東京国立近代美術館開館20年記念展

1972年09月

東京国立近代美術館では創立20周年を記念して近代日本の日本画・洋画・彫刻・工芸の作家150名の作品450点を精選した大展覧会「現代の眼――近代日本の美術から.」を6日から11月5日まで開催した。主なる作品は、日本画では重文に指定されている大観の「生々流転」、春草の「落葉」、栖鳳「斑猫」、玉堂「行く春」、観山「弱法師」、紫紅「熱国の巻」、ほか小林古径の「鶴と七面鳥」、徳岡神泉の「刈田」など、洋画では高橋由一の「鮭」、浅井忠の「春畝」、黒田清輝「舞妓」、青木繁「海の幸」、岸田劉生「麗子微笑」、藤島武二「黒扇」などの重文指定作や、小出楢重の「前向の裸婦」、和田三造「南風」、彫刻では荻原守衛の重文「女」など、全館を使って名作を揃えて披露されまさに近代美術の流れを集約的に展望できる意義深い催しであった。

アメリカ巡回日本名陶百選展

1972年09月

文化庁ではアメリカ合衆国の4美術館の要請により、縄文・弥生時代から江戸時代に至る日本陶磁の名品100点を次の日程で巡回展示する。1)シアトル美術館 9月7日―10月22日、2)アトキンズ美術館(カンサス・シティー) 11月8日―12月20日、3)アジア協会アジアハウス美術館(ニューヨーク) 48年1月18―3月4日、4)ロスアンゼルス郡立美術館 48年3月27日―5月13日。

メトロポリタン美術館展

1972年08月

東京国立博物館において8月10日―10月1日にわたり、ニューヨークのメトロポリタン美術館の蔵品150点が公開展示された。出品内容は、古代中近東から、エジプト、ギリシャ、ローマ、中国、西洋中世を経て、ルネサンス以降20世紀に至るヨーロッパおよびアメリカの美術で、この展観はこのあと京都市美術館でも10月5日から11月26日まで開催された。共催は読売新聞社。 

伊勢丹賞設定

1972年08月

東京新宿の伊勢丹デパートと東京美術サロンは新人洋画家に伊勢丹賞(賞金100万円)を設定し、第1回金賞に小田和典をきめた。その賞の大衆性を考慮して純粋の美術関係者以外に、選考委員は作家・神吉拓郎、評論家・坂西志保、イラストレイター・宇野亜喜良、服装デザイナー・コシノ・ジュンコを含む。受賞作は「人気作家17人による現代洋画精鋭選抜展」として19日から26日まで新宿伊勢丹で展示される。

清水寺釈迦堂全壊す

1972年07月

12日夜、大雨による山くずれで京都清水寺の重要文化財釈迦堂が全壊した。同堂は江戸初期寛永10年の建立、一重寄棟造り。内部には釈迦如来像(鎌倉時代)地蔵菩薩像(江戸初期)、大黒天像(同)が安置されていた。

明治天皇ご愛用の刀剣盗まれる

1972年07月

明治神宮宝物殿に陳列中の明治天皇御愛用の刀剣のうち、「菊花紋茂」「備前福岡一文字吉房」銘、初代月山貞一作、菅原包則作の四振りが盗まれた。(22日朝盗難を発見)

シケイロス展

1972年06月

メキシコ壁画運動推進者のひとり、ダビット・アルファロ・シケイロスの初期から現在にいたるまでの70点余による回顧展が開催され、これに因んで12日、シケイロス夫妻も来日した。(主催・朝日新聞社、メキシコ国立芸術院、会期・6月15日~7月16日=東京セントラル美術館、7月22日~8月20日=兵庫県立近代美術館)

菱田春草展

1972年07月

大観、観山と並んで天心傘下の初期院展の中心作家で、日本画の近代化に貢献した菱田春草の作品82点を集めた回顧展を山種美術館が開催した。前期、4日から30日、後期、8月1日から27日まで。 

東京都美術館改築の基本設計

1972年05月

東京都公園審議会は東京都が建築家前川国男に依頼して設計した上野公園内の新しい都美術館の基本設計を認めた。敷地12

日本建築学会賞

1972年05月

昭和46年度の大賞は、長年の創作活動による建築界への貢献に対し、村野藤吾(村野森建築事務所長)に、建築学会賞は篠崎一男(「未完の家」以後の一連の住宅)、林昌二、矢野克己(ポーラ五反田ビル)に決定。贈呈式は5月30日。

