第18回京都賞受賞者決定

2002年06月

財団法人稲盛財団(理事長稲盛和夫)は、6月21日に、科学や文明の発展に寄与した人に贈る京都賞受賞者を発表した。思想・芸術部門では、建築家の安藤忠雄(60)が受賞した。授賞式は、11月10日、国立京都国際会館で行われた。

人間国宝認定

2002年06月

文化審議会(高階秀爾会長)は、6月21日に12人を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するよう遠山敦子文部科学大臣に答申した。工芸技術の部では、袴地などの絹織物である「精好仙台平」の伝統技法の技術者甲田綏郎(73)、砂張加工技術を伝承する「銅鑼」制作の三代魚住為楽(64、本名魚住安彦)、「桐塑人形」の林駒夫(65)、兵庫県西宮市名塩に伝承する「名塩雁皮紙」の技術者谷野剛惟(67)、截金装飾の江里佐代子(56)、?漆の大西勲(57)が選ばれた。これにより、現存の人間国宝は、114人となった。

登録有形文化財

2002年05月

文化審議会(高階秀爾会長)は、5月17日、京都市の「平安神宮の大鳥居」など、58ヶ所(145件)の建造物を新たに登録有形文化財とするように、遠山敦子文部科学大臣に答申した。これにより、登録有形文化財は計2991件となった。

「スーラと新印象派」展開催

2002年06月

ジョルジュ・スーラの作品から生まれた新印象主義を、歴史的かつ理論的に見直そうとする展覧会が、6月2日より高知県立美術館で開催された。内容は、これまで国内で紹介されることの少なかったスーラの作品をはじめ、スーラ周辺の画家、あるいはその影響をうけた23作家、107点によって構成され、あらためてその歴史的な意味を回顧する展覧となった。(会期、7月14日まで。以後、宇都宮美術館、京都国立近代美術館、安田火災東郷青児美術館を巡回。)

松本市美術館開館

2002年04月

長野県松本市に同美術館が、4月21日に開館した。コレクションの中核には、同市出身の草間弥生の作品278点、洋画家田村一男の作品214点、書家の上条信山の作品243点がある。施設は、地上三階建て、敷地面積は12,000平方メートル、延べ床面積は、約7,740平方メートル。開館記念として「イタリア・ルネサンス三大巨匠素描展」を開催した。(会期、6月30日まで。)

「栄西禅師開創800年記念 特別展覧会 京都最古の禅寺 建仁寺」開催 

2002年04月

京都最古の禅寺である建仁寺の開創800年を記念して、同寺の歴史と文化を紹介する総合的な展覧会が、4月23日より京都国立博物館で開催された。内容は、「建仁寺の法脈と歴史」、「建仁手伝世の文化財」、「建仁寺と京都の陶工」、「方丈・書院の障壁画」の4部で構成され、禅宗、五山文学の中心としての同寺の文化財とともに、国宝の俵屋宗達筆「風神雷神図屏風」、海北友松の障壁画など、165点が出品された。(会期、5月19日まで。以後、サントリー美術館、福岡市博物館を巡回。)

春の褒章受章者

2002年04月

政府は平成13年春の褒章受章者を4月29日付で発表した。美術関係の紫綬褒章受章者は、漆芸作家増村紀一郎(60)、漫画家ちばてつや(63)、写真家江成常夫(65)、金工作家玉川宣夫(60)、立体造形作家新宮晋(64)。

「極東ロシアのモダニズム 1918-1928」展開催 

2002年04月

20世紀初頭のロシアと日本の近代美術を、モダニズムの視点から紹介する展覧会が、4月6日より町田市立国際版画美術館で開催された。内容は、「1 ロシア・アヴァンギャルド」、「2 極東ロシア-未来派と革命のプロパガンダ」、「3 極東ロシアのモダニズム」、「4 日本の近代美術」の4部から構成され、ロシア革命後に極東に移った芸術家たちの活動と、彼らが日本に与えた影響を検証する、きわめて意欲的で刺激に富む展覧となった。(会期、5月19日まで。以後、宇都宮美術館、北海道立函館美術館を巡回。)

特別展「大仏開眼1250年 東大寺のすべて」開催 

2002年04月

東大寺本尊である大仏(盧舎那仏)の開眼から1250年にあたることを記念して、同寺の文化財を紹介する展覧会が、4月20日より奈良国立博物館で開催された。内容は、「第一章 奈良時代の東大寺」、「盧舎那仏と華厳の世界」、「第三章 鎌倉再建」、「第四章 江戸再建」、「第五章 四聖・祖師・教学」、「第六章 東大寺の年中行事」、「第七章 東大寺の考古学」、「第八章 東大寺ゆかりの彫像」の8部からなり、今日までの同寺の信仰活動の歴史を244件の資料、美術品で紹介した。(会期、7月7日まで。)

「没後500年 特別展雪舟」開催

2002年03月

没後450年を記念した「雪舟」展(東京国立博物館、昭和31年)以来の大規模な回顧展が、3月12日より京都国立博物館で開催された。内容は、「第一章 師とライバルそして友人たち」、「第二章 謎の前半生-拙宗」、「第三章 中国との出会い」、「第四章 雪舟の山水画」、「第五章 雪舟の花鳥画」、「第六章 雪舟の道釈人物画」、「第七章 弟子たちの全国展開」、「第八章 失われた雪舟画-江戸時代の模本」、以上の8部からなり、新発見、未公開の作品、海外からの里帰りの作品とともに、雪舟の代表作と、周辺の作品もふくめ152点で構成された。今日までの雪舟研究の深まりを示す機会となった。(会期、4月7日まで。以後、東京国立博物館を巡回。)

