渋谷区立松濤美術館オープン
1981年10月東京23区では、昭和54年の板橋区に次いで2番目の区立美術館となる渋谷区立松濤美術館(渋谷区松濤2-14-14)が1日オープン、美術品を収集せず企画展のみによるユニークな運営方針を打ち出した。
東京23区では、昭和54年の板橋区に次いで2番目の区立美術館となる渋谷区立松濤美術館(渋谷区松濤2-14-14)が1日オープン、美術品を収集せず企画展のみによるユニークな運営方針を打ち出した。
内外の彫刻家24人が参加し、11日から2ケ月間、萩市で国際シンポジウムが開かれた。テーマは「彫刻家の都市公園計画への参加」「石による立体造形物と環境とのかかわり方」で、都市計画事業の一環として造成中の指月西公園で共同制作するという形でシンポジウムが行われ、都市計画や自然環境の中での彫刻のあり方が討議された。
米国のジャパンソサエティは、75周年記念事業のひとつとして、文化庁との共催による「法隆寺宝物展」を14日から10月25日まで、ニューヨークのジャパンハウスギャラリーで開催した。法隆寺も今年が聖徳太子1360年忌にあたっており、絵画・彫刻・工芸・書跡など35件66点の海外貸出を特に認めた。またこれに先立ち同ソサエティでは、5月にクリーヴランド美術館所蔵の日本美術品による「日本美術千年展」を開催し好評を得ている。このほか中国・北京の中国美術館では、東京、北京の友好都市締結2周年を記念し日本画や書・写真などを展示した「東京展」(5月13~21日)が開催されるなど、海外での日本展が相次いだ。
ナビ派の中心的存在であったモーリス・ドニの展覧会が、1日から10月18日まで国立西洋美術館で開催された。出品作品は油彩・素描・版画・挿絵本など181点。同展は引続き京都国立近代美術館で開催された。
ボストン美術館が所蔵する膨大な日本美術品の中から、光琳筆「松島図」をはじめとする近世の?風絵23点が里帰りし、3日から22日まで上野・松坂屋で「近世日本?風絵名作展」が開催された。以後同展は名古屋、大阪、福岡を巡回。
現存作家シリーズとして、東京国立近代美術館では14日から9月27日まで東山魁夷展を開催、昭和初期作品から唐招提寺障壁画まで73点を展観した。同シリーズの日本画家としては、昭和50年の前田青邨、51年の安田靫彦に次いで3人目。
昨年に引続き「色彩表現の追求」をテーマとした第25回シェル美術賞は、541名926点の応募作品の中から次のように決定した。1等…菅野昌美「スペクトル(水と油と陽)1」、2等…石川誓「湖の印象(2)」、3等…岡田弥生「移動する椅子A」、長谷川泰子「魚の出てきた日(2)」、百瀬寿「Square-Between Pink and Yellow」。同賞展は31日から9月6日まで銀座・東京セントラル美術館で開催し、以後各地を巡回した。尚、シェル展は今年で終わりとなった。
県立美術館の建設が進む中部各県のトップを切って、20世紀美術の流れの展望を基本的な運営方針とした富山県立近代美術館(富山市中野町1丁目)が、5日開館、開館記念展として富山国際現代美術展を開催した。
老朽化によって取壊しか、保存か、或いは移転かで論議されていた東京芸術大学の「奏楽堂」は、台東区の保存協力申し出により、地元に残留されることが決定した。
昨年4月の開封以来次々に貴重な発見が続いている冷泉家時雨亭文庫で、文化庁が20日から調査を行った結果、藤原俊成自筆の歌論「古来風体抄」や私家集145人分などが見つかった。更に10月の第2次調査でも、藤原定家自筆の「古今和歌集」「後撰和歌集」写本をはじめ宸翰類などの発見が相次ぎ、文学・歴史ほか各界に大きな衝撃を与えている。
皇室ゆかりの門跡寺院・聖護院の古文書類を調査していた京大・竜谷大調査チームは、3日までに文書類約2万6千点の目録を作成、その結果、後水尾天皇直筆の手鑑など重文級の文化財10数点が確認された。
箱根・彫刻の森美術館が、具象彫刻を対象とした高村光太郎賞と隔年で実施しているヘンリー・ムーア大賞の第2回は、イタリアのアルナルド・ポモドーロ(ミラノ在住)の作品「球体を持った球体」が大賞に決定した。特別優秀賞は、田中薫「1・1・√2・フライ」、宮脇愛子「うつろいUtsuroi」、カゾ・エロール(カナダ)「禅―西洋’80」がそれぞれ受賞し、4日から11月30日まで、同美術館で大賞展が行われた。
中国の江蘇省揚州地区の邦江県で今年2月発見された金印が、江戸時代に九州・志賀島から出土した「漢委奴国王」の金印と酷似していることが、26日明らかにされた。「広陵王璽」と刻まれたこの金印は、字体や彫り方、模様のつけ方などが志賀島のものに酷似しており、制作もわずか1年後のものであることから、大陸との交流史を探る上で貴重な発見となった。
ヨーロッパ19世紀の世紀末芸術を扱った展覧会が盛んになりつつある中で、2日から8月23日まで、ポスター黄金期の作品約60点を集めた「巴里のキッチュ展」が北海道立近代美術館で開催された。また一方、広島県立美術館では、美術館や画廊などの現代ポスターを中心とした「フランスポスター展」が11日から8月9日まで開催され、約1世紀を隔てたフランスのポスター芸術を合わせて鑑賞する好機となった。
昭和22年1月に清新な文化の創造を目指して設立されながら、29年以来活動の中断されていた京都文化院が、このほど27年ぶりに再興された。これは京都の学芸・芸術・教育・宗教等、文化関係各界の有識者102名が集まり、京都の地からニュールネッサンスをまき起こすことをうたい再興を決定したもので、34年前の創立日を記念し、本年1月12日を復興の日とした。同院は再興の初事業として「ルノワールと梅原竜三郎展」(7月4日~20日、京都新聞社)を開催した。
5月末から6月にかけ、田崎広助、小磯良平、香川泰男、熊谷守一、藤原啓などの作品の贋作が出回っていることが次々と明らかになった。このため全国の画商の代表者30人が15日東京・新橋の東京美術倶楽部に集まり、こうした動きに対応するため「全国美術商偽作防止委員会」を発足させることを決定した。
我国の近代洋画に大きな足跡を残した浅井忠の画業を辿る展覧会が13日から7月12日まで京都市美術館で開催された。出品作品は、油彩・水彩の代表作を中心に、素描、日本画、工芸など200余点に及び浅井芸術の全貌を窺う回顧展となった。
昭和62年に創立100年を迎える東京芸術大学で、手狭になった上野キャンパスのほかに、ゆったりとした敷地面積をとり、自然の中にアトリエやレッスン室を点在させる第二キャンパスの建設構想が進められている。目下茨城県取手市の小文間地区が候補地として挙げられており、尚検討中という。
イタリア文化庁が主催する国際展、ルビアム賞展で、パリ在住の日本画家・神野八朗「色即是空空即是色」が大賞を受賞した。
自然と造形との調和を目指した野外彫刻専門のユニークな美術館「美ケ原高原美術館」が、6日美ケ原高原に開館した。同館は箱根の彫刻の森美術館の分館として建設されたものであるが、野外彫刻を定着させた宇部や須磨の現代彫刻展、また釧路・旭川をはじめ彫刻のある街づくりを目指す仙台・横浜・名古屋などと共に、自然や都市空間と造形芸術との調和をめざす試みは、ますます盛んになりつつある。