「仁和寺の名宝」展開催

1988年05月

仁和4(888)年に宇多天皇が仁和寺を開創してから1100年にあたるのを記念し、「仁和寺の名宝」展が24日から6月26日まで京都国立博物館で開催された。国宝11点、重文43点を含む彫刻、絵画、書跡、工芸、考古遺品など126件が出陳された。

駅舎の美術館利用計画続々

1988年05月

今春、東京駅にステーションギャラリーがオープンしたのに続き、台東区は来春着工、4年後完成予定のJR上野駅の駅ビル内に台東区立美術館を設置する計画を発表した。また駅周辺の再開発で橋上駅となる計画のJR奈良駅でも、奈良市が現駅舎を市民美術館にするようJR西日本に働きかけており、駅舎の美術館利用計画が相次いでいる。

宝暦大地震の極彩色絵巻発見

1988年05月

宝暦元年(1751)新潟を襲い死者、行方不明1130人の大きな被害をもたらした宝暦大地震の被害状況を、克明に記録した極彩色の絵巻が、兵庫県の旧家で発見された。半紙に描かれた長さ3.6mの絵巻で、歴史学者や地震学者からも貴重な資料として注目を集めた。

日本美術協会、世界文化賞を創設

1988年05月

上野の森美術館の運営などにあたっている財団法人日本美術協会(常陸宮総裁、中曽根康弘会長)は、19日、明治20年の創立以来101年を迎え、2世紀目に入ったのを記念し、「高松宮殿下記念世界文化賞」を創設、来秋第1回授賞を行なうことを発表した。同賞は、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇、映像の5部門からなり、各国5人の国際顧問を委嘱、国際的視野から選出を行なう。

文化庁長官に植木浩就任

1988年05月

中島文相は12日、大崎仁文化庁長官の退任を認め、後任の第9代長官に、植木浩国際学術局長をあてることを内定。6月10日正式に発令された。

万野美術館、平福記念館オープン

1988年05月

実業家万野裕昭のコレクションによる萬野美術館(大阪市南区八幡町28)が、5月14日心斎橋近くのオフィス街のビルの13階に開館した。日本、東洋の古美術品791点を収蔵し、重要文化財23点、重要美術品24点を含む、絵画、墨跡、漆工、金工、武具、刀剣、染織、陶磁など多岐にわたる高い質的水準の作品が集められている。開館記念展としてコレクションの中核をなす「中国陶磁展」が開催された。 また、秋田県角館町の町立角館美術館は昨年10月閉館したが、その収蔵品を引継ぐ形で新たに平福記念館がオープンした。4月28日に竣工式が行なわれ、翌月より一般公開、開館記念展として6月1日まで「角館の江戸展」、次いで7月1日まで「平福穂庵・百穂展」が開催された。

小倉遊亀展

1988年05月

小倉遊亀の代表作60余点を集めた回顧展が、7日から18日まで渋谷・東急本店で開催された。

シルクロード踏査計画に調印

1988年05月

国連教育科学文化機関(ユネスコ)が1988年より5年がかりで計画しているシルクロード総合学術調査事業に、朝日新聞社が協賛することになり、同行取材チームを派遣することで合意、8日パリのユネスコ本部で調印された。この踏査計画では、89年にサマルカンド~北京の草原ルート、90年ベネチア~広東~日本の海のルート、91年ギリシャ~アフガニスタン~西安の砂漠ルートを、それぞれ3~4ケ月で調査を行ない、92年に総括報告が出される予定となっている。

「ファイバーアートの新領域-アメリカ」展開催

1988年04月

アメリカで1960年以降運動として培われてきたファイバー・アートの近年10年間の動向を紹介する展覧会が、26日から5月22日まで京都国立近代美術館で開催された。41作家約40点の作品が展示された。

日仏の芸術家交流

1988年04月

フランス政府と朝日新聞社による日仏文化交流の一環として、フランスの若手作家5名が4月から4ケ月間日本に招待された。これは一昨年フランスに日本の作家7名が招聘されたのに答えたもので、招待作家は東京芸術大学で約3ケ月間のワークショップなどを行なったのち、各地に分散し制作活動を行なった。

第17回日本国際美術展

1988年04月

第17回日本国際美術展が、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。783作家1554点の応募の中から、173点が入選。大賞に黒田克正(平面)「ON THE SPREE No2」、美術文化振興協会賞に田中太郎(立体)「サボテン」、佳作賞に岡崎ゆみこ(平面)「提示’88-YELLOW」、わたなべゆう(平面)「1988原始人Ⅰ」、神山明(立体)「夢のような気がする」、志村雄逸・水野晃一(立体)「浮遊する光2×4」、三梨伸(立体)「両側の丘の斜面」が、それぞれ選ばれた。

