ツタンカーメン展
1965年08月朝日新聞社、東京国立博物館主催の「ツタンカーメン展」が21日から東京・上野の国立博物館で開かれた。ツタンカーメン王墓の中に埋葬されていた品々のなかから、有名な「黄金のマスク」をはじめ45点の古代エジプト美術の数々が展観された。東京会場(8.21―10.10)の閉会後、京都会場=京都市美術館(10.15―11.28)、福岡会場=福岡県文化会館(12.3―26)でそれぞれ開かれた。
朝日新聞社、東京国立博物館主催の「ツタンカーメン展」が21日から東京・上野の国立博物館で開かれた。ツタンカーメン王墓の中に埋葬されていた品々のなかから、有名な「黄金のマスク」をはじめ45点の古代エジプト美術の数々が展観された。東京会場(8.21―10.10)の閉会後、京都会場=京都市美術館(10.15―11.28)、福岡会場=福岡県文化会館(12.3―26)でそれぞれ開かれた。
国宝や重要文化財などに指定されている日本の古美術品128件・184点が11日、横浜港出帆の米国貨客船「プレジデント・リンカーン号」でアメリカへ向けて船出した。これは来る9月29日からロスアンゼルス郡立美術館における展観を皮切りに来年6月5日まで、アメリカとカナダの4都市でひらく「米加巡回日本古美術展」に出品するためで、このたびの巡回展の特色は、これまで実際にアメリカで紹介される機会がなかった工芸品(金工品、陶磁器、漆工品、染織品等)を多数陳列することで、これに絵画、彫刻および書跡を加えた規模となっている。国宝級の文化財がアメリカへ渡るのは昭和28年の巡回古美術展以来12年ぶり。
日本南画壇に長く活躍した松林桂月が、さる38年5月88才の高齢で逝くなったが、その遺作展が10日から15日まで東京・日本橋三越で日本経済新聞社主催のもとに開かれた。出品作は初期から晩年まで代表作60余点が集められ、その芸術的全貌がうかがえる展観であつた。
東名高速道路予定地となつた登呂遺跡の南方の地の発掘調査は10日終わったが、ここには大規模な水田跡や暗渠と思われるものが発見され注目された。
世界の美術教育者の国際会議として知られているINSEAの東京会議は、かねてアジア代表であり東京大会準備委員長の倉田三郎を中心に、その開催準備が日本全国の美術教育者一丸となって進められていたが、2日から7日にかけて、東京文化会館、東京国立教育会館を会場に、第17回国際美術教育会議として盛会裡に開かれた。遠く世界各地からこの国際的な行事にはせ参じた外国人会員は、約30カ国200名、開催国としてこの会をもりたてるために集まつた国内会員は約1600名に及び、これらの会員によってもたれた80有余の講演および研究発表は両会場の大ホール、小ホール、各分科会場に分かれて熱心に行なわれた。今回の主題目は「科学・技術と美術教育」で、美術教育についての諸問題が、真剣に討議された。
社団法人造形美術協会(理事長・外山卯三郎)が創立15周年を記念して計画した美術図書館と桃源郷クラブが富士山麓、静岡県駿東郡小山町桑木に新築され、その盛大な開館式並びに落成記念祝賀会が25日正午から行われた。敷地面積約4300坪、山の中腹をけずり建設されたもので、設計者は稲岡進吾である。
20日スコピエ(ユーゴ)で行なわれた同市再建都市計画のための国際コンテストで丹下健三研究室応募作品が1等賞を受賞、賞金1万2千ドル(432万円)が与えられた。同市は大地震で廃墟となり、各国の建築家に再建案を募集していた。
ミラノで開かれた第4回国際ツーリスト・ポスター展で日本航空が出品したポスター「茶会」が1等の「金の妖精」賞を獲得した。
都美術館が大正15年5月1日、故佐藤慶太郎の100万円の寄附と、東宮殿下御慶事記念として現在の敷地約4千坪の無償貸与とを受けて設立されてから40周年を迎え、30日中村文部大臣代理、東都知事、高橋芸術院長をはじめ、関係官公庁、美術界の代表ら多数が列席して開館40周年式典を盛大に行なった。なお記念式典に当り、都美術館建設資金寄附者・遺族佐藤与助をはじめ、都美術館参与12名、同看守(後援会より)の顕彰が行われた。
