松方コレクション、ロンドン焼失分のリスト発見
2016年09月実業家の松方幸次郎が収集した1万点を超えるとされる美術品群のうち、ロンドンで1939年に火災で焼失した作品のリストが発見されたことを、同コレクションの一部を収蔵する国立西洋美術館が5日に発表した。2月に英国テート美術館付属アーカイブで確認されたもので、953点が記載され、マネやゴッホの絵画、ロダンの石膏彫刻が含まれていた。
実業家の松方幸次郎が収集した1万点を超えるとされる美術品群のうち、ロンドンで1939年に火災で焼失した作品のリストが発見されたことを、同コレクションの一部を収蔵する国立西洋美術館が5日に発表した。2月に英国テート美術館付属アーカイブで確認されたもので、953点が記載され、マネやゴッホの絵画、ロダンの石膏彫刻が含まれていた。
世界の優れた芸術家を顕彰する高松宮殿下記念世界文化賞(主催:公益財団法人日本美術協会)の第28回受賞者が13日発表された。美術関係では、絵画部門でシンディ・シャーマン(アメリカ)、彫刻部門でアネット・メサジェ(フランス)、建築部門でパウロ・メンデス・ダ・ホッシャ(ブラジル)が受賞した。
奈良県明日香村のキトラ古墳(特別史跡)壁画を保存・展示する施設「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」が24日、開館した。古墳に隣接する同館は平屋・地下1階建てで、延べ床面積は約2,500㎡。1階のキトラ古墳壁画保存管理施設は文化庁により設置されたもので、壁画保管室、出土品保管室、展示室等の諸室からなり、期間限定、事前申し込み制で公開される。
京都市の高山寺に伝わる国宝の絵巻「鳥獣人物戯画」(鳥獣戯画)の甲巻について、絵順の入れ替えが料紙に付いた刷毛跡から裏付けられたことが、修理報告書『鳥獣戯画 修理から見えてきた世界』(京都国立博物館編)で報告された。2009年からの修復に際し、透過光による調査により第23紙と第11紙が、製紙工程で刷毛を使って紙を撫で付けた際に付いた筋の跡でつながることが判明した。さらに甲巻は画風の違いから、第1~10紙、第11~23紙の2巻に分かれると考えられていたが、2巻は紙質も異なることが確認され、甲巻は2巻を合体して成立した可能性が高くなった。
前年に優れた成果を挙げた写真家に贈られる土門拳賞(主催:毎日新聞社)の第35回受賞者が、山内道雄に決定した。受賞対象は写真集『DHAKA2』。
平成28年度国家予算案が29日、成立した。文化庁予算は1039億6500万円となり前年度より0.2%、1億7200万円の増額となった。Ⅰ.豊かな文化芸術の創造と人材育成、Ⅱ.かけがえのない文化財の保存、活用及び継承等、Ⅲ.我が国の多彩な文化芸術の発信と国際文化交流の推進、Ⅳ.文化発信を支える基盤の整備・充実の4つを柱とし、主な増額項目として、Ⅰで「文化芸術立国実現に向けた文化プログラムの推進」に8億2100万円、Ⅱで「文化財総合活用戦略プランの強化」に12億5900万円が計上された。
神奈川県立近代美術館鎌倉館が31日閉館した。同館は1951年、鎌倉市の鶴岡八幡宮境内に開館、坂倉準三の設計によるモダニズム建築として知られていた。しかし2010年代にはその老朽化や耐震性が問題化し、また土地の所有者である鶴岡八幡宮と神奈川県との貸借契約が満了となることもあり、閉館となった。閉館に先立つ1月31日に一般公開を終了。閉館後の11月に建物が神奈川県の重要文化財に指定、12月22日には県から鶴岡八幡宮へ無償譲渡された。なお県の美術館活動は、鎌倉別館と葉山館で続けられている。