ならシルクロード博ほか各地で博覧会ブーム

1988年04月

奈良県政百年を記念し、県と市、NHKの主催で、奈良公園一帯と平城宮跡を会場に、日本人の文化と心の源流を訪ねる「ならシルクロード博」が、24日から10月23日まで開催された。テーマは「民俗の英知とロマン」。これに合わせて、奈良国立博物館で「仏教美術展」が24日から9月4日まで開催、奈良県立美術館で「オアシスと草原の道展」、奈良県新公会堂で「海の道展」がそれぞれ全期間中開催された。これらの展覧会では、シリアの超一級文物や敦煌の塑像「供養菩薩」をはじめ、ソ連、中国、韓国、インド、イラク、シリアなど約10ケ国の絵画、彫刻、工芸など約600点が展示された。 このほか兵庫県三田市では「都市と住宅」をテーマに「ホロンピア’88・21世紀公園都市博覧会」が17日から8月31日まで、飛騨の伝統工芸や世界の木のおもちゃを展示した「飛騨高山食と緑の博覧会」が9月23日から10月30日まで、青函トンネル開通を記念し青森市で開催された「青森EXPO’88」(7月9日~9月10日)では会場外イベントとして現代野外彫刻展(9月1日~11月3日)が開催されるなど、大規模な博覧会が相次いだ。このブームは’89年にも名古屋市の世界デザイン博など、続く予定。

成川美術館、足立美術館陶芸館開館

1988年04月

箱根芦の湖畔に、現代日本画の秀作を収蔵公開する成川美術館(神奈川県足柄下郡箱根町元箱根570)が、24日オープンした。現在の収蔵作品は約300点で、山本丘人の作品80余点、平山郁夫40余点などが柱となっている。また、近代日本画の収集で知られる足立美術館に、2日陶芸館が新たにオープン、河井寛次郎北大路魯山人の作品が常陳されることとなった。

工芸学会、和紙を語る会設立

1988年04月

財団法人工芸学会では、和紙についての認識を深めることを目的に、4月より研究会「和紙を語る会」を設立した。23日に第1回研究会を開催、和紙研究家に加え、美術、国文学、歴史などの専門家も各回登場する予定という。

名古屋市美術館開館

1988年04月

黒川紀章の設計になる名古屋市美術館(名古屋市中区栄2-17-25)が、23日開館した。総工費43億円、現在の収蔵作品数は294件。開館記念展として「20世紀絵画の展開」が、23日から6月19日まで開催された。

高野山で塔頭火災

1988年04月

18日午前2時半ごろ、高野山金剛峯寺の塔頭地蔵院の宿坊付近から出火し、宿坊と本堂、庫裏を全焼、さらに隣接する遍照光院の庫裏も全焼。この火災により、国の重要文化財に指定されている地蔵院本尊地蔵菩薩立像が焼失した。

1988年インド祭開催

1988年04月

昨年インドで「日本月間」が行なわれ美術、映画など各種の日本文化紹介が行なわれたのを受けて、1988年インド祭が、4月から12月にかけて日本で開催された。美術、民芸、写真、文学、風俗、建築などの展観のほか、映画、演劇、音楽、芸能など各種のイベントが行なわれた。美術関係では、19日から5月12日まで兵庫県立近代美術館でアーディヴァシ(インド部族)芸術展、5月22日から7月10日まで有楽町西武でインド宮廷衣裳展、8月11日から23日まで新宿・伊勢丹美術館でインド古典芸術展、11月25日から12月25日まで世田谷美術館でヴィスターラ-インド建築展、5月13日から29日まで高岡市立美術館でインド近代美術展、4月29日から6月5日までたばこと塩の博物館でミティーラ壁画展がそれぞれ開催され、以後各地を巡回した。ならシルクロード博の古典芸術展もインド祭の後援事業となった。

佐久市近代美術館所蔵品、CD-ROM化

1988年04月

美術年鑑社と日本コロンビアは、佐久市立近代美術館の協力を得て、同美術館の収蔵作品400点のカラー画像を収めたCD-ROM(Conpact Disk-Read Only Memory)の試作品を完成させた。収蔵品の検索システムは情報化時代に対応した美術館の方向を示すものとして注目されるが、同試作品は、21日から24日まで池袋サンシャインシティ文化会館で開かれた「第1回電子出版システム展」で、日本コロンビアによるデモンストレーションが行なわれた。

ベルリン-東京現代美術交流展

1988年04月

現在美術に刺激的な活況を示すベルリンと東京の2都市で互いの現代美術を交換展示する「ベルリン-東京現代美術交流展」(東京ドイツ文化センター、朝日新聞社主催)が開催された。東京都内の現代美術専門の画廊と西ベルリンの11画廊がそれぞれ積極的に育成、紹介してきた作家の代表作を交換展示したもので、11日から30日まで東京12ケ所の画廊で行なわれた東京展では、西ベルリンの12作家、6月28日から7月18日までベルリン11ケ所の画廊で行なわれたベルリン展では、日本の12作家の作品が展示された。

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