第22回サントリー学芸賞受賞者決定
2000年10月サントリー学芸賞(サントリー文化財団)の第22回目の受賞者が公表された。「芸術・文学部門」では、浦池美鶴(京都大学)の『シェイクスピアのアナモルフォーズ』(研究社出版)、成恵卿(ソウル女子大学)の『西洋の夢幻能―イエイツとパウンド』(河出書房新社)、吉田憲司(国立民族学博物館)の『文化の「発見」』(岩波書店)が選ばれた。
サントリー学芸賞(サントリー文化財団)の第22回目の受賞者が公表された。「芸術・文学部門」では、浦池美鶴(京都大学)の『シェイクスピアのアナモルフォーズ』(研究社出版)、成恵卿(ソウル女子大学)の『西洋の夢幻能―イエイツとパウンド』(河出書房新社)、吉田憲司(国立民族学博物館)の『文化の「発見」』(岩波書店)が選ばれた。
企業メセナ協議会主催の同賞は、現代美術の分野で平面作品を問い直すVOCA展の開催を評価して、第一生命に決定した。
優れた古陶磁研究者に贈られる第21回の同賞は、古陶磁に関する顕著な成果をあげた業績により、「褒賞の部」に弓場紀知(出光美術館)と佐々木達夫(金沢大学)を決定した。
日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に、平成元(1989)年に創設された國華賞(國華賞顕彰基金)の受賞者が公表された。受賞作は、岡田健(東京国立文化財研究所)の「東寺毘沙門天像―羅城門安置説と造立年代に関する考察」(『美術研究』370、371号、平成10年3月、11年3月)、今橋理子(学習院女子大学)の『江戸絵画と文学―<描写>と<ことば>の江戸文化史』(東京大学出版会、平成11年10月)。贈呈式は、10月27日、東京築地の朝日新聞社浜離宮朝日小ホールでおこなわれた。
浮世絵の祖とされる菱川師宣の展覧会が、10月24日から千葉市美術館で開催された。国内外から集められた、肉筆画、版画、版本等約150点が展示され、これまでにない大規模な展覧会として、この絵師の芸術が回顧された。(会期、11月26日まで。)
伊藤若冲の没後200年を記念した回顧展が、京都国立博物館で、10月24日から開催された。国内外から集められた約140点をこえる作品によって、現代にも通じる斬新な作品群が出品され、歴史的な位置付けを再検討するとともに、今日的な視点からの検証も加えられ、若冲研究の成果が一堂にあつめられた。(会期、11月26日まで。)
政府は、24日、平成12年度の文化勲章受章者と文化功労者を公表した。美術関係では、皮革工芸の大久保婦久子(81)、書の杉岡華邨(87)が文化勲章を受章。また、グラフィックデザイナーの田中一光(70)、洋画家の野見山暁治(79)、日本画家の松尾敏男(74)、日本美術史家の山根有三(81)が選ばれた。
フランス、パリ南西約70キロに位置する小村グレー・シュル・ロワンをとりあげ、この芸術家コロニーに滞在した画家たちをとりあげた展覧会が、山梨県立美術館で10月21日から開催した。グレー村は、19世紀中頃から多くの芸術家たち、ことに外国の画家たちが滞在し、黒田清輝、浅井忠など、日本の画家たちにも縁の深い地であった。アメリカ、アイルランド、イギリス、スウェーデン、日本から作品をあつめ、この小村が、画家たちの創造に、どのような影響をあたえたかを検証しようとした企画であり、大規模な国際展であると同時に、パリ中心のこれまでの19世紀美術史研究に対して、新たな視点をしめしたものとして注目された。(会期、11月26日まで。以後、府中市美術館等4館を巡回した。)
室生寺では、平成10年(1998)9月の台風7号で、境内の樹木が倒壊し、五重塔(国宝)の北西角が初層から五層目にかけ損壊した。その修復工事が完成し、落慶法要が、10月21日から3日間にわたりおこなわれた。
