アンドレマルロー来日

1960年02月

2月12日日仏会館新館の開館式にフランス国務相アンドレ・マルローが来日出席し、祝賀講演を行つたが、その中で次の様な日仏文化交流に関する様々な計画を発表した。1. 1896年から1900年にかけてフランスで作られた日本関係のあらゆる映画を日本に寄贈する。2. フランス映画誕生以来のフイルムを上映する映画祭を行う。3. 1850―1940年までの大規模なフランス絵画展と近代フランス工芸美術展をひらく。4. パリでは、劇、能、音楽、彫刻、科学、哲学など各分野にわたつて日本の特質を紹介する大規模な催しをする。又鉄斎から玉堂にいたる“独立派”の絵画展と禅芸術の総合展をひらく。  更に24日文部省に松田文相を訪れ、「仏政府が旅費、滞在費を支給して日本から50人の若い学者を招く。来年中にルーヴル美術館の名品を日本にもつてくる。また、フランスで日本の催しを行い日本文化を大々的に紹介したい故、国宝的な仏像、絵画などの文化財を出品してもらいたい。」など、文化交流についての構想を明にし、松田文相も全面的に同意した。

画商主催1960年展

1960年02月

日本洋画商協同組合主催による展覧会で、画商の選んだ画家45名、彫刻家10名の作品展である。昭和32年から毎年1回行い、今年はその第4回展で、12から20日迄東京・白木屋で、又、2月12日から17日まで大阪・そごうで開かれる。

学士院恩賜賞、学士院賞の受賞者決定

1960年02月

昭和35年度恩賜賞は、「醍醐寺五重塔の壁画研究」により東京国立文化財研究所の高田修伊東卓治上野アキ、柳沢孝、宮次男並びに名古屋大学理学部山崎一雄教授の5名に対して贈られた。この共同研究は昭和31年から約2年余にわたり、主に文部省科学研究費補助によつて行われたもので、醍醐寺五重塔の解体修理に際し、同壁画の調査及び同塔の沿革(高田)、壁画の概要(高田)壁画の図像(高田・柳沢)壁画の様式と技法(柳沢、宮)装飾文様(上野)彩色顔料(山崎)初層天井板の落書(伊東)等にわたる綜合的研究で、以上の6名がそれぞれ研究を分担した。なお、高田修は昨年の学士院賞につづく再度の受賞である。又、上野アキ、柳沢孝は学士院両賞を通じて女性として初めての受賞者である。授賞式は5月18日に行われる。

関野、木下シアトル美術館賞を受賞

1960年02月

2月11日からシアトル美術館で開かれている第31回ノース・ウエスト国際版画展で関野準一郎の「フィレンツェの屋根」と木下富雄の「仮面No2」がシヤトル美術館賞をうけた。同展には日本から25点参加し、12点が入選した。

法隆寺東室の解体修理完成

1960年02月

文化財保護委員会が2千3百万円で、去る32年1月から進めてきた法隆寺東室の解体修理とその復元工事は、このほど完了した。

奈良勝林寺の仏像売りに出る

1960年02月

奈良県斑鳩町高安の勝林寺では、本堂再建資金の調達と重要文化財の仏像の保持困難を理由に、重要文化財指定の仏像三体を売却する法的手続をとつた。仏像は、木造十一面観音立像、聖観音立像、薬師如来座像の三体で、文化財保護委員会ではこれを許可した。

岡田謙三、フォード美術賞をうける

1960年01月

フォード財団が優秀な画家、彫刻家らを選んで援助する美術賞は全米から選んだ美術家6人に各1万ドルづつ贈られることになつたが、在米中の岡田謙三もその一人に含まれた。

ザッキン展ひらく

1960年01月

フジカワ画廊招来によるザッキン作品展が朝日新聞社主催のもとに銀座松坂屋で15日から27日まで開かれた。先般の大阪展につづく東京での最初の展観で彫刻50点、グワッシュ素描20点が出陳された。

