「里見勝蔵展」開催
1995年07月独立美術協会の創立委員として同会、および日本のフォーヴィスム運動を主導した洋画家里見勝蔵(1895-1981)の生誕100年を記念して、その画業を振り返る「里見勝蔵展」が18日から京都国立近代美術館で開催された。油彩、素描など185点の作品のほか、写真等の資料も展示される充実した展観となった。同展は後、鳥取県立博物館(10.6-11.5)、目黒区美術館(11.18-1.15)、郡山市立美術館(1.27-3.3)に巡回した。
独立美術協会の創立委員として同会、および日本のフォーヴィスム運動を主導した洋画家里見勝蔵(1895-1981)の生誕100年を記念して、その画業を振り返る「里見勝蔵展」が18日から京都国立近代美術館で開催された。油彩、素描など185点の作品のほか、写真等の資料も展示される充実した展観となった。同展は後、鳥取県立博物館(10.6-11.5)、目黒区美術館(11.18-1.15)、郡山市立美術館(1.27-3.3)に巡回した。
具象彫刻を対象とする「ロダン大賞展」と抽象彫刻を対象とする「ヘンリー・ムーア大賞展」を統合して1993年に始まった「フジサンケイ・ビエンナーレ現代国際彫刻展」の第2回展が21日から美ヶ原高原美術館で開催され、「ロダン・ムーア記念賞」受賞者の作品が展示された。コンクール部門には52ヶ国から750点の作品が寄せられ、最高賞である大賞に吉本義人の「連態95-1」、「ロダン・ムーア記念賞」にはウィリアム・タッカー(英・米)の「ヴィシュヌ神(プロメテウス)」、優秀賞には池田満寿夫「犀」、エリゼオ・マッティアッチ(伊)「観念が循環する場所」、ジョエル・パールマン(米)「大きな南の星」が選ばれた。コンクール部門入賞作17点にボロフスキー、トニー・クラッグなど招待作家の作品4点を加えた同展は10月31日まで開催された。
長野県諏訪湖畔に6日、「サンリツ服部美術館」(長野県諏訪市湖岸通り2-1-1)が開館。地元の不動産管理会社サンリツ企画株式会社の所蔵作品とセイコーエプソン社長であった故・服部一郎の収集品を合わせた約600点の収蔵品は茶道具、古書画を中心とし、国宝、重要文化財、重要美術品28点を含む。建物は内井昭蔵の設計になり、「水辺より湧き上がる雲」のイメージを表している。「開館記念名品展」は6日から9月10日まで行われた。
18世紀後半に京都で活躍し、写生を重視して近世絵画に新風を吹き込んだ円山応挙の没後200年を記念し、4日から京都国立博物館で特別展「円山応挙-抒情と革新」展が開かれた(-8.6)。画家の20代から没年にいたるまでの画業を障壁画、?風、掛幅、画巻のそれぞれの形式によってたどる充実した展観となった。
アメリカの版画工房タイラーグラフィック社のアーカイヴコレクションを中心に収蔵、展示を行う現代グラフィックアートセンター(CCGA)が、福島県須賀川市に20日、開館し、21日から一般公開された。タイラーグラフィック社主宰ケネス・タイラー氏の「アジアの版画芸術の発展に貢献したい」という意志を受け、大日本印刷(株)のメセナ活動の一環として運営されるもので、館長には高橋平大日本印刷常務取締役が就任。敷地面積8600平方メートル、延べ床面積1428平方メートルの建物は景観設計により周囲の景観、生態系に調和するものとなっている。同センターはタイラーグラフィック社が創立以来制作してきた現代版画750点および今後制作される作品、大日本印刷が所有する作品等を収蔵・展示する一方、作品研究や制作への寄与を重視しシンポジウム等も積極的に行っていく方針である。
奈良国立博物館は明治28(1895)年に宮内省の帝国奈良博物館として開館してから今年で百年を迎える。同館ではこれを記念して国宝115件、重要文化財89件を含む国内外の日本仏教美術の優品214件を集めた「日本仏教美術名宝展」を22日より開催するとともに、同館の歩みと仏教美術研究の成果を紹介(-6.4)。展示は編年的に二部構成を取り、本館では飛鳥・白鳳期から天平時代までの彫刻・絵画・仏具、新館では平安時代から鎌倉時代までの作品を展示し、密教美術、淨土教、法華信仰など多様な展開がうかがえる、充実した展観となった。
文化財保護審議会(鈴木勲会長)は19日、柳之御所遺跡、旧横浜正金銀行本店、原爆ドーム、琵琶湖疎水など7件を新たに国の史跡に、立山室堂など3件を新たに国の重要文化財に、すでにその5棟が重要文化財に指定されている岐阜県養老郡の桑原家住宅のうち南土蔵1棟を追加指定するよう与謝野文相に答申した。
従来の「美術」の枠にとどまらず視覚文化全般を通じて戦後50年を振り返ろうとする「戦後文化の軌跡 1945-1995」展が目黒区美術館で19日から開催された(-6.4)。漫画、写真、ファッション、建築、映像、生活デザイン等のジャンルから時代を象徴する作品を集め、時代の雰囲気を再現させる興味深い展観となった。同展は目黒区美術館で終了後、広島市現代美術館(6.14-7.21)、兵庫県立近代美術館(8.15-9.24)、福岡県立美術館(10.8-11.5)に巡回したが、これらの開催館の学芸員が企画から3年余の研究会を通じて構成、作品選定を行ったことでも注目される展覧会であった。
