性をもって大正時代を駆けぬけた夭折の画家村山槐多の油彩画約20点、水彩、素描約110点を集めた展観が神奈川県立近代美術館で開催された(10日―9月12日)。同展は槐多の作品を可能な限り網羅しようとするもので、20点ほどの新発見を含み、槐多の全貌を探る上で貴重なものとなった。

マグリット展

1982年08月

ベルギーのシュールレアリスト、ルネ・マグリットの画業を回顧する展覧会が油彩55点、グワッシュ、デッサン48点によって構成され、東京渋谷・東急本店で開催された(27日―9月15日)。同展は富山、熊本を巡回した。

2つめの道立美術館開館

1982年07月

昭和52年7月に制定され、昭和62年までに7つの公立美術館を設置しようとする道立美術館建設計画に基づき、24日、札幌に次いで2つめとなる北海道立旭川美術館が開館した。同館は郷土の生んだ日本近代彫刻の巨匠、中原悌二郎の作品収集を主眼とし、中原賞をも設定。開館記念展である「ブールデル展」を皮切りに、今後も彫刻を主な対象とする特色ある活動をしていく方針である。

相次ぐアメリカ美術の展観

1982年07月

1930年代のアメリカン・シーン絵画50点と同時代の滞米日本作家の作品62点を同時に展示した「アメリカに学んだ日本の画家たち―国吉・清水・石垣・野田とアメリカン・シーン絵画」(24日―9月5日、東京国立近代美術館、9月14日―10月11日、京都国立近代美術館)と18世紀から20世紀までのアメリカ絵画を54作家69点で概観する「アメリカ絵画展―ロックフェラー3世夫妻コレクション」(27日―9月19日、国立西洋美術館)がほぼ同時に開催され、ヨーロッパ偏重気味であった従来の絵画紹介に一石を投じた。

菊池契月展

1982年07月

歴史画をよくし、清雅な画風で知られた菊池契月の作品を集めた展覧会が、16日から8月29日まで京都国立近代美術館で開催され、本画・下絵・模写等106点が出品された。

盗作盗用問題相次ぐ

1982年07月

4月に自民党のポスターに自分の版画が盗用されたとして靉嘔が抗議を申し入れたのに続き、6月にはイラストレーター空山基がやはり某社の広告イラストに自分の作風がそのまま模倣されたとして抗議、また今月に入り佐伯祐三や浮田克躬の作品にそっくりな絵が描かれていることが明らかとなり、模倣と創作、盗作をめぐるトラブルが相次いだ。

第2回高村光太郎大賞決定

1982年07月

現代具象彫刻を対象とし、隔年選考される高村光太郎大賞は今年で第2回をむかえ、大賞に外岡秀樹「望郷」が、特別優秀賞に工藤健「愛の変容」、吉田隆「アルパ―山の音」、峯田義郎「風について」が選ばれた。優秀賞、美ケ原高原美術館賞、佳作賞を含む受賞は29名29点。作品の展観は、3日から10月31日まで、箱根・彫刻の森美術館において行なわれた。

プラハ国立美術館秘蔵名画展Ⅱ

1982年07月

プラハ国立美術館が所蔵する名画100点を公開する展覧会が7日から8月3日まで、日本橋・高島屋で開催された。一昨年行なわれた「プラハ国立美術館展」の続編で、前回ルネッサンスからロココまでの絵画が出品されたのに続き、今回は19世紀以降20世紀初頭の近代絵画が出品された。

岩佐又兵衛展

1982年07月

近年評価がとみに高まりつつある岩佐又兵衛の絵巻物作品の紹介による展覧会が、1日から9月30日まで、熱海のMOA美術館で開催された。「山中常盤物語絵巻」「堀江物語絵巻」「浄瑠璃物語絵巻」など各絵巻全12巻が展示される貴重な展観となった。

ウフィツィ美術館、名画を大量に修復

1982年06月

美術作品の保存修復に対する関心が国際的にますます高まる中で、イタリアのウフィツィ美術館では同美術館の400年祭を記念し、ボッティチェリ「春」、マサッチョの三部作など40点を最新技術を駆使して修復、原作者に対するイメージを変える程の鮮やかな色彩が甦った。

ジョージシーガル展

1982年06月

人体から直接型取った作品を特徴とする現代アメリカの代表的彫刻家、ジョージ・シーガルの代表作20余点を集めた展覧会が、12日から7月11日まで池袋・西武美術館で開催された。以後同展は各地を巡回した。

吉田五十八賞決定

1982年06月

第7回吉田五十八賞は建築の部、建築関連美術の部ともに該当作品なしとなったが、6年をかけて今年3月完成した桂離宮の昭和の大修理に貢献のあった棟梁・川上英男、左官・小川久吉、柿葺・吉川昌治、和紙手漉・岩野平三郎、建築金物鍛冶・横山義雄の5名が特別賞を受賞した。

毎日DAS学生デザイン賞決定

1982年05月

新人デザイナーの発掘・育成を目的とした毎日・DAS学生デザイン賞第14回の選考会が14日行なわれ、最優秀賞の「金の卵」に吉本宏(建築)「ABU SIMBEL 1982」、橋本武司(グラフィック)「MONOCHROME」、宮地雄一郎(建築)「ポセイドン計画」の3作品が選ばれた。

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