鳥毛立女?風の裏打ち紙から日本の墨書

1991年06月

1日までの宮内庁正倉院事務所の調査で、鳥毛立女?風第5扇の裏打ち紙から、正倉院の宝物記録と内容の一致する墨書が確認された。従来から同?風は日本で描かれたことが定説となっているが、今回の墨書発見で、あらためてそれが確認された。

スペイン絵画展

1991年06月

グレコ、ムリリョ、ベラスケス、リベラなど、スペイン絵画の黄金時代を代表する作家の作品85点を展観する「スペイン絵画展」が、5日から7月7日までの北海道立近代美術館を皮切りに、全国4ケ所で開催された。作品は、バレンシア州にある聖ピオ5世美術館のコレクションになるもの。

シーボルトコレクションから江戸城本丸図

1991年05月

ライデン国立民族学博物館とともにシーボルト・コレクションを所蔵することで知られるライデン大学図書館で、シーボルトが収集した江戸城本丸の絵図が確認された。享保元年の江戸城改築後の絵図で、昨年10月に発見され、確認の調査が続けられていた。

横浜美術館でゲストキュレーター制度

1991年05月

正規の学芸員のほかに、特定の企画・調査のため一定期間人材を招聘するゲスト・キュレーター(客員学芸員)の制度を、横浜美術館(河北倫明館長)が採用することになった。日本で制度として導入するのはこれが初めてとなるが、同館のゲスト・キュレーターには、2年契約でアメリカ人女性が招聘された。

第1回JAPANART SCHOLARSHIP

1991年05月

企業による美術文化活動支援が盛んとなる中、ワコールアートセンターが、現代若手アーティストの発掘と育成を目的に創設した「JAPAN ART SCHOLARSHIP」第1回のグランプリが決定。国内外の302名286点の応募の中から、赤坂知也「記憶の形をした3つの小曲」がグランプリに選ばれた。

上淀廃寺に壁画

1991年05月

鳥取県淀江町の上淀廃寺跡の調査を進めていた遺物検討委員会は、同寺跡から出土した壁画が、法隆寺の壁画よりも古い画風のものであることを明らかにした。出土した断片には、極彩色の菩薩や神将が描かれており、これからの調査に大きな期待が寄せられている。

ソビエト現代美術展

1991年05月

ゴルバチョフソ連大統領の訪日に伴う記念事業の一つとして、18日から6月23日まで、世田谷区立世田谷美術館で「ソビエト現代美術-雪どけからペレストロイカまで」展が開催された。モスクワ郊外に建設中のツァリーツィノ国立現代美術館の協力によって構成された同展には、1950~1990年代の「非公認(アン・オフィシャル)」芸術に連なる40作家の作品約80点が展示された。

北京で現代日本絵画展

1991年05月

日中の友好と文化交流促進を目的とする中華人民共和国芸術祭基金会主催の「現代日本絵画展」が、13日から25日まで北京の故宮博物院で行なわれた。日本画、洋画の現代作家70数名によって構成された同展には、依頼による約20号の新作が展示された。同展は、帰国展として6月18日から23日まで、東京・日本橋三越で開催された。

ゴッホ、125億で落札

1991年05月

ニューヨークのクリスティーズの競売で、15日、ゴッホの「医師ガシェの肖像」が、史上最高の125億円(8250万ドル)で落札された。落札したのは、日本企業の依頼を受けた日本の画廊。

第20回現代日本美術展

1991年04月

新進作家の育成を目的に隔年で開催され、20回を迎えた現代日本美術展が、23日から5月7日まで東京都美術館で開催された。今回から大賞を「毎日現代美術大賞」として、新たに「毎日現代美術準大賞」を設定。大賞に平面の山口啓介「繭の記憶」(版画)、準大賞に立体の木下知子「ま夜昼の人」が選ばれた。版画が大賞に選ばれたのは初めて。

金碧の花妙心寺天球院襖絵展

1991年04月

開館30周年を迎えたサントリー美術館は、記念展の一つとして、京都・妙心寺天球院の襖絵を一挙に公開する展覧会を、24日から6月2日まで開催した。通常非公開の同院の狩野山楽、山雪の襖絵・杉戸絵152面の中から、金碧画106面を展示した企画は、桃山~近世絵画研究の好機となった。