文化財保護審議会(鈴木勲会長)は14日、狩野永徳筆「洛中洛外図六曲屏風」、大分県臼杵市の「臼杵磨崖仏」、棚畑遺跡出土の「土偶」の3件を新たに国宝に、絵画・彫刻・工芸品・書籍典籍・古文書等7分野41件を新たに重要文化財に指定するよう与謝野文相に答申した。
延暦15(796)年に都の鎮護のために創建された京都の東寺(教王護国寺)は、今年創建1200年を迎える。これを記念して国宝・重要文化財を含む150点の寺宝を展観する「東寺国宝展」が11日より5月14日まで京都国立博物館で開かれた。国宝「両界曼荼羅」「大威徳明王像」などが展示され、密教美術の優品を鑑賞する好企画となった。本展は京都国立博物館で終了後、東京の世田谷美術館に巡回した。
文化財保護審議会(鈴木勲会長)は14日、重要無形文化財保持者(人間国宝)としてあらたに10人を認定するよう与謝野文相に答申した。美術関係では「白磁」の井上万二(66)、「三彩」の加藤卓男(77)、「羅」の北村武資(59)、「鍛金」の奥山峰石(58)、「?漆」の塩多慶四郎(69)、「竹工芸」の二代前田竹房斎(77)、重要無形文化財保持団体として小鹿田焼技術保存会(黒木力代表)が選ばれた。重要無形文化財保持者は今回の答申を含めて82人となった。
平成7年度文化庁予算は、前年度予算から12.1%増の667億6500万円で、伸び率は文化庁創設以来最高のものとなった。美術関連の主な新規事業としては「古代ロマン再生事業」と称される「大規模遺跡総合整備事業」「埋蔵文化財公開普及事業」のほか「文化財における環境汚染の影響と修復技術の国際共同研究」「国際文化財保存修復協力センター(仮称)運営」などが含まれている。
「建築界のノーベル賞」ともいわれるプリツカー賞の1995年度の受賞者が16日、米ハイアット財団により発表され、安藤忠雄(53)が選ばれた。同賞は現代の優れた建築家に贈られるもので、米国のハイアット・ホテルチェーン創設者が理事長をつとめるハイアット財団により1979年に設立され、日本人の受賞者は87年の丹下健三、93年の槙文彦に続いて3人目となる。
具象表現による洋画の第38回安井賞(安井曽太郎記念会等主催)は、わたなべゆう(44)の「風土15」、佳作賞は三浦泉(36)の「遠い日」に贈られることとなった。
文化財保護審議会(鈴木勲会長)は、29日、文化財の保存・修理に必要な技術を持つ「文化財選定保護技術保持者」としてあらたに「表装建具製作」の高田三男(69)、「能楽小鼓(胴・革)製作修理」の鈴木理之(58)、「烏梅(うばい)製造」の中西喜祥(76)、「漆?き用具製作」の中畑文利(52)、「装?修理技術」の国宝修理装?師連盟、の4人1団体を認定するよう与謝野文相に答申した。
西洋美術の支援を図ることを目的に31日付けで文化庁所管の財団として「西洋美術振興財団」(三角哲生理事長)が設立された。昭和34年に国立西洋美術館開館にあわせて発足した同館協力会を継承したもので基本財産一億円。当面は国立西洋美術館の事業に対する支援を中心に活動を行うが、将来は、国内外の美術館との交流、西洋美術の展覧会、調査研究、出版なども支援対象としていく意向である。
日本芸術院(犬丸直院長)は23日、芸術の各分野で顕著な業績のあった人に贈る日本芸術院賞の94年度(第51回)の受賞者を発表した。第一部(美術)では恩賜賞・日本芸術院賞を洋画の織田広喜(80)(二科展出品作「夕やけ空の風景」に対して)が、日本芸術院賞を日本画の上村淳之(61)(創画展出品作「雁金」に対して)、書の高木聖鶴(71)(日展出品作「春」に対して)、建築の柳沢孝彦(60)(「郡山市立美術館」および一連の美術館・記念館の建築設計に対して)が受賞することとなった。受賞式は6月5日東京上野の日本芸術院会館で行われた。
具象洋画において優れた業績をあげた人に贈られる宮本三郎記念賞(美術文化振興協会主催)の第13回目の受賞者が14日、発表され、新制作協会会員の麻田浩(64)が昨年の「美しすぎる嘘」展に出品した「窓・四方」が受賞することとなった。
19世紀フランスの幻想的な画家ギュスターヴ・モローの油彩、水彩、素描など約150点を展観する大規模な展覧会が国立西洋美術館で開催された(21-5.14)。画家が生前に自宅を改造して設立したモロー美術館からも多数の作品がもたらされ、「世紀末芸術」の優品を鑑賞できる充実した展観となった。
16世紀ネーデルランドの巨匠ピーテル・ブリューゲル父子をはじめ、ブリューゲル一族の作品47点とネーデルランド絵画39点をあわせて展示し北方ルネサンスの精華の一端をうかがう「ブリューゲルの世界」展が東京池袋の東武美術館で28日から開かれた(-6.25)。ピーテル・ブリューゲル(父)の作品の多くは海外持ち出し禁止の指定を受けているため、本展への出品作のほとんどが日本初公開となった。