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、10月20日、万鉄五郎の「裸体美人」(東京国立近代美術館)など、美術工芸品18件と建造物6件を重要文化財に指定するよう大島理森文相に答申した。また、二つの町並みを重要伝統的建造物群保存地区に選定し、56ヶ所ある116の建造物を登録有形文化財に登録するよう答申した。
東京都府中市の都立府中の森公園内に同美術館が、10月14日に開館した。施設は、二階建て、延べ床面積7,795平方メートル。美と結びついた暮らしを見直す美術館として、近代日本の洋画を中心にコレクションしている。開館記念展として、「生誕百年記念 牛島憲之展」が11月26日まで開かれた。
彫刻家中原悌二郎の業績を記念して、北海道旭川市が創設した同賞の第31回の受賞作に、山本正道「Versilia ’99」が、同優秀賞に井田勝己の「月に向かって進め」が選ばれ、10月7日に旭川市内で贈呈式がおこなわれた。
ナビ派の絵画と、1910年代の日本近代の絵画にその反映をみなおそうとする展覧会が、9月15日から新潟県立近代美術館で開催された。1890年代、フランスで生まれたナビ派の画家たちの作品と、1910年代の日本の画家たちの作品のなかに、同派からの多様な影響の跡をみようとする意欲的な企画であった。(会期、11月5日まで。)
日本画と伝統的な工芸を対象とする第12回の同賞(MOA美術館主催)に、絵画部門の大賞に平松礼二、優秀賞に浅野均、工芸部門の大賞に栗木達介、優秀賞に八木明を決定した。授賞式は、静岡県熱海市の同美術館でおこなわれた。
すぐれた写真評論に贈られる第6回の同賞(重森弘淹顕彰会主催)に、楠本亜紀(川崎市岡本太郎美術館)の「アンリ・カルティエ=ブレッソン論」に決定した。
第47回の同展(文化庁、日本工芸会等主催)は、758点の入選作から、日本工芸会総裁賞に大西勲の「曲輪造黒溜盛器」など13点の入賞作を選び、公表した。
エジプト、メソポタミア、インダス、中国の四つの古代文明をとりあげた展覧会が、東京都内、横浜の博物館、美術館4館で同時開催された。東京国立博物館では、8月2日から「エジプト文明展」(会期、10月1日まで)、東京都美術館では、8月5日から「インダス文明展」(会期、12月3日まで)、世田谷美術館では、8月5日から「メソポタミア文明展」(会期、12月3日まで)横浜美術館では、8月5日から「中国文明展」(会期、11月5日まで)がそれぞれ開催された。いずれも、主催は、開催館とNHK、NHKプロモーションであり、こうした試みは、はじめてのことであった。
越後妻有6市町村が連携して、7月20日から地域活性化事業としてトリエンナーレを開催した。参加したのは、新潟県十日町、川西町、津南町、中里町、松代町、松之山町の6市町村。地球の環境問題が注目されている現代にあって、地域と自然、人間を見つめなおすことを目的に開催され、アーティストと地域の住民が協働しながら、それぞれの場所にねざした作品を制作した。地域の振興事業としても注目され、また芸術表現を発表するかたちとして、新しい方向をしめした。(会期、9月10日まで。)
文化財保護審議会(西川杏太郎会長)は、7月18日、高崎白衣大観音像(群馬県高崎市)、近江兄弟社学園ハイド記念館・教育会館(滋賀県近江八幡市)など建造物140件を登録有形文化財にするよう大島理森文相に答申した。
文化、芸術の発展に貢献した芸術家に贈られる第12回高松宮殿下記念世界文化賞(財団法人日本美術協会主催)の受賞者が、7月11日にロンドンのテート・モダン美術館で公表された。絵画部門でエルズワース・ケリー(米国、77)、彫刻部門でニキ・ド・サン・ファール(フランス、69)、建築部門でリチャード・ロジャース(英国、66)が選ばれた。授賞式は、10月26日に東京、元赤阪の明治記念館でおこなわれた。