坂本繁二郎展
1982年02月画壇の情況に左右されることなく自己の信念に基づき独自の画風を築いた坂本繁二郎の生誕100年を記念した回顧展が19日から5月9日まで東京国立近代美術館で開催された。出品作は初期から晩年にいたる油彩・水彩約140点で、代表作の多くを含む充実した展観となった。同展は京都、久留米を巡回した。
画壇の情況に左右されることなく自己の信念に基づき独自の画風を築いた坂本繁二郎の生誕100年を記念した回顧展が19日から5月9日まで東京国立近代美術館で開催された。出品作は初期から晩年にいたる油彩・水彩約140点で、代表作の多くを含む充実した展観となった。同展は京都、久留米を巡回した。
シェル興産(株)が新人を発掘する目的で昭和31年に創設し、新人登竜門として貴重な役割を果たしてきた「シェル美術賞」(公募)は、同趣の美術賞展が増えて特色が失われたことや、応募層の固定化などの傾向が見られるようになったことから、昨年9月の25回展を最後に廃止されることが決まった。
芸術分野で優れた業績をあげた人々に贈られる昭和56年度(第32回)の芸術選奨文部大臣賞11名、1グループ、新人賞7名が5日決定し、文化庁から発表された。美術部門では、文部大臣賞に小野末<洋画>(個展「砂漠の歌」で大自然との対決、対話を果たした画期的な自然描写)、浜谷浩<写真>(写真集、写真展「地の貌」「生の貌」での人間と自然、国土への鋭い観照)が選ばれ、新人賞は杉浦康平<グラフィックデザイン>(「変幻する神々-熱きアジアの仮面」展の会場構成、ポスター、カタログ)が受賞した。
日本芸術院(有光次郎院長)は2日、昭和56年度(第38回)の恩賜賞と院賞の受賞者を内定した。美術関係者は次の通りである。 恩賜賞 吉田善彦・日本画(昭和53年院展出品作「春雪妙義」に対し) 芸術院賞(第一部・美術) 菅野矢一・洋画(昭和56年日展出品作「くるる蔵王」に対し)、伊藤五百亀・彫塑(昭和56年日展出品作「渚」に対し)、岩田久利・工芸(昭和56年日展出品作「聖華」に対し)、高橋?一・建築(大阪芸大「塚本英世記念館、芸術情報センター」建築設計に対し) 尚、受賞式は6月7日上野・日本芸術院で行なわれた。
江戸時代前期に幕府が作成した、諸国の資料を絵図化した「国絵図」を、明治初期、京都府が塩川文麟、鈴木百年、森寛斎ら当時京都で活躍していた画家約50人に写させたものが、このほど京都府立総合資料館で発見された。原本は現在国立公文書館内閣文庫に収められている。
シュールレアリスムの巨匠、サルバドール・ダリの初期から晩年に至る、油彩35点、グワッシュ・水彩・デッサン39点、版画83点、宝物でできた時計などの立体物16点を集めた大規模な展覧会が、28日から4月6日まで新宿・伊勢丹で開催された。以後大阪、北九州ほかを巡回。
活発な動向を見せるイギリス画壇の現状を紹介する「今日のイギリス美術展」が、27日から4月11日まで東京都美術館で開催された。国公立5館とブリティッシュ・カウンシルの共同企画によるもので、33作家170余点が出品され、東京展の後各地を巡回した。
明治21年に完成しながら昭和20年5月戦災で焼失した明治宮殿の杉戸絵35組が、その後宮内庁や東京国立博物館の倉庫に保管されていることが明らかとなり、十余年をかけて東京国立文化財研究所で保存修復と調査研究が行なわれた結果、このほど『皇居杉戸絵』(京都書院、解説・関千代)としてその様相が明らかとなった。伝統的画派の名手が多く手がけたこれらの作品は、鑑画会や東京美術学校が台頭する直前の、明治前半期画壇状況の総まとめともいうべき貴重な資料となるものである。
大和絵の伝統に立ち歴史画を得意とした小堀鞆音の代表作約110点を集めた展覧会が、14日から3月22日まで栃木県立美術館で開催された。本格的な回顧展としては遺作展以来。
大量に出回るニセ清水焼に対処するため、京都の陶磁器業界はこのほど、清水焼の作家359人の雅号等をまとめた「京焼・清水焼・京陶人形雅号名鑑」(意匠保護協会)を出版した。
現代ドイツを代表する線描の鬼才ホルスト・ヤンセンの素描・版画など130点を集めた展覧会が4日から16日まで新宿・伊勢丹で開催され、以後各地を巡回した。「北斎シリーズ」などが加えられた神奈川県立近代美術館での同展では220点が出品された。
新進の画家、彫刻家の登竜門の一つ第17回昭和会賞がこのほど決定、昭和会賞に大矢英雄「ゆりの肖像」、林武賞に中野滋「うる」(石彫)、優秀賞に田村能里子「たゆとう時」がそれぞれ選ばれた。
昭和30年に創設され、優れた作品を制作、発表したデザイナーやグループ、団体に与えられる毎日デザイン賞の’81年は、浜野安宏「ファッションライブシアターとAXISビルの総合的デザインプロデュース」に決定した。
具象洋画の新人登竜門安井賞第25回の選考委員会が21日行なわれ、安井賞に相笠昌義「カラバンチェロの昼下がり」、佳作賞に堀研「風の中を行く」が選出された。同賞は2月24日正式決定され、同賞展は、入選作44点のほか25回を記念して第1回展以来の受賞者の新作を加えて2月26日から3月16日まで西武美術館で開催、以後各地を巡回した。
10年の歳月と総工費250億円をかけ、救世熱海美術館を新築移転したMOA美術館(モキチ・オカダ・カルチュラル・サービス・アソシエーション、熱海市桃山町26-2)が、18日開館した。
幕末から明治にかけて京都画壇の重鎮として活躍した森寛斎の画業を、応挙以来の流れの中で歴史的に位置づけようという展覧会が、8日から2月11日まで寛斎の郷里山口の山口県立美術館で開催された。寛斎の作品55点を中心に、応挙15点など、総計112点が出品された。
明治風俗を情感豊かに描いた日本画家鏑木清方の歿後10年を記念し、80年にわたる画業の中から挿絵、画帖、画巻、軸、額、?風など約130点を集めた展覧会が、4日から20日まで、新宿・小田急グランドギャラリーで開催された。
第23回毎日芸術賞(昭和56年度)受賞者4名が発表され、美術部門からガラス工芸作家岩田久利(「岩田久利作品展」に対して)、日本画家吉田善彦(「飛鳥日月?風」「吉田善彦展」に対して)が受賞、17日同賞の贈呈式が行なわれた。
重要文化財に指定されている東京芸術大学所蔵の「不動明王図」と同図の作品が、下関市に寄贈された河村コレクションに含まれていることが確認され、このほど公開された。