正倉院展
1956年10月奈良国立博物館で正倉院展が開催されるようになつて第一○回の展観であり、聖武天皇の一二○○年忌にもあたるので、本年は特に記念展として御遺愛品を中心に八八点を選んで、二一日から一一月三日まで展観した。
奈良国立博物館で正倉院展が開催されるようになつて第一○回の展観であり、聖武天皇の一二○○年忌にもあたるので、本年は特に記念展として御遺愛品を中心に八八点を選んで、二一日から一一月三日まで展観した。
新築成つた浅草寺天井絵を川端竜子に依嘱中のところ二ヶ月を要して「竜図」を完成し、一八日除幕式が行われた。同図は四間に三間の厚手和紙六枚を張合せ、墨と白群及び金箔を部分的に用いている。
第三回紫綬褒章者一三名が一六日の閣議で決定した。美術関係では、榊本義春―文化財(彫刻類)の保存修理、西川辰之助―文化財(建造物)の保存修理等が選ばれた。
一二、三両日ロンドンで開催される英国産業意匠協議会主催のデザイン会議に、さきに工業デザイン調査団の一員として米国へ派遣された渡辺力が日本を代表して出席した。同会議は戦後欧州に於ける著名なるもので、戦後日本人として初の参加である。
米国オレゴン州の州立美術館では一日から「東西交流展」を開催し、各都市を巡回するが、館長ボールディン・ジャー氏が戦後来日中行動美術会員と親交のあつた関係上、同会の出陳が要請され、絵画八○、彫刻二○点が送られた。なお同展には初代館長ウォーナー博士の東洋美術コレクションも出品される。
京都市が、同市を名実共に国際観光都市とするための財源として、社寺の拝観に課税する観光税(文化観光施設条例案)を設けようとするのに対して、社側は観光税対策本部を設け対抗して来たが、一三日から実施されることとなつた。
一一日未明比叡山延暦寺大講堂西側附近から出火、重文大講堂、同鐘台、食堂、前唐院の四棟を焼失した。尚重文六体を含む仏像、肖像等の彫刻三○数体も同時に焼失した。
第一回グッゲンハイム国際美術賞審査に参加する日本代表の作品が一○日の選考委員会で決り、次の通り発表された。このうち同美術賞の国内賞は脇田和「あらそい」に決定した。 日本画─前田青邨「紅梅」、福田平八郎「雨」、洋画─脇田和「あらそい」「鳥追い」、海老原喜之助「船を造る人」
醍醐寺と毎日新聞社の共催により、九日から一八日まで、渋谷東横で国宝醍醐寺展が開催された。絵画では絵因果経、五重塔板絵、文殊渡海図、五大尊、閻魔天、訶梨帝母等、筆跡では弘法大師大日経開題、月狸毛筆奉献表、後醍醐天皇宸翰等の国宝をはじめ、平安初期から桃山にわたる日本文化の粋を最も多く秘蔵している醍醐寺の寺宝百数十点を公開したものである。
東大藤島亥治郎を主任とする平泉遺跡調査団は九日から二九日まで、毛越寺第三次調査として嘉祥寺跡、法華堂、常行堂跡の発掘に従い又同時に観自在王院跡の発掘も行つた。
メソポタミアを中心に古代遺跡の発掘調査を行う東京大学イラク・イラン遺跡調査団の本隊新、高井両副団長ら一○名は七日出発した。一行は六月先発した江上団長ら五名とテヘランで合流し現地の調査を行う。
日本考古学会仏教遺跡特別委員会では二日から一五日まで、東京都下国分寺町にある武蔵国分寺址の発掘を行つた。約三箇年にわたる継続調査の一環となるもので、今年の発掘により、全国国分寺中でも最大と目される七間四面の金堂の規模が実証され、講堂は二重遺跡であることが判明した。また同時に附近の堅穴住居址も調査を行つた。
一一日から二三日まで読売新聞社の主催により白木屋で開催、ほんもの、にせものを対照し、かつそれを判別する光学的方法なども併せて展示した。
第二回毎日産業デザイン賞は、次の通り発表され、九月六日授賞式が行われた。 工業デザイン部門─ダットサン、一九五五年一一二型セダン、日産自動車株式会社佐藤章蔵 商業デザイン部門─グラフィック55展、亀倉雄策、原弘、河野鷹思、伊藤憲治、大橋正、早川良雄、山城隆一、
滞仏中の洋画家荻須高徳に対し、同国よりレジョンドヌール勲章勲五等を授与する旨一三日フランス外務省より発表された。
昨夏に引続き今年も一日から仙台市にある陸奥国分寺址の発掘調査が行われた。講堂、中門、回廊の発掘を終つて、それらの規模を確認したもので、それと同時に附近一帯にかけてかなり広範囲に条里制の存在が認められることが東北大学伊東信雄から発表された。
シエル美術賞の授賞が応募作品約一○○○点の内より次の通り決定し、二一日発表された。一等田中阿喜良、二等田中岑、三等内間安?、江見絹子、吉田穂高、五味秀夫、荒井映延
文化財保護委員会と大阪府教育委員会では昨年からの継続事業としている四天王寺の発掘を一○日から八月四日まで行つた。南大門址では礼拝石の北に南北の瓦敷の参道を、中門では、東回廊南縁の中門に接する部分に東西に走る瓦積の基壇を発見するなど、重要な事実を明かにした。
八月八日北京で開かれる雪舟記念式典に、中国人民対外文化協会から日中友好協会に九日招待状が届いた。日本画家山口蓬春、橋本明治、美術評論家北川桃雄の三名が招かれ、七月末出発した。