奈良で古墳発掘
1962年12月橿原考古研究所では奈良県高市郡明日香村の鑵子塚古墳の発掘を7回行つたが、その結果、立室の規模が同村の石舞台古墳より大きく、珍らしい構造のものであることがわかつた。
橿原考古研究所では奈良県高市郡明日香村の鑵子塚古墳の発掘を7回行つたが、その結果、立室の規模が同村の石舞台古墳より大きく、珍らしい構造のものであることがわかつた。
文部省では、その完全な保存につき、各方面で要望されていた平城京跡を国費42,700万円で買い上げることに、28日決定した。
平節田中は、去る2月以来、茨城県五浦で釣に親しんでいた岡倉天心の面影を、木彫で制作していたがこの程完成したので、発表をかねて旧作をも展観した。天心像は釣竿とビクを手にした姿で頭部は桜材、体躯は玉樟で高さ2.4米、来春、更に箔置、彩色して院展に発表のあと茨城大学五浦研究室(五浦の旧天心邸)に置かれる。21日から26日まで東京日本橋三越で開かれた。
中国人民対外文化協会の招待により3週間の予定で18日、中国美術見学に出発した。調査団は団長米沢嘉圃、藤田経世、長広敏雄、宮川寅雄、吉沢忠の5名の外、日中文化交流協会の白戸吾夫氏が加わつた。美術関係者の訪中は今度で3回目だが、美術史研究家だけの訪中は初めてである。
17日興福寺の国宝彫刻八部衆のうち阿修羅像の模作を東京の業者が申し入れ、許可したところ約束に反して直接型どりを行ない、各新聞が取上げたが、像自身には実害なく問題は解決した。
文化財保護委員会による昭和37年度の建造物調査(民家調査)が山梨県下で行われることになり、その第1回予備調査が4日から8日まで塩山市付近について行われた。
大和文華館では、愛媛県松山市三津浜の近藤家所蔵の鉄斎書画跡、書簡を調査し、これら未公開の書画跡45点と、書簡95通に関する調査結果を、展観した。会期は1日から昭和38年2月10日迄。
長岡宮跡の調査は昭和30年、34年、36年の3回にわたり、梅原末治博士、福山敏男博士らによつて行われ、多くの建物跡が確認されたが、その遺跡は宅地造成のため危機に面していたが、京都府教育委員会の英断により、大極殿、小安殿跡を含む地域を同府が買上げて保存することになり、買上げ事業に対し補助金18,227,000円の交付が決定された。
文化財専門審議会で、絵画11、彫刻4、工芸品13、書跡7、考古5件、の重要文化財指定が答申され、それにもとずき11月30日指定された。
新庁舎は昭和36年11月27日地鎮祭を行ない、本年3月28日竣工、旧庁舎からの移転も完了したので20日竣工披露を行なつた。鉄筋2階建て建坪338平方米、延坪662平方米で総工費約2,000万円、内部は物理、化学、生物、修理技術、の4研究室に分かれ、最新の実験装置を備え、今後、文化財の科学的研究に一層威力をそえることになつた。
日本美術家連盟が国際的美術家センターにしようと中央区銀座東3ノ2に建設中だつた日本美術家会館がこのほど完成し15日披露した。同会館は地上7階、地下1階、建築綜合研究所設計管理、清水建設施工で日本美術家連盟は5階から7階まで使用し4階以下は芸術関係の団体が入ることになつている。
現在アメリカで活躍する作家たちの作品を1点づつ集めた、アメリカ現代美術を紹介する展覧会(ウィスコンシン州のH・F・ジョンソン・コレクション)海外18ケ国巡回展の第1回展として13日から12月5日までブリヂストン美術館で開かれた。同美術館と朝日新聞社の共催。
文化財保護委員会では、戦災などで焼失した貴重な文化財を写真や製図その他の資料によつて永久に記録する「文化財覚え書き台帳」の作成に着手した。
浦上玉堂、池大雅、白隠、鉄斎ら日本文人画家の作品約200点が、読売新聞社の主催により9日から、約2ケ月間、パリのプチ・パレで展観され、好評をおさめた。
ピカソの代表作「ゲルニカ」をめぐる彼の版画・素描・挿絵など63点の作品が国立西洋美術館、朝日新聞社、アート・フレンド・アソシエイションの共催で、3日から12月23日まで国立西洋美術館で展覧された。これらの作品は1937年のスペイン内戦を契機として作られたもので、それを集約した作品「ゲルニカ」そのものは将来されなかつたが、「ゲルニカ」誕生前後のピカソのイメージの変転の様子が、几帳面につけられた日付によつて辿られるという興味ばかりでなく、ともすれば個人的な世界の内部でのみ営まれがちな現代芸術において、個人と社会との関わり合いをも見事に示す今世紀の代表作の1例としてもまた注目すべき展覧会であつた。
宇和島城天守の修理工事は昭和35年10月着工、2ケ年の工期をもつて、37年9月完成、5日竣工式が行なわれた。
各時代、各階層を通じての日本の服飾の流れを展望する大規模な「日本服飾美術展」が2日から12月2日まで、東京国立博物館で催され、国宝11点、重要文化財24点をはじめ、約400点の遺品および参考美術品が出陳された。
東京国立博物館は創設90周年を迎え、1日記念式典を挙げたが、同日、かねて構内に建築中であつた旧法隆寺所蔵宝物のための鉄筋コンクリート造り宝物収蔵庫の落成式が行われた。
毎日新聞社主催、東京新宿・伊勢丹で巨匠シリーズ展の第2回目として開催されたもので、松園の代表作、未公開の名作60余点を選んで展観、伝統絵画の流れのうえにたつて本格的美人画を確立した松園芸術の全貌をつたえた。
昭和37年度の文化勲章受章者は、平櫛田中、奥村土牛、中村岳陵、梅沢浜夫、桑田義備の6名と決定。文化功労者の中、美術関係者は高橋誠一郎が選ばれ30日正式発表された。勲章受章者と功労者には年額50万円の終身年金が贈られる。