阿弥陀仏彫像展

1972年04月

奈良国立博物館では4月22日~5月21日の間全国各地からいろいろ異った形相の阿弥陀如来像を約100点選んで、時代的、様式的に整理し、系統だてゝこれを展示した。

青木繁展

1972年04月

生誕90年、ブリヂストン美術館創立20周年を記念して、油彩、水彩、素描ほか、計216点による大規模な青木繁展が東京ブリヂストン美術館で開催された。会期4月22日~6月4日。

デューラーとドイツルネッサンス展

1972年04月

昨年のデューラー生誕500年にちなみ、ドレスデン国立美術館ほかの協力をえて国立西洋美術館、京都国立近代美術館、日本経済新聞社共催によりデューラーとドイツ・ルネッサンス展が開催された。彫刻8点、絵画(版画・素描を含む)200点、ほか工芸品、計241点。東京展=4月29日~6月16日、京都展=6月27日~7月30日。

現代スウェーデン美術展

1972年04月

東京国立近代美術館 4月8日~5月21日、京都国立近代美術館 5月27日~6月18日の日程で現代スウェーデンで活躍中の29作家118点の作品が公開され、彫刻、絵画、版画、素描を通して、従来わが国にあまり知られていなかったスウェーデン美術の現状が紹介された。

近代イタリア美術の巨匠たち展

1972年04月

美術館的な性格をもつといわれるジャンニ・スワティオーリ・コレクションのイタリア未来派、形而上絵画から戦後美術にいたる絵画、彫刻、素描(総点数104点)による展覧会が京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、イタリア大使館、イタリア文化会館の共同主催で開催された。近代イタリア美術の発展の歴史が組織的に紹介されたのははじめての例である。(京都展=4月15日~5月21日、東京展=5月31~7月9日)

芸術院賞

1972年04月

第28回(昭和46年度)芸術院賞の美術関係受賞者は、日本画の岩橋英遠(日本美術院評議員、元東京芸術大学教授、受賞対象第56回院展出品作「鳴門」)、洋画の高田誠(一水会会員、日展評議員、受賞対象第3回日展出品作「残雪暮色」)、彫塑の富永直樹(日本彫塑会監事、日展評議員、受賞対象第3回日展出品作「新風」)、書の広津雲仙(中京大学教授、日展評議員、受賞対象第3回日展出品作「杜甫詩」)である。授賞式6月7日。 

ウィーン幻想絵画展

1972年04月

現代オーストリアの幻想的レアリスムの画家、ルドルフ・ハウズナー、エルンスト・フックス、アントン・レームデン、ヴォルフガング・フッター、エーリッヒ・ブラウァの作品100点による展覧会が開催され、鮮烈な印象をあたえて注目された(主催朝日新聞社、4月1日~18日=東京小田急百貨店、5月20日~6月25日=兵庫県立近代美術館、7月8日~22日=愛知県美術館)。

文化財の新指定

1972年03月

今回指定された物件は、美術工芸品では国宝1件(絵画)重要文化財51件、このうち絵画10件、彫刻7件、工芸品17件、書跡13件、考古4件で、建造物関係では28件で、このうち社寺4件、民家11件、洋風建築4件、沖縄9件となっている。

唐招提寺講堂の解体修理成る

1972年03月

礎石の不同沈下、建物各部のゆるみなどによって根本的な修理をよぎなくされていた唐招提寺講堂はこのほど解体修理が完了し、再び美しい姿をあらわした。

高松塚古墳発見さる

1972年03月

奈良県高市郡明日香村上平田高松、文武陵の北約200メートルにある直径約18メートル、高さ約5メートルの円墳を、明日香村の依頼により橿原考古学研究所の人々が発掘中、21日に内部に彩色壁画があることを発見した。石室の天井には星辰、周囲の壁画には男女それぞれ4名づつと四神が描かれ、石室内からは漆塗り木棺片、海獣葡萄鏡一面ほか副葬品が発見された。とりあえず史跡に指定され、壁画保護の応急処置がほどこされて、4月22日に覆土、秋に再調査することになった。

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