国宝の答申

2004年03月

文化審議会(高階秀爾会長)は、3月19日、雪舟筆「紙本墨画淡彩彗可断臂図」(愛知県常滑市、斉年寺所蔵)など4件を国宝にするように河村建夫文部科学大臣に答申した。また、「木造大威徳明王像」(京都市、醍醐寺)など美術工芸品46件を重要文化財に指定するように答申した。あわせて近代建造物の保護を目的とした登録有形文化財(建造物)として、99件を登録するように求めた。

日本芸術院賞受賞者決定

2004年03月

日本芸術院(犬丸直院長)は、3月25日、芸術の分野で顕著な功績のあった人に贈る平成15年度の日本芸術院賞受賞者を決定した。恩賜・日本芸術院賞の第1部(美術)受賞者には、書家新井光風(67)(日展出品作「明且鮮」に対して)、日本芸術院賞には、日本画家宇佐美江中(74)(日展出品作「暮れゆく函館」に対して)、洋画家山本貞(69)(二紀展出品作「少年のいる風景」に対して)、彫刻家山本真輔(65)(日展出品作「生々流転」に対して)、工芸家伊藤裕司(73)(日展出品作「スサノオ聚抄」に対して)、建築家宮本忠長(76)(松本市美術館の設計に対して)が選ばれた。授賞式は、6月7日に東京・上野の日本芸術院会館で行われた。

芸術選奨受賞者決定

2004年03月

芸術の分野で昨年一年間に優れた業績をあげた人々に贈られる芸術選奨の受賞者が、3月9日文化庁より発表された。美術関係では、彫刻家戸谷成雄(56)(愛知県美術館「戸谷成雄展 森の襞の行方」)、写真家川田喜久治(71)(東京都写真美術館「川田喜久治展 世界劇場」)が文部科学大臣賞、また岡村桂三郎(45)(新潟県立万代島美術館「絵画の現在」展出品作)、本江邦夫(55)(『オディロン・ルドン 光を孕む種子』、みすず書房刊)が同新人賞を受賞した。贈呈式は、3月16日に東京都内のホテルで行われた。

第11回VOCA賞受賞者決定

2004年03月

具象、抽象の区別なく、絵画、平面表現に取り組む40歳以下の作家を対象とした「VOCA展2004」(同展実行委員会、財団法人日本美術協会、上野の森美術館主催)の最高賞であるVOCA賞は、前田朋子の「it overlooks」に決定した。奨励賞には、小柳裕、HEARTBEAT DRAWING,SASAKIの2名。新設された佳作賞には中山ダイスケ、西沢千晴が選ばれた。なお展覧会は、3月13日から30日まで上野の森美術館で開催された。

「歌を描く 絵を詠む―和歌と日本美術」展開催

2004年02月

和歌と美術の関りを、ことばと視覚的なイメージとの協同としてとらえ、その文化的な豊かさを見直そうとする展覧会が、2月3日よりサントリー美術館で開催された。内容は、「1 歌びと、神になる―歌仙と歌合」、「2 歌が自然と人生と社会の規範に―名所と月次」、「3 歌が物語を動かす―物語の中の和歌」、「4 歌で遊ぶ 絵で遊ぶ―歌ことばと絵と文様」、「5 歌の載るメディア―色紙から屏風まで」の5章から構成され、「響き合うことばとイメージの世界」を示すために、絵画、工芸等の多彩な作品88件が出品された。(会期、3月21日まで。)

文化庁予算決まる

2004年02月

平成16年度の文化庁予算は、前年比1.3%増の10,159,300万円にすることが決まった。新規事業では「文化財の次世代への継承と国際協力の推進」として、「文化財保護国際貢献事業」、「西アジア文化遺産保護緊急協力」などが盛り込まれた。

国特別史跡キトラ古墳調査

2004年01月

文化庁は、国特別史跡であるキトラ古墳(奈良県明日香村)を保存処理するため1月26日に初めての発掘調査を開始した。調査の委託を受けた東京、奈良文化財研究所では、盗掘穴から室内の空気採取、またデジタルカメラ設置などの作業をし、保存修復のための対策を検討することになった。同時に古墳内の現状を公開した。

第45回毎日芸術賞受賞者決定

2004年01月

優れた芸術活動をした個人、団体に贈られる同賞の今年度の受賞者が決定した。美術関係では、美術家中西夏之(78)(愛知県美術館、愛媛県美術館「中西夏之展」及び東京芸術大学大学美術館「二箇所―絵画場から絵画衝動へ―中西夏之展」に対して)が選ばれた。1月26日、東京会館で贈呈式が行われた。

2003年度朝日賞受賞者決定

2004年01月

学術と芸術の分野で傑出した業績をあげた個人や団体に贈られる朝日賞が、朝日新聞文化財団と朝日新聞社による選考委員会によって決定した。美術の分野では、「画家として長年の業績と文化遺産保存への国際的貢献」が評価され、平山郁夫(73)に贈られた。贈呈式が、1月28日に帝国ホテルで行われた。

「具体」回顧展

2004年01月

戦後、独創的な日本の前衛芸術グループとして国際的な注目を集めた具体美術協会(具体)の結成50周年を記念する回顧展が、1月24日より兵庫県立美術館で開催された。制作風景や展示風景等の映像資料を交えながら、同協会の誕生から終焉に至る経緯、およびその歴史的意義を再認識させる展覧会となった。なお同展を機に、具体の歴史をまとめた単行書『「具体」ってなんだ?』が、美術出版社より刊行された。(会期、3月14日まで。)

「南禅寺」展開催

2004年01月

南禅寺を開山した亀山法皇700年御忌を記念して同寺に伝わる文化財を一堂に紹介する展覧会が、1月20日から東京国立博物館で開催された。「Ⅰ巨刹のはじまり」、「Ⅱ繁栄の軌跡―名僧たちの営為」、「Ⅲ信仰と風雅―伝世する至宝」、「Ⅳ蘇る南禅寺」、「Ⅴ新たな装い―寺を彩る」の5章から構成され、国宝「亀山法皇起願文」、「南禅寺領諸国所々紛失御判物帖」、伝徽宗筆「秋景冬景山水図」等、国宝、重要文化財を含む130件が出品され、皇室が最初に創建した禅宗寺院において伝承された歴史と文化が紹介された。(会期、2月29日まで。京都国立博物館に巡回。)

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