檀像-白檀仏から日本の木彫仏へ-展

1991年04月

日本の木彫仏の展開に重要な役割を果たした檀像を一堂に集めた展覧会が、27日から6月2日まで奈良国立博物館で開催された。国宝7件、重文69件を含む93件の檀像を内外から集めた同展は、秘仏の多い檀像に貴重な研究機会を提供した。

慶大に現代芸術講座開設

1991年04月

慶応義塾大学文学部に、今年度から総合大学としては初めて、現代芸術のマネージメントに関する講座が開設された。自治体や企業による芸術振興がさかんとなる中、アート・マネージメントに携わる人材育成を目的とするもので、「現代芸術(アート・マネージメント)」と「現代芸術制作論(アート・プロデュース)」の2講座からなる。

洋書のタリカコレクション購入

1991年04月

平成4年秋の開館に向け、資料の収集を進めている愛知芸術文化センターは、西洋美術に関する文献資料22398冊のタリカ・コレクションの購入を決定した。購入額は3億2000万円。同資料は、パリの美術商サミュエル、アランのタリカ父子の収集になり、研究書、カタログ、雑誌、売立目録など、現在すでに入手困難な文献資料を多数含んでおり、今後の活用が期待される。

東京浮世絵版画オークション開催

1991年04月

日本では初めての浮世絵オークションが、15日ササビーズジャパンの主催により、東京・芝の東京プリンスホテルで開催された。スイスのウォルター・アムシュトゥッツの2000点以上の浮世絵コレクションから233点がオークションにかけられ、70%の落札、5億2000万円の売上げという型破りのものとなった。

桂離宮の解体修理終了

1991年04月

桂離宮茶室の解体修理がこのほど終了。昭和51年から続けられてきた古書院、中書院、月波楼、松琴亭、笑意軒など桂離宮の大解体修理は、これですべて終了した。総工費は約13億2000万円、工匠の延人数は4万4000人となった。

西域美術展

1991年04月

20世紀初頭、4度にわたって西域を調査したドイツのトゥルファン探検隊の収集品158件による西域美術展が、2日から5月12日まで東京国立博物館で開催された。壁画、塑像、絵画、刺繍など、良好な保存状態の美術品による展観は、シルクロード美術を探る好機となった。同展はひき続き宮崎県立総合博物館、京都国立博物館で開催された。

文化財、史跡の新指定

1991年04月

文化財保護審議会(斎藤正会長)は、12日、美術工芸品47件、史跡・名勝・天然記念物9件を指定するよう、井上文相に答申した。 美術工芸品では、京都・清凉寺の木造阿弥陀三尊像が国宝に指定され、これで国宝は829件となった。また絹本著色伝足利義政像(東京国立博物館)など46点(うち2件が追加指定)が重文に指定された。 また史跡・名勝・天然記念物では、佐賀県の吉野ケ里遺跡が特別史跡、福井市の一乗谷朝倉氏館跡庭園が特別名勝に指定され、また史跡に5件、名勝、天然記念物に各1件が指定された。

海外日本美術品調査

1991年03月

東京国立文化財研究所が進めている北米の日本美術品調査は、昨年から今年にかけてニューヨークのメトロポリタン美術館の調査を行ない、報告書として『海外所在日本美術品調査報告1 ニューヨーク・メトロポリタン美術館 絵画・彫刻』を刊行した。次いで今年度は、ニューヨークのバーク・コレクションの調査を行なった。

京都造形芸術大学開校

1991年04月

1977年に京都美術短期大学を開校した学校法人瓜生山学園は、今年度から4年制の美術単科大学として、京都造形芸術大学を開校した。学科は芸術学科(芸術学講座、保存科学講座)、美術科(日本画、洋画、彫刻)、デザイン科(情報、デザイン)の3科が設けられ、造形芸術に関する教育と研究が行なわれる。初代学長には、河北倫明が就任した。

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