文化芸術振興法成立
2001年11月文化芸術振興のため長期的な施策の方向を示す基本方針の作成を国に義務づける同法が、11月30日に参議院本会議で可決し、成立した。文化芸術活動への支援拡大を目指すもので、国や地方自治体の責務を明らかにし、文化芸術振興のための法整備や税制上の優遇措置などを講じ、地域の有形、無形文化財の保護対策なども求めることを目的としている。
文化芸術振興のため長期的な施策の方向を示す基本方針の作成を国に義務づける同法が、11月30日に参議院本会議で可決し、成立した。文化芸術活動への支援拡大を目指すもので、国や地方自治体の責務を明らかにし、文化芸術振興のための法整備や税制上の優遇措置などを講じ、地域の有形、無形文化財の保護対策なども求めることを目的としている。
日本芸術院(犬丸直院長)は、11月29日、新会員を発表した。第一部(美術)では、日本画家の中路融人(68)、洋画家の絹谷幸二(58)、彫刻家の雨宮淳(64)。12月15日付で発令される。
文化審議会(高階秀爾会長)は、11月16日、新潟県糸魚川市から長野県松本市まで通じ、「塩の道」として知られた「松本街道」の一部など13件を史跡、名勝、天然記念物に、また歌舞伎座、東京文化財研究所の黒田記念館及び書庫など159件の建造物を登録有形文化財にするように遠山敦子文部科学大臣に答申した。
サントリー学芸賞(サントリー文化財団主催)の第23回目の受賞者が11月6日に公表された。「芸術・文学部門」では、岡田暁生(神戸大学)の『オペラの運命-十九世紀を魅了した「一夜の夢」』(中央公論新社)、河合祥一郎(東京大学)の『ハムレットは太っていた!』(白水社)、田中優子の『江戸百夢-近世図像学の楽しみ』(朝日新聞社)が選ばれた。
政府は、11月3日に秋の褒章受章者を発令した。美術関係では、紫綬褒章に美術史家森洋子(65)、画家横尾忠則(65)、漆芸作家前史雄(61)、立体造形作家最上寿之(65)が選ばれた。
百貨店伊勢丹は、10月30日に新宿本店内に設けられていた同美術館(昭和54年開館)を、翌年3月をもって閉館すると発表した。店舗運営の効率化を図るため、折から入館者数が減少していたことから、売り場に切り替えられることになった。
政府は、10月30日、平成13年度の文化勲章受章者と文化功労者を公表した。美術関係では、日本画家の守屋多々志(89)、彫刻家淀井敏夫(90)が文化勲章を受章。また、書家の成瀬映山(81)、日本画家の稗田一穂(81)が文化功労者に選ばれた。
昭和42(1967)年開館以来、百貨店の美術館として意欲的に企画展を開催しつづけた同館は、百貨店の営業効率を高める方針から、多目的の文化催事場に改修することから10月29日をもって閉館となった。
群馬県館林市内の多々良公園内に同美術館が、10月26日に開館した。同県立美術館として2館目となる同美術館の施設は、2階建て、延べ床面積6,900平方メートル。開館記念展として「自然と人間」展が11月25日まで開催された。
日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に創設された同賞(同賞顕彰基金主催)受賞者が公表された。受賞作は、井手誠之輔(東京文化財研究所)の「日本の宋元仏画」(『日本の美術』418号、至文堂)が選ばれ、また國華奨励賞には、朴享国(名古屋大学)の『ヴァイローチャナ仏の図像学的研究』(法蔵館)が選ばれた。贈呈式は、10月25日、東京築地の朝日新聞社浜離宮朝日小ホールで行われた。
日本美術のなかで表現されてきた、多様な人間のあり方に焦点をあてた総合的な展覧会「ヒューマン・イメージ-われわれは人間をどのように表現してきたのか?」が、10月23日に京都国立博物館で開催された。内容は、「人のきずな」、「恋と愛」、「なりわい」など人間の多様で、複雑なあり方を見つめた10のテーマが設けられ、約120点が出品された。(会期、11月25日まで。)
太子没後1380年を記念した展覧会が、10月20日より東京都美術館で開催された。内容は、太子の時代である飛鳥時代の美術、工芸品、考古資料等とその死後からつづく太子信仰に基づく美術作品約220件によって構成されていた。(会期、12月16日まで、以後、大阪市立美術館、名古屋市博物館を巡回。)
文化審議会(高階秀爾会長)は、10月19日に新宿御苑旧洋館御休所、長崎県上五島町の青砂ヶ浦天主堂等8件の建造物を重要文化財に指定するよう、遠山敦子文部科学大臣に答申した。
平成13年度の国際交流基金賞が、日本画家の平山郁夫(71)とロンドン大学名誉教授のウィリアム・ジェラルド・ビーズリー(日本史研究)に決定し、授賞式がおこなわれた。平山郁夫の受賞については、長年にわたり世界各地の文化遺産の保存、修復活動に尽くし、人材育成や交流も進めた功績が評価された。
彫刻家中原悌二郎の業績を記念して、北海道旭川市が創設した同賞の第32回の受賞作に、広井力(76)の「海の風」、同優秀賞に西野康造(50)の「空の記憶」が選ばれた。10月6日、旭川市内で贈呈式が行われた。
岩手県盛岡市中央公園内に同美術館が、10月6日に開館した。施設は、二階建て、延べ床面積13,000平方メートル。岩手ゆかりの作家を中心とした近現代美術を中心に収集、展示し、特に万鉄五郎、松本竣介、舟越保武をコレクションの中心にしている。開館記念展として、「色彩の歓び-メルツバッハー・コレクション展」が11月26日まで開かれた。
「日本におけるイタリア2001年」を記念して企画された「カラヴァッジョ-光と影の巨匠-バロック絵画の先駆者たち」展が、9月29日に東京都庭園美術館で開催された。日伊両国政府の合意にもとづき国内各地でイタリアを紹介する事業のひとつとして実現したもので、これまで国外への出品は稀であったカラヴァッジョの「果物かごを持つ少年」など、貴重な作品が展示された。(会期、12月16日まで。以後、岡崎市美術博物館を巡回。)
華道草月流の家元でありながら、戦後美術、文化のなかで、多方面にわたり多彩な活動をつづけた芸術家勅使河原蒼風の生誕100年を記念する展覧会「戦後日本を駆け抜けた異色の前衛-勅使河原蒼風」展が、9月22日に世田谷美術館で開催された。(会期、11月25日まで。)彫刻、絵画、書など、現存する作品約170点と、蒼風が生前自ら選んだ美術作品とともに構成され、その戦後の復興期に、国内外の芸術家たちと交流しながら、ジャンルにとらわれない多彩な表現活動の全貌が回顧された。
奈良県高市郡明日香村に同会館が、9月15日に開館した。「万葉集」を中心とする古代文化に関する総合的な文化施設として、調査、研究にあたる「万葉古代学研究所」、展示施設としての「万葉ミュージアム」と「万葉庭園」、図書、情報サービスのための「万葉図書館」から構成されている。開館記念展として「万葉日本画の世界」が開催された。
世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(総裁、常陸宮殿下、日本美術協会主催)の第13回受賞者が、9月13日に発表された。美術関係では、絵画部門では造形作家の李禹煥(65 リ ウファン 韓国)、彫刻部門でマルタ・パン(78 仏)、建築部門でジャン・ヌーヴェル(56 仏)が選ばれた。