77回日本学士院賞決定
1987年03月日本学士院(黒川利雄院長)は12日の総会で9氏に対し第77回日本学士院賞を贈ることに決定した。美術部門では建築史家福山敏男、(『福山敏男著作集』の「寺院建築の研究」「神社建築の研究」に対して)が学士院賞・恩賜賞に選ばれた。これで恩賜賞は119件130人、学士院賞は432件496人が受賞したこととなった。
日本学士院(黒川利雄院長)は12日の総会で9氏に対し第77回日本学士院賞を贈ることに決定した。美術部門では建築史家福山敏男、(『福山敏男著作集』の「寺院建築の研究」「神社建築の研究」に対して)が学士院賞・恩賜賞に選ばれた。これで恩賜賞は119件130人、学士院賞は432件496人が受賞したこととなった。
19世紀末、ヨーロッパ文明を避けてタヒチに渡った画家ポール・ゴーギャンのタヒチ時代に焦点をあてた「ゴーギャン展」が6日より5月17日まで東京国立近代美術館で開かれた。油彩60点、彫刻、水彩、版画などを含む約120点が出品され、大規模な展観となった。
昭和32年に創立され今年30回目をむかえた安井賞は、推薦応募数372点(227人)のうちから選考が行われ、安井賞に小林一彦「MOVIN’OUT 86-A」、佳作賞に川口起美雄「交感(音の抑揚)」が選ばれた。安井賞展は28日より3月18日まで東京池袋西武美術館で開かれたのち、全国を巡回した。
工業デザイン、グラフィックデザインなどの分野を対象とする毎日デザイン賞の’86年受賞者はグラフィックデザイナーの松永真に決まった。ロゴをシンプルにデザインした一連の仕事が評価されたもの。
第37回芸術選奨が27日、文化庁の選考委員会によって決定され、美術関係では陶芸家鈴木蔵(「炎舞する蔵志野展」の造形的力動感と深い火色のぬくみをもつ作品群に対し)、洋画家高橋秀(「高橋秀展」の単純明快な色面パネルをレリーフ的に使い不思議なエロスを漂わせる作品群に対し)、美術史家青木茂(明治洋画史の重要史料を発掘・紹介した『明治洋画史料-記録篇』に対し)が選ばれた。
第38回日本放送協会放送文化賞が18日決定し、美術関係では日本画家平山郁夫が受賞した。
第13回平櫛田中賞は米林雄一「微空音-Ⅰ」に贈られることに決定した。授賞式は7月30日に行なわれた。
日本近代洋画に影響を与えたことでも知られるバーン=ジョーンズを中心に、イギリスの19世紀末芸術の流れをたどる展覧会が5日から23日までの東京、伊勢丹美術館での開催を皮切りに行なわれた。同展は石橋美術館、栃木県立美術館、山梨県立美術館を巡回した。
新人の登竜門である昭和会賞の第22回目の受賞者の選考が月末に行なわれ、昭和会賞に桜井孝美、林武賞に片桐克彦(彫刻)、優秀賞に稲垣考二、大村富彦(彫刻)が選ばれた。
ソウル市の李王朝時代の王宮、昌徳宮に秘蔵されていた日本絵画34点のうち8点が江戸期のもので、そのうち4点は徳川幕府が朝鮮通信使を通じて贈ったものであることが判明、30日韓国文化公報省により発表された。徳川幕府の御用絵師狩野友甫、梅笑師信らの制作によるもので保存状態も良いと伝えられる。
第28回毎日芸術賞が1日に決定し発表され、美術関係では建築家安藤忠雄「『六甲の教会』の設計」、彫刻家堀内正和「渋谷区立松涛美術館5周年記念特別展『堀内正和』」が受賞した。
23日、滋賀県守山市の天台宗東門院が火災で全焼、本堂内に安置されていた国の重要文化財の十一面観音像と毘沙門天立像の2点が焼失した。
昭和59年以来、財団法人松井文庫(細川護貞理事長、熊本県八代市)の依頼により、同コレクションの調査を進めている熊本県立美術館は、これまでに室町時代の歌人三条実隆直筆の連歌「伊庭千句」など重文級の作品10数点を確認した。調査は10年がかりの予定で、これまで調査を終えた作品は全体の1割の約600点。今後の成果に期待が寄せられている。
近年欧米でとみに高まっている日本の近現代美術への関心を反映し、日本の近現代芸術の総合展として「前衛芸術の日本展」が、9日から翌年3月2日まで、パリのポンピドーセンターで開催された。同展には、造形芸術を中心に、建築、デザインなど関連各分野を網羅した総計750件が展示され、日本の近現代美術紹介の展覧会としては最大規模の展覧会となった。
日本芸術院(有光次郎院長)は19日、今年度の会員補充選挙の結果、新会員に6名を内定。美術関係から、日本画の大山忠作、洋画の菅野矢一、彫塑の三坂耿一郎が選ばれ、12月15日付で文部大臣より発令された。
文化財保護審議会(斎藤正会長)は14日、建造物関係の重要文化財として、山形市の旧松応寺観音堂など4件5棟を新たに、また奈良県長谷寺鐘楼など9棟を追加指定、宮崎県日向市の差々津伝統的建造物群を保存地区に指定するよう、塩川文相に答申した。これで重文指定の建造物は1993件3222棟、重要伝統的建造物群保存地区は23地区となった。
大阪府交野市の八葉蓮華寺で昭和58年に発見されその後重要文化財に指定された快慶作阿弥陀如来立像から、7日までに白描画などの胎内納入物が取り出された。納入品は、諸物の名前を書いた巻物一巻と、阿弥陀経や般若心経などの10数点の文書のほか、快慶あての手紙3点で、快慶あての書状の表面の余白や裏面に不動明王や陵王などの白描画が描かれていた。
約2万点の日本美術コレクションを所蔵する大英博物館に、日本美術品を常設展示する日本ギャラリーが新設されることになり、募金運動が始まった。同館およびイギリス国内、日本国内から総額500万ポンド(約12億円)の資金が集められる。平成元年完成の予定。
藤田嗣治の生誕100年を記念した「レオナール・フジタ展」が、31日より11月25日まで新宿・小田急グランドギャラリーで開催された。ヨーロッパに所蔵されている油彩54点、水彩・デッサン・版画の計57点が出品され、初期から晩年にいたる全貌が展観された。同展は引き続き各地を巡回した。
写実的表現という問題意識のもとに日本の近代美術を考える「写実の系譜」シリーズの第2回として、「大正期の細密描写」展が、30日から12月7日まで竹橋の東京国立近代美術館で開催された。岸田劉生、速水御舟、京都の日本画の3部門に分け、139点を展示、日本の近代美術の発展における大正期の意義を考える上にも好企画となった。