宮城県栗原郡一迫町真坂山王地区の山王遺跡を発掘している東北大学考古学研究室の調査団は、このほど日本で初めて縄文晩期のものとみられる織布を発見した。
建造物修理工事のうち9件が本月に完了した。そのうちの主なものに文明18年に足利義政の建てた慈照寺東求堂、承元4年の興福寺北円堂、室町中期の南法華寺(壷坂寺)札堂などがある。
天平時代の遺構である奈良県五条市栄山寺八角堂の内陣装飾画の模写が2ケ年計画で実施されることとなった。
日韓文化協定が22日調印され、韓国に引渡される文化財のリストがきまった。遺物と美術工芸品関係では陶磁器97点、金製耳かざり首かざりなど34点、石造美術品3点、計434点で全部国有品である。
ユーゴスラビアの第6回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展は今月中旬から開かれるが、それにさきだち15、16の両日行なわれた審査の結果、優秀賞(邦価約15万円・4名)に日本の池田満寿夫、別に買上賞として11作家が選ばれたが、その1人の国立出版所賞(約5万円)に長谷川彰一が入賞した。なお大賞(約25万円)はバサルリ(仏)が獲得した。参加48カ国、全作品1114点。審査員は、ラセーニュ(仏)、ホワイト(英)、シュレンバッハ(独)、ラザレフ(ソ連)、コタリック(チェコ)、富永惣一(日)に主催国ユーゴから2人、計8人であった。
来る7・8月の2カ月にわたってユーゴスラビアで開かれるフォルマ・ヴィヴァ主催による第5回国際彫刻家シンポジウムに主催者から参加招請をうけた日本美術家連盟では、例年通り彫刻部の全会員に知らせるとともに連盟委員を通じて参加希望者の応募推薦を求めていたところ、つごう18名(木彫9、石彫4、鉄彫5名)の申し込みがあつたので、25日彫刻部委員会を開催、選考の結果下記3名を選び主催者に推薦したところ、そのまま招待されたわけである。 <石彫>菅原二郎(二科会出品) <木彫>河合隆三(二科会々友) <鉄彫>吉羽一郎(二紀会同人)
明治大学考古学教室の杉原荘介主任教授らは静岡県沼津市愛鷹山中腹の休場遺跡の年代を調べていたが、同遺跡は約1万4千年以前の旧石器時代に属するものと発表した。
19日から25日にかけて、文化財事務局美術工芸課は香川県下の札所22ケ寺(うち1寺はとりやめ)および他寺社、個人収蔵家の調査を行った。
日本美術院の長老安田靱彦の明治・大正・昭和三代にわたる60年の画業回顧展が7日から19日まで朝日新聞社主催のもとに銀座・松屋で開かれた。大作を中心にした80余点で、病弱の身体をいたわりながら画業一途にうちこんだこの画家の代表作のほとんどが集められ、東京では初めての回顧展となった。
第3回生存者叙勲が28発表された。美術関係では、勲三等瑞宝章=内藤伸(彫刻)、野田道三(九浦・日本画)、勲四等旭日小綬章=杉浦朝武(非水・工芸図案)、勲五等瑞宝章=中島秀吉(重要無形文化財「伊勢形紙道具彫」)、勲六等瑞宝章=田畑伊三郎(手描友禅)、中川福三郎(手描友禅)
日本経済新聞社主催、外務省・文部省・フランス大使館後援「ベル・エポック展」が9日から21日まで銀座・松屋で開かれた。その369点のポスターはルーヴル附属装飾美術館の所蔵品で、ポスターは一種の消耗品なので今日では反つて貴重になつているが、18世紀の草創期の素朴な掲示から第一次大戦前までの作品中、中心をなすのは1900年前後の約20年間の作品であつた。マネ、ドーミエ、ロートレック、ボナール、スタンラン、フォラン、カリエールらの著名な画家の作品をはじめとして、シェレー、カピエロ、ミュシャ、バレールなど専門のポスター作家の、いずれも世紀末的な優婉な装飾性を発揮した作品によつて展覧会の名称の通り古き「よき時代」の雰囲気を満喫させるものとなつた。グラフィック・アートの盛んな現代において、その最初の黄金時代を回顧する意味深い好機会を提供した。大阪展は心斉橋・大丸で7月13日から18日まで開催された。