「松方大原山村コレクションなどでたどる美術館の夢」展開催 

2002年04月

兵庫県立近代美術館を発展的に継承した兵庫県立美術館の開館展となる展覧会が、4月6日より開催された。内容は、「プロローグ 美術館前史」、「第1章 『美術館』誕生」、「第2章 国が集める美術と在野の『美術館』」、「第3章 西洋美術への情熱」、「第4章 現代美術と美術館」、「エピローグ ある地方公立美術館の30年の活動とリニューアル」の6部により構成され、明治から現代まで、施設としての美術館とそこで開かれた展覧会が果たした役割を見直す展覧となった。(会期、6月23日まで。)

日本芸術院賞受賞者決定

2002年03月

日本芸術院(犬丸直院長)は、3月22日、芸術の分野で顕著な功績のあった人に贈る平成13年度の日本芸術院賞受賞者を決定した。恩賜賞・日本芸術院賞の第1部(美術)受賞者には、洋画家清原啓一(74)(日展出品作「花園の遊鶏」に対して)、第2部(文芸)受賞者には、美術史・美術評論家高階秀爾(70)(芸術文化に対する評論の業績に対して)が選ばれた。また、日本芸術院賞には、彫刻家蛭田二郎(69)(日展出品作「告知-2001-」に対して)、書家桑田三舟(74、本名桑田和)(日展出品作「春秋」に対して)が選ばれた。授賞式は、6月17日に東京・上野の日本芸術院会館にて行なわれた。

第27回木村伊兵衛賞受賞者決定

2002年03月

故木村伊兵衛の業績を記念して朝日新聞社が、昭和50年に創設した同賞は、川内倫子(29)(写真集『うたたね』、『花火』)、松江泰治(38)(写真集『Hysteric 松江泰治』)の2氏に決定した。授賞式を4月18日に行い、受賞作品展を4月16日よりミノルタフォトスペース新宿等で開催した。

芸術選奨受賞者決定

2002年03月

芸術の分野で昨年一年間に優れた業績をあげた人々に贈られる芸術選奨の受賞者が、3月8日文化庁より発表された。美術関係では、建築家石山修武(57)(住宅「世田谷村」)、宇佐美圭司(62)(「宇佐美圭司・絵画宇宙」展)が文部科学大臣賞、また写真家野口里佳(30)(写真集「鳥をみる」等)が文部科学大臣新人賞を受賞した。贈呈式は、3月12日に東京都内のホテルで行われた。

国宝の答申

2002年03月

文化審議会(高階秀爾会長)は、3月22日、「木造阿弥陀如来及び両脇侍坐像」(京都市、三千院)と、「島津家文書」(東京大学)を国宝にするよう、遠山敦子文部科学大臣に答申した。また、小林古径「髪」(永青文庫)、原田直次郎「靴屋の親爺」(東京芸術大学)など、41件を重要文化財に指定するように答申した。あわせて近代建造物の保護を目的とした登録有形文化財(建造物)として、140件(53ヶ所)を登録するように求めた。

第52回ベルリン国際映画祭で金熊賞受賞

2002年02月

同映画祭のコンペティション部門で、宮崎駿監督のアニメーション映画「千と千尋の神隠し」が、最優秀作品賞である金熊賞を受賞したことが2月17日に発表された。

文化庁予算決まる

2002年02月

平成14年度の文化庁予算は、前年度比8.3%増の984億7600万円にすることが決まった。新規事業としては、「文化芸術創造プラン(新世紀アーツプラン)」が創設され、「新進芸術家海外留学制度」、「国内研修制度」、「海外新進芸術家招聘制度」、「芸術団体人材育成支援事業」などが盛り込まれ、また「こどもの文化芸術体験活動の推進」等もあらたに事業化された。

武蔵野市立吉祥寺美術館開館

2002年02月

東京都武蔵野市は、2月2日に市立吉祥寺美術館を開館した。吉祥寺本町一丁目の商業ビルの7階フロアを賃借した施設で、広さは約300平方メートル、寄贈をうけた浜口陽三作品(134点)、萩原英雄作品(330点)を常設展示するほか、これまでに市が寄贈をうけた作品も展示する。

第9回VOCA賞受賞者決定

2002年01月

具象、抽象の区別なく、絵画、平面系の若手作家を対象としたVOCA2002展(同展実行委員会、財団法人日本美術協会、上野の森美術館主催)の最高賞であるVOCA賞は、曽谷朝絵の「Bathtub」に決定した。奨励賞には、石塚ツナヒロ、後藤智、照屋勇賢、溝口真一が選ばれた。なお、展覧会は3月15日から31日まで、上野の森美術館で開催された。

「雪村」展開催

2002年01月

室町時代後期に制作をつづけた画僧雪村周継の回顧展が、1月26日より千葉市美術館で開催された。「スパーエキセントリック」とサブタイトルにあるように、古美術を現代の眼で見直して欲しいという、企画者の意図を反映した展示となった。(会期、3月3日まで、以後、渋谷区立松涛美術館、山口県立美術館、福島県立博物館を巡回。)

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