根津美術館創立20周年記念名品展開く

1960年11月

昭和15年11月財団法人根津美術館が設立されてから20周年を迎えたので、蔵品中から優品を選んで陳列し、一切の記念事業にかえた、なお各私立美術館からも、賛助出品があり、5日から20日迄開かれた。

通称“永仁の壷”の偽作問題起る

1960年10月

先に指定取消の要望書が提出された問題の瀬戸飴釉永仁銘瓶子について、陶芸家加藤嶺男は8月23日自作である旨を声明した。然し、この発言には疑問多く、問題の鍵を握るのは父唐九郎とみられていたが、在仏中の加藤唐九郎は9月29日、壼は唐九郎自身の製作であると発表、更に松留窯発掘は架空のことであると述べたため、真偽をめぐつて大きな問題となつた。文化財保護委員会も新に調査班を組織し、独自の立場から、古瀬戸全般にわたつて一層綿密な調査を行うこととなり、新に、X線や磁気測定その他による科学的研究を採用し、真相究明にのりだすこととなつた。

明治芸術展

1960年11月

明治神宮鎮座40年を記念して、明治の日本画、洋画、彫刻、工芸の代表作約60余点を展観した。毎日新聞社主催、東京国立博物館、明冶神宮後援で1日から6日迄日本橋三越で行われた。

正倉院展ひらく

1960年10月

奈良博物館では恒例の正倉院展を2日から11月6日までひらいた。今年は、光明皇后1200年忌にあたるので、展観も、皇后ゆかりの品々を中心として出品された。

グッゲンハイム賞に斎藤義重入賞

1960年10月

米国のグッゲンハイム財団による本年度グッゲンハイム国際賞はオランダのカレル・アベルの作品「婦人とだちよう」に与えられたが、斎藤義重の「作品R」は優秀作として入選したと31日発表された。

20世紀フランス美術展ひらく

1960年10月

国立西洋美術館、読売新聞主催、フランス文化省、大使館、文部省、外務省後援で20世紀フランス美術展がひらかれた。会場は国立西洋美術館で会期は10月15日から12月11日迄であつた。マチス、ピカソ、ルオー等の臣匠から新鋭作家まで、20世紀フランスを代表する100余の作家による絵画、タピスリー、ステンドグラス、陶器、金工、織物など300余点が展観された。この展覧会の特徴は、従来の美術展にみられなかつた絵画、装飾美術、工芸を含む20世紀フランス美術の綜合展で、特にタピスリーが多く集められ、ステンドグラスの紹介もめづらしかつた。東京展終了後、来年1月から京都でも開催が予定されている。

日本彫刻名宝展開催

1960年10月

日本経済新聞社主催、文化財保護委員会、東京・奈良国立博物館後援で18日から30日まで東京高島屋で開かれた。

武蔵御岳神社の文化財調査

1960年10月

都教育委員会では去る8月から武蔵御岳神社の文化財調査を行つていたが、4日、「松竹双雀鐘」「銅鏡」などの種々貴重な文化財が発見されたと発表した。この調査は、文化財専門委員丸尾彰三郎氏、東京国立文化財研究所田沢坦氏らに都が依頼、8月及び9月と2回に亘つて調査を行つた結果である。

新発田城の修理成る

1960年10月

重要文化財、新発田城表門と旧二の丸隅櫓の竣工式が6日現地に於て行われた。この工事は、今回の修理を機会に、新発田市を、国有である当建物の管理団体に指定して、国庫から750万円を支出し1080万の工費を以て34年4月着工以来18ケ月の工期を費して完了したものである。

文化財保護の功労者を表彰

1960年10月

文化財保護委員会は、文化財保護法施行10周年を記念して、文化財の保存につくした32団体と個人181人を功労者として表彰することをきめ14日氏名を発表した。表彰式は11月2日東京虎ノ門社会事業会館における10周年記念大会の席で行われる。功労者は文化財保護委員会と都道府県教育委員会が選んだものである。

「玉虫厨子」の複製完成

1960年10月

「玉虫厨子」の複製は約9年の歳月を費して完成、1日乃村工芸社で関係者に披露された。この複製は、日本鱗翅学会設立15周年を記念して企画され、奈良県文化財保護委員会の指導で同学会々員ら11人が製作に参加したものである。厨子に使われた玉虫は全国の小中学生から集め総数15595匹にのぼり、製作費450万円を要して完成された。今後、法隆寺の真物の厨子と並べておかれることになつている。

日本国宝展開催

1960年10月

文化財保護法施行10周年を記念しての展覧会で、施行以来国宝に指定された約700点の国宝のうち、その半数近い260余点の名品が10月2日から11月6日まで東京国立博物館で展観された。

小林古径遺作展

1960年09月

小林古径遺作展委員会と国立近代美術館との共同主催で歿後初の遺作展が開かれた。古径の代表作及下絵、素描等200点余を集めた大遺作展であつた。後援は日本美術院、朝日新聞社で30日から10月30日まで国立近代美術館で陳列された。

大英博物館東洋部長グレイ来日

1960年10月

外務省が文化交流のため招いた大英博物館東洋部長バーゼル・グレイは夫人同伴で2日来日した。各地の美術館、京都、奈良の古社寺を訪れ、又講演会を行う予定。

北斎記念碑建立

1960年09月

北斎生誕200年を記念して、北斎の墓のある東京都台東区浅草、誓教寺境内に記念碑がつくられ24日除幕式が行われた。近藤市太郎楢崎宗重氏らが中心となつて、本年春北斎生誕200年記念碑建立委員会(委員長高橋誠一郎)を設立、版画家、画商、広く文化人一般に呼びかけ募金した。碑は縦1米、横85糎の赤ミカゲ石に、富士を形どつた白ミカゲ石の板をはめこみ、北斎の二字を彫り込んだもの。

美術家会館建設展開催

1960年09月

日本美術家連盟による第3回美術家会館建設展が27日から10月2日まで日本橋高島屋でひらかれた。一昨年の第1回展(洋画、版画)昨年の第2回展(日本画、彫刻)ににつづく3回目の催しで最終回となるものである。今回は伊東深水等の日本画75点、林武等洋画142点、棟方志功等版画64点、他に彫刻、また、フランス、イタリーなど海外作品数十点を加え、計270点を展示即売し、美術会館建設資金の一部に当てられた。

前田寛治展開催

1960年09月

神奈川県立近代美術館で17日から10月30日まで前田寛治回顧展がひらかれ、76点が出陳された。

マルケ展開催

1960年09月

アルベール・マルケの回顧展がブリジストン美術館でひらかれた。同館並びに朝日新聞社の主催、フランス大使館後援で17日開会式が行われ、このため来日したマルケ未亡人マルセルと姪のロスフエルデール夫人が出席した。作品は約124点で、マルケの全貌を伝えるにふさわしい展観であつた。

熊本城天守閣落成

1960年09月

新築の熊本城天守閣の落成式は22日行われ、同夜から毎夜投光機によつて照明されることになつた。

鎌倉の大仏修理始まる

1960年09月

鎌倉市長谷高徳院の阿弥陀如来坐像(大仏)は、近年ひどく前方に傾き、とくに頭部の保持に不安がもたれるに至つたので、33年度以来、調査をつづけてきた文化財保護委員会では14日から補強工事に着手することとなつた。

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