芸術文化における優れた業績を顕彰する毎日芸術賞(主催:毎日新聞社)の第57回目の受賞者が1日に発表され、美術Ⅰ部門(絵画・彫刻・工芸・グラフィック)で現代美術家の菅木志雄(静岡・ヴァンジ彫刻庭園美術館「菅木志雄」展、および東京都現代美術館「菅木志雄 置かれた潜在性」展に対して)が受賞した。
文化庁は9日、2015年度の芸術選奨文部科学大臣賞と同新人賞の受賞者を発表した。芸術選奨文部科学大臣賞美術部門では陶芸家の林恭助(「林恭助展」に対して)、アーティストの村上隆(「村上隆の五百羅漢図展」に対して)、芸術振興の部門ではアーティストの日比野克彦(「六本木アートナイト2015」に対して)、評論等の部門では亀井若菜(『語り出す絵巻―『粉河寺縁起絵巻』『信貴山縁起絵巻』『掃墨物語絵巻』論』に対して)、メディア芸術部門では多摩美術大学教授の久保田晃弘(「ARTSATプロジェクト」に対して)が受賞。同新人賞の美術部門ではファッションデザイナーの皆川明(「1∞ミナカケル」に対して)、評論等の部門では山本聡美(『九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史』に対して)、メディア芸術部門では漫画家のヤマザキマリ(「スティーブ・ジョブズ」ほかに対して)が受賞した。
神奈川県鎌倉市の高徳院にある銅造阿弥陀如来坐像(鎌倉大仏、国宝)の文化財修理国庫補助事業による保存修復が、1月13日から3月10日にかけて行なわれ、その調査と作業管理の主な部分を東京文化財研究所が担当した。1959年から61年にかけての昭和の大修理以来の大規模な作業となり、足場を組んでのクリーニングでは、下方からの洗浄作業では届かなかった頭部に付着する埃や鳥の糞等を取り除いた。また蛍光X線分析装置やX線回折分析装置による尊像の非破壊分析、昭和の大修理で採用された免震装置の調査等を行なった。
文化審議会は11日、浮世絵の祖と称される岩佐勝以(又兵衛)による「紙本金地著色洛中洛外図」(東京国立博物館)や鎌倉時代の肖像彫刻である「木造叡尊坐像 像内納入品」(奈良・西大寺)、「黒韋威胴丸」(奈良・春日大社)、鎌倉時代の仏教史を伝える「称名寺聖教金沢文庫文書」(神奈川・金沢文庫)の4件を国宝に、日本画家福田平八郎の作品「漣」(大阪市所有)等、46件の美術工芸品を重要文化財に指定するよう馳浩文部科学相に答申した。あわせて長野県軽井沢町に唯一残る国産第一号の本格的な工業化住宅「山崎家及び臼井家別荘(セキスイハウスA型)」等199件の建造物を登録有形文化財にするよう答申した。
写真家木村伊兵衛の業績を記念し、優れた新人写真家に贈られる木村伊兵衛写真賞(主催:朝日新聞社、朝日新聞出版)の第41回目の受賞者が16日に発表され、新井卓に決定した。受賞対象は写真集『MONUMENTS』。
地方創生を掲げる安倍晋三内閣の「まち・ひと・しごと創生本部」は22日、国の関係機関の地方移転に係る基本方針を決定し、文化庁の数年以内の京都府全面移転および東京国立近代美術館工芸館の石川県移転を検討することが発表された。これを受けて4月26日に文化庁移転協議会が設置。また東京国立近代美術館工芸館の移転については、8月31日にその基本方針として、石川県金沢市本多の森公園内に整備、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催期間を目途に開館することが発表された。
日本芸術院(院長:黒井千次)は23日、2015年度の芸術院賞受賞者を発表した。第1部(美術)では後藤純男(日本画、再興院展出品「大和の雪」に対して)が恩賜賞・日本芸術院賞を、同部門で山田朝彦(彫塑、改組新日展出品作「朝の響き」に対して)、春山文典(工芸、改組新日展出品作「宙の河」に対して)が日本芸術院賞を受賞した。