ベネチアビエンナーレ国際美術展への日本側出品作家きまる

1960年01月

第30回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展に出品する作家として山口薫斎藤義重佐藤敬今井俊満浜口陽三柳原義達小野忠弘豊福知徳の8名が選ばれ14日発表された。作品は、絵画が4名で20数点、版画は浜口一人で20点、彫刻は3人で15点が予定されている。作品選出の特色は、日本代表として参加する富永惣一の構想によるもので、現在活動している第一線作家を推し、仕事そのものが世界美術の潮流に深く根ざしていることが重視されたのだという。今回は日本画の出品はない。

デザインハウス開設

1960年01月

ジエトロ(日本貿易振興会)では、東京駅八重洲口の国際観光会館内にジャパン・デザイン・ハウスを開設した、ジエトロの選定した優秀なデザイン商品を常設陳列して、我国デザインの優秀性を海外に宣伝するとともに、その向上を計ろうとするためで、初代館長に小池新二を内定した。3月15日開館をめざして整備中。

ルガーノ国際版画展出品作家きまる

1960年01月

来る4月15日から6月まで、スイスのルガーノで開かれる第6回「ルガーノ国際版画展」への日本の出品作家は次の4名に決定した。海老原喜之助(石版)、初山滋稲垣知雄吉田遠志(木版)。この選考は、国際文化振興会が中心となつて行なわれた。ルガーノ国際展の審査員には、パリ在住の浜口陽三が招れたが、日本人が審査員になるのは今回がはじめてである。

グッゲンハイム美術賞国際審査委員に阿部展也選ばれる

1960年01月

米国のグッゲンハイム財団が設定した国際的な美術賞であるグッゲンハイム美術賞の国際審査委員に、日本から初めて阿部展也(国際造形芸術連盟執行委員)が選ばれた。国際審査委員の構成は、サール(仏)、クーチロス(スイス)と阿部の三人である。なお、日本作家の選考は阿部のほか今泉篤男富永惣一による国内委員によつて決められる。

ビルマに仏像贈る

1960年01月

昨年以来、アジア善隣国民運動中央本部が中心となり、共に仏教国である日本・ビルマ両国親善の一助として、ビルマに仏像を送る計画が進められていたが、このほど香取正彦内藤春治のもとで完成した。仏像はブロンズ製で、純金、メノウ、水晶、白金で仕上げられ、高さ1米、150瓩、製作費は1千万円。1月12日ラングーンで開かれる第4回仏典結集大会の席上贈呈式を行う。

毎日芸術賞受賞者決定

1960年01月

毎日新聞社が新に設けた毎日芸術賞の授賞が1日発表された。美術賞は海老原喜之助「蝶」と決定、なお大賞は文学部門の井上靖「敦煌」に贈られた。

赤門の修理始る

1960年01月

東大の赤門は、現在重要文化財に指定されているが破損が甚しいため、昨年10月から文化財保護委員会の直営工事として根本修理に着手していたが、仮設工事を終り、9日修理事務所開所式を挙行し、いよいよ本格的工事に入つた。修理完了は36年3月末の予定。

エジプト染織美術展開催

1960年01月

世界的コレクションとして知られる鐘淵紡績所蔵の1000余点のエジプト・コプト織から芸大教授新規矩男が選定し、同コレクションを主体にエジプト染織美術を紹介したもの。コプト織の逸品が数多く陳列された。

朝日賞決定 

1960年01月

昭和34年度の朝日賞は、文化部門7名、社会奉仕部門1名、体育部門16名、計24名に贈られることとなつた。そのうち美術関係の受賞者は柳宗悦で、日本民芸館の創設と民芸運動に尽した功績によつて文化賞が贈られた。文化部門の贈呈式は1月16日で本賞(賞牌)と副賞(50万円)が贈られる。

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